Oura Ringは今の時代を生き抜くための指輪型健康トラッカー、睡眠分析機能はwatchOS 7を凌ぐ

Oura Ringは、新型コロナウイルスのさまざまな研究に貢献しているだけでなく、新型コロナウイルスの蔓延を防ぐための潜在的なツールとしてNBAとWNBAに採用され、これら2つのリーグの試合を定期的なスケジュールに戻すために役立っているという点でも最近注目を集めている。Ouraはこれまで、Oura Ringを数世代をリリースしている。これは健康状態と運動量を計測するトラッカーで、私はこの1カ月間にわたってOura Ringを使ってきた。

Oura Ringとは何か?

Oura Ringは、似たような目的を持ったほかのウェアラブルとは似ても似つかないヘルストラッカーだと言える。このリングは、一般的な指輪、すなわちスマートな機能を持たない指輪とほとんど区別がつかない。また、いくつかの異なるデザインと複数の仕上げ加工の製品がラインアップされている。リングの内側にはセンサーが付いているが、全体的な厚みはほとんどなく装着すると完全に隠れる。

小型でスリムだがバッテリーを内蔵しており、Bluetooth経由でスマートフォンと通信して指輪内蔵センサーが収集したデータを送信する機能を備える。Oura Ring専用の充電ドックにはUSB-Cを備えたスタンドがあり、非接触で充電できる。

内蔵バッテリーは、睡眠中に装着したままでもフル充電状態で7日間の連続使用が可能だ。バッテリーの持ちは一般的に考えて十分に長い。充電時間も短くて済むので気が付いたときに充電ドックに入れるのを忘れないようすれば、バッテリー切れは防げるだろう。私の場合、デスクでの仕事中は充電ドックにOura Ringを入れていた。またOura Ringの専用アプリは、バッテリー残量が残り少なくなったときに、寝る前に充電を促す通知を送ってくれるので安心だ。

ボディーにはチタンを採用

最新のOura Ringは「Balance」と「Heritage」の2つのデザインを用意しており、どちらもメタリック仕上げだ。さらに、光沢のあるシルバーと光沢のあるブラックの2つのオプションがあり、「Balance」にはダイヤモンドがちりばめられたプレミアムバージョンもある。なお、私が試用したのはマットブラック仕上げのものだ。

本体の金属素材は軽量なチタンで、内部側はセンサーを保護するためにプラスチック素材が使われている。外側はキズがつきにくいコーティングが施されているものの、ほかの金属製ジュエリーと同様にキズがつかないというわけではない。私が試用したマットブラック仕上げのOura Ringは何週間か使用したあとに確かに多少の摩耗などが見られたが想定内の範囲で、驚くほどの弾力性がある。個人的な意見だが、外見上の小さなキズはデザインを損なわず、逆にいい味わいを醸し出してくれる。

Oura Ringはサイズやフィット感が非常に重要で、ユーザーの指にフィットするよう工夫されている。無料のサイズ計測キットを提供しており、まずはどのサイズが最適かをユーザーが判断し、どの指を装着するかを決めればいい。Oura Ringはモニタリングのために指にぴったりとフィットさせる必要がある。

実際のところOura Ringのデザインは魅力的で、1日中、そしてひと晩中着けていられる信じられないほど快適なデバイスだ。Apple Watchやそのほかの手首装着型のウェアラブル端末とは異なり、睡眠中の装着やさまざまなタイプのバンドの不快感に慣れる必要もない。私は装着していたことを忘れてしまったほどだし、一般的な指輪のようなので他人からもOura Ringを付けていることを気付かれることはないだろう。

watchOS 7を超える睡眠監視機能

Oura Ringは何を追跡しているのだろうか?具体的には、睡眠のほか待ち受け状態と活動状態に分けてさまざまな数値を測定している。「Sleep」「Readiness」「Activity」はいずれも、総合的なサマリースコアを100点満点で示し、ユーザーは現在の状態を把握できる。なお実際には内蔵センサーが取得したさまざまスコアを掛け合わせて算出している。

Oura Ringの睡眠トラッキング機能は、アップルが今秋にリリースするwatchOS 7に備わるApple Watchの睡眠トラッキングよりもはるかに詳細だ。眠りについた時間、どのくらいの時間寝ているか、どれくらいが眠りが深いか、レム睡眠かどうかなどをモニタリングしてくれる。取得したデータから、睡眠効率、ベッドで過ごした時間、合計睡眠時間なども算出可能だ。特になにも行動していない、いわゆる待ち受け状態のときは、体温、心拍変動、呼吸数、安静時の心拍数などをトラッキングする。運動しているときは、自動的にカロリー消費量、非アクティブな時間、歩数、全体的なアクティビティの目標にどれだけ近づいているかを測定する。

これら3カテゴリーすべてについて、個々の活動量を分析して時間の経過や1日あたりのスコアの推移、そして全体的なスコアを見ることができる。アプリ内ではフィードのようなダッシュボードが表示され、そのスコアとトレンドに基づいて、1日の行動や睡眠習慣をどうすべきかについての実用的なアドバイスを受けられる。

これは、私が使った中で最も理解しやすい健康トラッカーであると同時に、何が実際に追跡されているのか、そしてそれが何を意味するのかを深く掘り下げてくれるアプリでもある。このアプリは、ユーザー各自の基準値を定め、その基準値からの逸脱を常に監視し、それに基づいてアドバイスを提供してくれるので、具体性と有用性が高い使用感を得られるはずだ

