猫と人とのマッチングサービス「nyatching」の全国登録開始、殺処分ゼロ目指す

福岡を拠点とするスタートアップであるnyansは2月22日、近所で猫を世話してくれる「猫友」(ねことも)や、世話してほしい猫を見つけられるサービス「nyatching」(ニャッチング)の全国登録を開始した。

nyatchingは、長期不在時にペットホテルに預けるのは不安、そもそも預け先がなくて旅行にいけない、ひとり暮らしなので猫を飼えない、といった、猫好きの悩みを解決するサービス。同サービスによって、困ったときにお互いの猫を世話したり、猫の誕生日を一緒に祝ったり、迷子になった猫仲間を協力して捜索したりといった猫コミュニティも構築できる。同社はnyatchingを介して、殺処分前の猫を引き取る人が増え、猫を捨てる人が減る世の中を作り、殺処分ゼロを目指す。

猫の飼い主はもちろん、プロシッター(要資格証明書)や猫を飼ってない猫好き(世話はできない)も登録できるほか、世話係の募集やスカウト、世話係への立候補といった機能もある。プロシッター監修によるお世話ノート機能なども利用可能だ。専門家によるLINEによるサポート体制も整っており、毎日10時~18時に相談できる。平日だでなく土日祝でもサポートを受けられる。

nyatchingはLINEアカウントを使って簡単に登録可能だが、猫の世話をしたい場合は本人確認書類コピーのアップロードが必要になる。利用料金は現在のところ無料で、猫友に世話してもらった場合に任意に謝礼を贈ることもできる。プロシッターに世話してもらう場合は、所定のシッター料金がかかる。

2019年春にはプレミアムプランの提供を予定。万が一に備えた保険や、トラブル時に獣医師に相談できるサービスを用意するという。

同社は、2017年11月設立の福岡を拠点とするスタートアップ。nyatchingは2018年2月22日に一部地域でサービスを開始。1年後の同日に全国登録が始まった。2018年3月22日には、複数のエンジェル投資家などを引受先とする総額3000万円の第三者割当増資も実施している。同社は、全国版開始にともない「猫社員」も募集するとのこと。

猫の飼い主同士をマッチングするnyansが複数のエンジェル投資家から3000万円調達

猫の飼い主同士をマッチングする「nyatching(ニャッチング)」を提供するnyans(ニャンズ)は3月22日、複数のエンジェル投資家を引受先とする総額3000万円の第三者割当増資を実施した。

2月22日の猫の日にサービスローンチしたnyatchingは、猫の飼い主限定のマッチングサービスだ。近所に住む猫の飼い主を探し、家を留守にする際の猫の世話を他のnyatchingユーザーに依頼することなどを目的としている。

サービスローンチ時には本社のある福岡県在住のユーザーを限定に事前登録を開始していたnyatching。ローンチからちょうど1ヶ月の現在、事前登録には数百人のユーザーが登録済みだという。同社は今回の資金調達を期に、東京23区在住のユーザーからの登録を受け付ける。

地域限定で事前登録を実施する意図について、nyans代表取締役の谷口紗喜子氏は「サービス自体がご近所さんでのマッチングを重要視しているため。地域を絞らないと会員が分散されてしまい、ご近所さん同士でのマッチングが図りづらくなることを懸念しており、まずは地域を絞ってサービスを展開する」と話す。全国での展開の時期は未定だという。

家を留守にする猫の飼い主が助け合うアプリ「nyatching」、猫の日にリリース

ペットを飼っていると困ってしまうのが、出張や旅行で自宅を何日間か留守にするとき。可愛いペットたちに餌をあげなくてはならないし、トイレシートも変えなければならない。散歩につれて行く必要もある。

でも、ペットシッターを雇えば1回あたり数千円の料金がかかるし、ペットホテルは環境の変化によるペットへの負担が心配だ。上京したての人などは特に、家を留守にする間にペットを預けられる友人や家族がいないこともしばしばだ。

本日サービスローンチを発表した「nyatching(ニャッチング)」は、そんなときに重宝できそうなサービス。その運営元であるnyans(ニャンズ)は2月22日、同サービスの事前登録の受付を開始すると発表した。

nyatchingは、猫の飼い主同士をつなげるマッチングサービスだ。ユーザーは自身と飼い猫のプロフィールを登録し、近所に住む飼い主仲間を検索する。気になる相手がいれば、Facebookの“友だち申請”にあたる「マーキングボタン」を押す。両方がマーキングすれば、マッチが成立してメッセージのやり取りをすることができる。実際に会ってみてお互いの信頼が築けたら、家を留守にしなければならないときなどに助け合うきっかけになる。

nyansは飼い主同士のマッチングアプリだが、考え方によってはペットシッター専門のクラウドソーシングと捉えることもできる。しかし、nyans代表取締役の谷口紗喜子氏は、飼い主が他のユーザーにペットの世話を頼むときに仲介手数料を頂くことはまったく考えていないと話す。「『お金をもらえるから』という理由で飼い主に使われるサービスを作りたくなかったからです」(谷口氏)。

その代わり、nyansはサービス運営で集めたデータを活用してマネタイズをする。谷口氏によれば、日本のペットフード業界は飽和状態であり、ペットフードを販売する各社は高付加価値のペットフード販売へと舵をとりつつあるという。高付加価値製品のマーケティングによく使われるのがサンプリング。nyansはここに目をつけた。

「ペットフード会社は、アルバイトを雇ってスーパーに配置するなどの方法でサンプルを提供しています。業界への聞き込みをした結果、ペットフード業界が潜在顧客に対して直接サンプルを提供する手段がないことが分かりました」(谷口氏)

先ほど述べた通り、nyatchingのユーザーは登録時に猫と自分自身のプロフィールを登録する。そこには、現在与えているペットフードは何か、どんな病院に通っているのか、飼い猫の種類と年齢などの情報が含まれる。これらは他のユーザーのペットの世話を引き受けるときに必要な情報でもあるから、ごく自然なかたちでnyatchingに集まるデータだ。

nyansはそれらのデータを利用して、将来的にnyatchingをペットフード会社向けのマーケティング・プラットフォームとして開放することでマネタイズを図る。それに加えて、同社は保険会社と共同で、ペットの世話を頼むときの“万が一”に備える短期保険の販売も行うという。

この将来の展望まで聞いてみると、「お金を稼ぐことが目的で使うサービスを作りたくなかった」という谷口氏の言葉に非常に納得がいった。サンプルマーケティングの場としてプラットフォームを開放するのであれば、そこには本当の猫好きが集まっている必要がある。お金を受け取れるから世話をしてあげる人ではなく、猫が好きだから世話をする人を集めることが重要になるのだ。

nyansは2017年11月の設立。同社のビジョンは「ペットの殺処分ゼロの世界」を目指すことだと谷口氏は話す。そのため、今後nyansは今回リリースしたnyatching以外にもさまざまなサービスをリリースしていくという。なお、彼らは現在シードラウンドでのファイナンスに向けて準備を進めている最中だ。

そうだ、最後に1つ。谷口氏を取材していたとき、ものの数分で彼女が“真の猫好き”なのだと分かった。谷口氏は福岡県に在住しているから今回の取材はビデオチャットだったのだけれど、彼女は猫の話をするとき、目を輝かせ画面に向かって身を乗り出すように話をする。なにより、サービスローンチは2月22日(ニャンニャンニャン)、猫の日だ。

自分が本当に好きなことをビジネスにすることの重要性は、いたるところで目にしたり、聞いたりする。でも、今回の取材で改めてそれを実感した。