慶應義塾大学医学部発のスタートアップ企業OUI(ウイ)は6月11日、iPhoneに取り付けて眼科診察を可能にするアタッチメント型医療機器「Smart Eye Camera」(SEC)が欧州連合地域(EU)で医療機器登録を行い、EU指令・規則における必須要求事項に適合したことを示すCEマークの表示(CEマーキング。Conformité Européenne)が可能となったと発表した。
SECは、すでに日本国内での医療機器として登録済み。眼科医の駐在がない離島におけるドクター to ドクターでの遠隔相談や、医療機関を訪問できない患者さんに対しての訪問診療で使用されているそうだ。また、アジア・アフリカ地域をはじめとする世界10カ国以上で、現地の眼科医・NGO・医療機関・国際機関と協力して、様々なパイロット実証を行っている。国際的な認知度の高いCEマーキングにより、欧州市場のみならず、これら地域においてもSECに対する認知度・信頼度がさらに高まることが期待できるという。
OUIは、今後も国内外の多様なパートナーと連携しながら、SECを国内外に広めることで2025年までに世界の失明を50%減らすことを目指す。
OUIは、「医療を成長させる」を理念に、慶應義塾大学医学部の眼科医が2016年7月に立ち上げたスタートアップ企業。眼科の診察を可能にするiPhoneアタッチメント型医療機器SECをゼロから開発し、約1年半で完成させた。iPhoneのカメラと光源を利用した眼科診療機器は本邦初としており、動物実験の結果およびヒトの眼を使用した臨床研究の結果にて、既存の細隙灯顕微鏡と同等の性能があることが証明されているという(Evaluation of Nuclear Cataract with Smartphone-Attachable Slit-Lamp Device、Smart Eye Camera: A Validation Study for Evaluating the Tear Film Breakup Time in Human Subjects Translational Vision Science & Technology April 2021, Vol.10, 28.など)。
世界の失明原因第1位は白内障とされており、白内障は適切な時期に治療をすれば失明に至らない可能性が高いにもかかわらず、発展途上国においては白内障による失明が社会問題となっている。SECは、iPhoneに取り付けて使用する小型な医療機器であるため、電気のない地域や被災地など場所を選ばず眼科診察を可能にするとしている。
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