個人の健康状態を長期的に見守ってくれる

Apple Watchをはじめとするほとんどのウェアラブル端末は「邪魔くさい」「使い続けるのが面倒くさい」という人も多い。Oura Ringは指輪形状なので邪魔にならないデザインであり、利便性と実用性を兼ね備えた健康モニタリング機器としはトップクラスの製品だろう。

Oura Ringが実際に新型コロナウイルスへの感染を正確に検出できるのか、あるいは症状の発現を予測できるのかどうかについてはまだ結論は出ていない。しかし、このデバイスは個人の健康状態を常時モニタリングでき、日々の体調を管理するには素晴らしいプロダクトだ。個々の基準値を定め、実際の全体的な状態を基準値と毎日比較することによって、個人の長期的な健康状態を見守ってくれるのだ。

画像クレジット:Darrell Etherington

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(翻訳:TechCrunch Japan)

スマートリングが取得する生体情報で無症状コロナ感染者を早期発見、ウエストバージニア大学が開発

ウエストバージニア大学(WVU)ロックフェラー神経科学研究所(RNI)と同大医学部の研究者はOura(オーラ)の協力を得て、新型コロナウイルス(COVID-19)感染の兆候をいち早く警告するシステムを開発した。

このプラットフォームは、健康な人が新型コロナウイルスに感染した場合に、Ouraのスマートリング「Oura Ring」を装着していれば、このリングが取得する生体情報を利用して自覚症状が出る3日前からウイルス感染を警告できるという。無症状の人々がいち早く検査を受けることが可能となるだけでなく、医療関係など第一線のスタッフの感染リスクの低減に役立つことを開発チームは期待している。

Oura Ringは通常の金属製の指輪のように見えるが、本体にセンサーを内蔵しており、体温、睡眠パターン、活動量、心拍数など多数のバイオメトリクスデータをモニタする。研究者チームは、このバイオメトリクスと約600人の医療、救急関係者から得た感染者の身体、認知、行動上の変化に関する情報を組み合わせた。

ボランティアがこのスマートリングを指にはめてサンプルデータを提供。研究チームはこのデータを利用して自覚症状が現れる前に発症を予測するAIモデルを開発した。開発はまだ初期段階であり、専門家によってレビューされていないとはいえ、発症予測の精度はすでに90%以上に達しているという。

発熱、咳、呼吸困難、倦怠感などはすべて新型コロナウイルスに感染していることを示す可能性がある。もちろん新型コロナウイルス以外の原因でもありえる。しかしこうしたデータを総合した判定によって、ユーザーはもっとはっきりした自覚症状が現れる3日前に検査を受けられる可能性がある。つまり自覚症状がないままに周囲に感染を拡大する危険な期間を最大3日短縮することになる。

次の段階として、他の大学などの研究機関の協力を得て複数の州の1万人にリングを着用してもらうという。 研究資金はRNI(および同組織への寄付者)から全額提供されており、Ouraはハードウェアの提供者という資格で研究を支援している。既報のとおり、同社はカリフォルニア大学サンフランシスコ校の同種の研究にも協力している。

無症状の時点で新型コロナウイルス感染、発症のリスクを予測できるモデルを確立するために多数のプロジェクトが進行中だ。これまでの知見によれば、感染者の大部分は感染者初期にはほとんど、あるいはまったく自覚症状がない。RNIの研究は初期の段階とはいえ、そのような予測が可能であることを示すものだ。市販され誰でも利用可能なハードウェアでこれが可能になるというのは特に重要なポイントだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

医療機器メーカーOuraとUCサンフランシスコ校がスマートリングによる新型コロナ検出を共同実験中

スタートアップ各社は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中、世界的なウイルス蔓延との戦いに貢献する方法を探している。パーソナル医療ハードウェアメーカーのOura(オーラ)も例外ではない。スマートリング(指輪)のスタートアップはカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)と共同で、同社のスマートリングが新型コロナの発病を表す生理学的反応の検出に役立つかどうかを研究している。

この研究は2つの部分から成る。現場で働く医療専門家約2000名が研究期間中Ouraリングを着用する。リングは使用者の体温を連続して測定し、睡眠パターン、心拍数、活動レベルなども記録する。発熱は新型コロナの発病を表す早期症状であり、体温を連続的に測定することで発熱を非常に早く検出できる可能性がある。もちろん新型コロナ感染を確認するためにそれだけでは十分ではないが、本研究の目的はOuraのリングが追跡するデータを他のデータと組み合わせることによって、早期発見の何らかの役に立つかどうかを見極めることだ。

Ouraが早期発見に役立つと研究者たちが信じるには相応の理由がある。フィンランドのあるOuraユーザーは、ウイルスの明らかな症状が出る前に彼が病気であることをOuraが警告し、検査を受ける(その国では比較的容易)よう促したと報告している。検査の結果、無症状ではあったが実際に新型コロナに感染していたことがわかった。ここからUCSFの研究者であるAshley Mason(アシュリー・メイソン)博士は、Ouraリングは咳などのより明確な症状が始まる2~3日前に新型コロナの発病を予測できるという仮説を立てた。

体内のウイルスを早期に検出する能力は、世界的な封じ込めにとっても重要だが、最前線の医療従事者にとってはいっそう重要だ。彼らが早く診断されればされるほど、同僚や近くで働く人たちを危険に晒す可能性は低くなる。

Ouraリングを被験者に提供することに加えて、研究計画では対象をさらに拡大し、Ouraの一般ユーザーも含めようとしている。すなわち全世界15万人のユーザーが研究にオプトインできるようにして、リングの測定値と日々の症状を記録に追加できるようにする。すでにOuraを使っている人にとっては、パンデミックとの世界的戦いに貢献する比較的容易な方法だ。家を出る必要もない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook