中小企業向け保険テックのNext Insuranceが276.8億円を調達、1年足らずで評価額を4428億円超に倍増

Next Insurance(ネクストインシュアランス)は先日、2億5000万ドル(約276億8000万円)の資金調達ラウンドを実施したと発表し、SMB(中小企業)に特化した保険プロバイダーの評価額は40億ドル(約4428億2000万円)となった。同社は前回、2020年9月にも2億5000万ドル(約276億8000万円)を調達しており、その時の評価額は20億ドル(約2214億1000万円)だった。今回の資金調達は、Next Insuranceが2020年12月にJuniper Labsを買収し、さらに最近では2021年3月初めにAP Integoを買収した後のことだ。

Next Insuranceは、さまざまなクラスの労働者を対象に、多数のカテゴリー(労災、商用自動車、一般賠償責任など)にまたがる中小企業向けの保険を販売している。例えば、フィットネス企業や建設関係などを考えてみて欲しい。つまり同社の狙いは、異なるカテゴリーや業界に対応した保険料を設定できるモデルで無数の中小企業を取り込み、時間をかけて他の商品にアップセルすることで、総収入保険料(GWP:gross written premium)をスケールすることにある。

Next Insuranceの新ラウンドと新しい評価額は、インシュアテック分野全体にとって興味深い時期に来ている。テクノロジーを駆使した次世代保険のニッチ分野で早期に公開されたレンタル保険のユニコーン、Lemonade(レモネード)の株価は当初に比べ落ち着いてきた。

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Lemonadeのデビュー以来、Root Insurance(ルートインシュアランス)のIPOも我々は見てきた。この自動車保険スタートアップの場合は、投資家の予想を上回る成長を遂げたにもかかわらず株価が下落し、訴訟を起こされるなど、デビュー以来苦戦を強いられている。MetroMile(メトロマイル)も自動車保険に特化したネオ保険会社で、SPAC主導の組み合わせで上場したが、取引を開始してから若干の不調が続いている。住宅保険に特化したHippo(ヒッポ)は、50億ドル(約5535億3000万円)の評価額でSPACを介して上場する意向だ

これらの数字の中には、オプティミズムもあれば、精彩を欠いた取引結果もある。どのように捉えるかは、人によって異なるだろう。

しかし、Next Insuranceの投資家たちはゴーサインを出している。そして、同社の市場全体が多少混乱していたとしても、彼らの熱意は見当違いではないと信じられる理由がある。

Nextは、前回のラウンド後の半年間でGWPが2倍になったと述べている。それを踏まえると、評価額が2倍になったのはある程度妥当に思われる。個人投資家がGWPの倍率で株を買ってくれたのなら、倍の価格で再調達し、会社が継続的に成長している間にGWPをさらに倍にしない理由があるだろうか。

では現在のNextの規模はどのくらいなのだろうか?2020年2月に同社のGWPランレートは1億ドル(約110億7000万円)に達した。そして2021年の2月には、GWPランレートが2億ドル(約221億4000万円)に達している。つまり、Next Insuranceとの買収取引が発表された時点で約1億8500万ドル(約204億8000万)の有効保険料を計上していたAP Integoの事業を除き、それより数カ月ぶん大きくなっているということだ。

この数字を明確にするために、TechCrunchはNext Insuranceに連絡を取り、GWPを2倍にした時期と、AP Integoとの契約が数字にカウントされるようになった時期の詳細を聞いた。CEOのGuy Goldstein(ガイ・ゴールドスタイン)氏からのメールによると、GWPの2倍という指標は「2020年の数字に関連しており、AP Integoの買収前に算出されたもの」とのこと。つまり現時点で同社は、以前に発表した2億ドル(約221億4000万円)のGWPランレートをはるかに超えていると推測される。

さらにTechCrunchはSPACブームについて触れ、そのような公開市場への急速な道筋を避けるつもりがあるのかどうか質問した。ゴールドスタイン氏はそれに対し「当社は常に選択肢を検討していますが、今のところはビジネスの成長に主眼を置いています」と答えた。

答えは「ノー」ということか。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Next Insurance資金調達保険

画像クレジット:PeopleImages / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Aya Nakazato)