Mavic Miniは399ドル(日本では4万6200円)という低価格ながら、基本的な機能をすべて実現している。優れたカメラ、長い飛行距離、よくできたコントローラーなど、高品質のドローンとしての重要な条件をすべて満たしている。風にも強く、飛行速度も速くて楽しめる。サイズは非常に小さく、さっとバッグに入れて簡単に持ち運べる。Instagram用の撮影にもぴったりだ。
Mavic Miniの最大のセールスポイントは、もちろんサイズが小さいこと。離陸重量は249g(日本仕様は199g)だ。もちろんこの半端な数字は偶然ではない。重量が250g(日本では200g)以上のドローンを飛ばすには事前の登録や許可が必要となる場合があるからだ。Mavic Miniは軽量で折りたたみも可能なタイプだが、基本的な仕様は優れている。30分間(日本仕様は18分)の飛行時間、4kmまでのHDビデオ送信、2.7Kカメラを保持する3軸ジンバル、AndroidおよびiOSデバイスと組み合わせて動作する物理コントローラーなどを装備している。DJIの他のドローンと比べると、欠けている機能もあるが、399ドル(日本では4万6200円)という価格に対しては、十分な仕様のドローンと言える。
もっと高い金額を出せば、より多くの機能を搭載したドローンが買える。私自身、そうしたドローンのほとんどを所有している。豊富な機能も楽しいことは楽しいが、数年前からDJIの製品も、だんだん機能過多という感じになってきた。今では製品ラインも複雑になってしまい、DJI製ドローンの製品ごとの違いを理解するには、スプレッドシートが必要なくらいだ。ほとんどの製品には、オーナーがけっして使うことのないような、数え切れないほどの機能が搭載されている。Mavic Miniは、そうした製品とは一線を画している。これが基本であり、私は気に入った。
省略された機能を挙げてみよう。衝突検出、超長距離接続、4Kカメラ、ジェスチャーによるコントロール、そして高度なカメラ機能として、追跡フォロー、パノラマ、タイムラプス、光学ズームといったあたりだ。
Mavic Miniは十分に速く、楽しいドローンだが、もちろんあらゆる面で優れているわけではない。応答性は高く、十分に高速だ。軽くて扱いやすい。ただし、Mavic 2と比較すると、やはり小さくてパワーが少ないと感じる。実際、その通りだからだ。とはいえ、小さ過ぎたり、パワーが小さくてもの足りないという感じはない。Mavic Miniはバランスがとれているので、実際に飛ばすのは楽しいはずだ。
小さなサイズにもかかわらず、Mavic Miniは強風にもかなり耐える。米国中西部特有の風の強い秋の日に、200mの上空まで上げてみた。木々から葉をもぎ取るほどの強い風で、私自身は帽子と手袋で身を守っていた。突風も吹いた。Mavic Miniはびくともしなかった。もっとずっと大きなドローンのように離陸し、強風の中を堂々と飛んだ。さらに、ビデオもまったく影響を受けなかった。ジンバルがカメラを安定して保持し、秋の風景をしっかりと記録できた。
Mavic Mini用に、DJIは新しいアプリを用意している。今回のテストには、そのベータ版を使用した。これは、DJI Flyと呼ばれるアプリで、DJI Goを簡略化したもの。そこに、いくつかの機能強化を盛り込んでいる。セーフフライゾーンもアプリに統合されていて、従来のアプリよりも詳細な情報が内蔵されている。空撮共有アプリ、SkyPixelのサポートも強化している。ただし、このバージョンは簡略化されているだけに、DJI Goでは標準的な情報の多くが省かれている。最も目立つのは、画面底部の角にあったミニマップが表示されないこと。DJIには、このアプリのリリース後に、機能を追加してくれることを望みたい。
カメラは価格に見合った品質だ。上の写真は、このドローンで撮影したもので、改変や調整は加えていない。やや曇のある晴れた日に撮影した。ダイナミックレンジは驚くほど広く、青い空と暗いハイライト部分を同時に表現できる。直射日光が当たっている部分では、色褪せたようになってしまうことがあった。
「現に今手にしているカメラこそ最高のカメラだ」とよく言われる。Mavic Miniにもそれが当てはまる。今手に持っているドローンこそ、最高のドローンなのだ。何年もの間、私は巨大なPelican(ペリカン)ケースに、Phantom 2や、後にはPhantom 3を入れて、無理やり持ち歩いていた。それが最高にクールだと思っていたのだ。いざというときには、すぐに車のトランクを開けて、空飛ぶカメラの入ったスーツケースを取り出すことができた。数分後には、スマホとドローンを同期させ、コントローラーをドローンのネットワークに接続できる。それで、飛行時間は15分だった。その後、折りたたみ式のMavicが登場した。これは大きめの望遠レンズくらいの大きさで、カメラ関係の装備といっしょに収納できた。他にもいくつかのドローンが来て、去っていった。一時期は、GoPro Karmaに凝っていたこともあった。
この小さなMavic Miniは、ゲームチェンジャーになる。小さいから、どこにでも持っていける。小さくて軽いので、パソコン用のバッグに入れても、ちょっと大きめのコンパクトカメラくらいに感じられる。
ポータブルなサイズで、もっと多くの機能と、より良いカメラが欲しいなら、Mavic Airがある。今年初めにDJIが発表した折りたたみ可能なモデルで、4Kカメラと5マイル(約8km)のビデオ送信能力を備え、価格は919ドル(日本では10万5820円)だ。
多くのオプションを同梱した「Mavic Mini Fly More コンボ」という製品も用意されている。価格は499ドル(日本では5万9400円)で、感じのよいケース、2つの予備バッテリー(合計3個)、よくできた充電用ハブ、プロペラガードなども付属している。Mavic Miniのカメラは驚くほど優れているが、本体はDJIのもっと高価なドローンほどパワフルでないのは認めざるを得ない。本機は、初めてドローンを購入する人にも、経験豊かなドローン愛好者にも薦められる。DJIは、249g(日本向けは199g)のボディに十分な機能を詰め込み、誰にとっても素晴らしいドローンを作ることに成功した。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)