Twitter、パーソナライズしたニュース速報を通知するための@Eventparrotアカウントを実験中

Twitterが、ニュース速報を通知するためのアカウントを運用しているようだ。アカウントは@eventparrotという名前で、既に1万名以上のフォロワーを集めている(英文記事公開時は1500名程度であった様子)。アカウントの説明によると、「世界中で発生する興味深い出来事をダイレクトメッセージで送る」ものなのだそうだ。

フォローしてみると、確かにダイレクトメッセージが送られてきた。CNNのニュース速報からの情報を流すもので、すなわちリビアの首相が誘拐されたことを伝えるものだった。

これは、フォロワーや「面白いツイート」のレコメンドをプッシュ通知する@magicrecsによる実験と同じようなスタンスで運用されているのだろう。ちなみにこの@magicrecsのアカウント説明には「Twitterによる実験アカウント」と記されていた。その後、広く評判を集めるようになり、モバイルアプリケーションの機能として取り込まれることになった。

今回紹介している@eventparrotが、Twitterオフィシャルな実験アカウントなのかどうかはまだわかっていない。たいていの場合、Twitterは実施中の実験についてあまり言及しないのだ。しかし、このアカウントはフォロワーを個別に認識していて、各フォロワーの興味に応じたニュース速報を送ってくるようになっているようだ。フォロワーを覗いてみると、最初の方のフォロワーはTwitterの社員ばかりだ。もちろんこれは驚くべきことではない。きっと彼らが、アルゴリズムの進化のためにいろいろと手を入れていったのだろう。

このアカウントが、Twitterの本気のプロジェクトなのかどうかについて明言できないことについてはご容赦いただきたい。しかしおそらくはきちんとした実験アカウントなのだと思う。フォロワーに対して、パーソナライズしたニュース速報を送るという手間を払っている点でも、本気度が伺えると思うのだ。但し、あくまでも「実験」段階であるので、@magicrecsのような人気が集まらなければ、いつの間にかどこかに消えてしまうということにもなるだろう。

もちろん、人気を得ることになれば@magicrecsと同様に、標準状態でも@eventparrotによる通知機能が使えるようにしていくのだろう。先週も記事に書いたが、Twitterはサービスのパーソナライゼーション(個別化)を実現すべく、いろいろと試しているところであるようだ。今回導入された@eventparrotも、同じ方向にあるものだと言えよう。

上場を控えたTwitterは、収益をあげる方法と快適な利用環境、そして新規利用者の獲得といった中で最適なバランスを実現する方法を模索しているところだ。TwitterのS-1書類にあった利用者数の頭打ち傾向は、外部メディアをTwitterに取り込もうとする方向にばかり気が向いてしまったからではないかと考える。Twitterはもう少し自らが提供するエクスペリエンスの充実を目指して良いのかもしれない。Twitterを使っても、他で見ることのできるビデオや写真を見るだけなのであれば、わざわざTwitterを使う必要はないわけだ。いろいろと見なければならないネット情報もある中、Twitterに時間をかけようと思う人はいなくなってしまう。しかしTwitterが、そのサービスの中で生まれる面白そうな情報を、各利用者毎に提供してくれるようなことになれば、ぜひともTwitterを使っていたいという気持ちが一層強くなっていくわけだ。

これから@eventparrotがどのように成長するのかについては気を配っていきたいと思う。ちなみにこのアカウントの存在は@magicrecsからの通知により気づいたのだった。

Image Credit: Auckland Photo News

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(翻訳:Maeda, H


Twitter、@magicrecs経由での実験成果を踏まえ、真に役立つレコメンド機能を提供開始

TwitterがAndroidおよびiPhoneにて、フォロー推奨アカウントや興味を惹きそうなツイートのレコメンドをプッシュ形式で行うための仕組みを導入したようだ。この仕組は、しばらくの間、実験的に運用してきた@magicrecsアカウントを通じて構築されてきたものだ。Twitterは、このアカウントをフォローしている人がフォローしている人のツイートを見て、どういった層にフォローされていて、またその関係性の中でどのようなツイートがリツイートされているのかなどを分析してきた。

