N26はヨーロッパで1番の先進的な銀行になるべく、最近ものすごいペースでプロダクトの改良を行っており、新機能も多数追加されたほか、サービスを提供している地域も段々と広がってきている。そして新機能はいつも同じ「今あなたが使ってる銀行はダメだ。全てもっとシンプルにできるはず」というスローガンと共に導入される。そんなN26が小口融資の新機能を発表した。
数週間前にこの新機能のデモを見たときはなかなか感動した。ドイツに住んでいる人はアプリ上で融資申請をすることができ、アプリが基本的な質問をユーザーに投げかけながら、順番にフォームを埋めていくような仕組みになっている。
借りたい額や配偶者の有無、家を所有しているかといった質問に答えていき、クレジットチェックが終わると、年利と実際の返済額が表示される。さらにローンの返済期間もカスタマイズ可能だ。
例えば1万ユーロ(約120万円)借りたい場合、N26のアプリ上でクレジットチェックを終えると利率(例えば年利4.59%)と返済額(1万475ユーロ)が表示される。とても分かりやすく、N26はユーザーから何も隠そうとはしていない。そしてユーザーが表示された条件を受け入れると、特別な書類の提出も無しに約1時間後には、N26のアカウントに申請した金額が入金される。
現在のところ、この機能はドイツ国内でのみ利用可能で、借入額の範囲は1000〜2万5000ユーロ、利率が年利で2.99〜8.00%、返済期間は最大5年間となっている。このサービスの裏側では、N26自体が貸出を行っているローンもあれば、サードパーティーの金融機関がN26経由で貸し出しているものもある。
これこそがN26の強みで、同社は複雑なインフラをまとめつつ、消費者に対しては極めてシンプルな機能を提供しているのだ。N26のユーザーにとっては、返済金額さえ把握できれば、お金がどこから来ようが関係ない。
ドイツ以外の状況はどうだろうか?もしもN26の動向を追っている人であれば、同社がEU全体で有効なフルバンキングライセンスを取得したと知っているかもしれない。N26の共同ファウンダー兼CEO Valentin Stalfは、TechCrunch Disruptにて今後ヨーロッパの17ヶ国に進出すると話していた。そしてその17ヶ国に住む人たちは、既にN26で口座を開設できるようになっている。
しかしまだこれは序章に過ぎない。N26は将来有望な市場に注目し、既存のプロダクトを凌駕できるようなものをつくろうとしている。最初のターゲットはフランスだ。現在のところフランス国内のユーザー数は3万人しかいないが、1日あたり1000人のペースで増えている。さらにStalfは、フランスの商業銀行はヨーロッパの中でも最も利用料が高く設定されていると話す。
今の勢いが続けば、すぐにフランスのユーザーは何十万人という数になるだろう。そのためN26は、ベルリンのオフィスで主要諸国の国別担当マネージャーを採用中だ。フランスは、Jérémie Rosselliが担当することになっている。さらにN26はフランスの地元フィンテック企業と協力し、現在ドイツのユーザーが利用中の機能全てを、フランスでも使えるようにしようとしている。
ヨーロッパ中で金融商品を展開するというのは、単にスイッチをONにするよりも少し複雑な話だが、投資や貸出、当座貸越といった機能がそのうちフランスでも利用できるようになるだろう。そしてスペインやイタリアなど、他の国もその後に続くことになる。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)