この実験を通してTwitterは、これまでに蓄積されたデータを活用するためのノティフィケーション機能の強化を行ってきたわけだ。少なくともこの@magicrecsアカウントを通じた実験結果を見る限り、新たに搭載される機能も非常に素晴らしいものとなりそうだ。個人的には、ここしばらくの間@magicrecsをフォローしてきた。Twitterの専任チームにより運営されていて、今回の新機能を生み出すために各種実験および機能開発を行ってきたわけだ。実験中に得たツイートおよびアカウントのレコメンドはまさにぴったりとくるもので、レコメンド機能の素晴らしさを大いに吹聴してまわったものだった。Twitterからのアナウンス以前から、この機能は間違いなく公式機能として取り込まれるはずだと信じていた。レコメンドされてフォローを開始したアカウントは、以来変わらずタイムラインを楽しくしてくれている。

@magicrecsアカウント経由で有益な情報が送られて来る中、この通知機能がTwitterアプリケーション自体に組み込まれるのはいつだろうと考えてきていた。ようやくそれが実現したわけだ。

「長らく行ってきた実験結果に基づき、今回ご紹介している新機能を実現しました。実験は@magicrecsを通じて行ったもので、アカウントのプロフィールにあるように、人物ないしツイートのレコメンド情報をダイレクトメッセージの形で送信するものでした」と、開発チームのVenu Satuluriは述べる。「運用中にも、利用者の方のエンゲージメント率やフィードバックに基づいてアルゴリズムの改善を行いました。そうして、真に役立つ情報のみを流すようにしていったのです」。

今回実装された新しい通知機能は、各アプリケーションの利用者に対して徐々に導入されるようになるとのこと。もちろん導入された場合も「設定」メニューの「通知設定」から、機能をオフにすることもできる。

フォローしている人々の振舞いや、あるいは自分自身の関わり方のデータに基づいた実験というのは、まさにTwitterが今後も行っていくべきことだろう。成果に基づいて実装した機能により、Twitter利用者に対してサービスの魅力を伝えていくことが重要だからだ。とくにIPOを控えた今、これまで以上に利用者数や成長率などにシビアな注目が集まることになる。

Twitterの7年間を振り返ってみる記事にも書いたように、Twitterの魅力は、サービス内でどのような人と関わるかに大きく左右される。面白いアカウントをフォローしていれば、タイムラインは非常に面白いものとなるだろうし、逆につまらないツイートばかりが流れてくることになれば、Twitterなどすぐにやめたくなってしまうことだろう。

しかしながら、Twitterの「おすすめユーザー」はモバイルアプリケーション上では、かなり目につきにくいところにおいやられている。そのせいもあって、新たに人をフォローするという動きがなかなか生まれにくくなっていたのだ。

「おすすめユーザー」を(とくにモバイル版で)もっと見やすいところに移動させてはどうかと提案もしてみた。何かの機会にすぐに表示されるような仕組みを作ってもいい。利用状態(コンテクスト)に応じたレコメンドが表示されるのは(少なくとも私にとっては)面白いコンテンツを発見するために非常に有益なことだと思えるのだ。

そうした提案に対してTwitterのプロダクト部門VPであるSippeyは「それは素晴らしいですね」と応じてくれた。

もちろんSippeyが礼儀正しかっただけだ。私の提案など全く取るに足らないものだった。@magicrecsによるレコメンドがあれば、従来の(ランダムにすら見える)レコメンドなど不必要とも言えそうなほどだ。パーソナライズされた、インテリジェントなレコメンド情報を提供する仕組みを実装中であったわけだ。

レコメンドの重要性について、Sippeyは補足も行ってくれた。もう一か所、前回の記事から引いておこう。

Twitterの魅力というのは「友達との繋がり」のみにあるわけではないのですとSippeyは言っている。最高のエクスペリエンスは、ある種の「バランス」から生まれてくるのです、とのこと。

「笑ってしまうような話もあれば楽しいでしょうし、興味対象についての知識も得たいと考えているはずです。もちろん友達の近況などもチェックしたいと考えていることでしょう。Twitter上でこうしたそれぞれのバランスをとることによって、自分のタイムラインがさらに魅力的なものとなっていくのです」。

こうした面からも@magicrecsを通じて提供していたレコメンデーションは、うまく機能していたと言えるだろう。それを引き継いで実装されることになる新機能も、利用者が「バランス」を実現するために、大いに役立つものとなるはずだ。

Image Credit: William Andrus/Flickr CC

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(翻訳:Maeda, H)