Googleにとって、写真を保存し共有するアプリケーションを二つも提供し続けることは、理に合わない。二つとは、新しいアプリケーションGoogle Photosと、今や古びたソフトウェアPicasaだ。そこで同社はついに腰を上げた: Googleの今朝(米国時間2/12)の発表によると、2016年3月16日以降はPicasaデスクトップアプリケーションのサポートを行わない*。また、さらにそのあとには、Picasa Web Albumsをアーカイブし、ユーザーにはGoogle Photosへの乗り換えを奨励する。〔*: Googleがサポートをやめるだけで、Picasaへの静的アクセスは可能。〕
今日の発表のトーンからは、今でもPicasaを愛用している古くからのユーザーへの遠慮というか、配慮が伺える。同社は、エンドユーザーが移行を苦痛なく行えるために、長い時間をかけて努力した、と言っている。
Google PhotosのトップAnil Sabharwalが、ブログでこう書いている: “多くの方が、Picasaを利用してご自分の写真やビデオをたいせつに管理しておられることを、私たちも承知しております。みなさまはこれまで、多くの時間を投じ、人生のもっとも貴重な瞬間をわたくしどもにゆだねられたのです。ですから、移行は時間をかけて慎重に行わなければなりません。そして、ご自分のコンテンツに容易にアクセスできるためのオプションをお作りし、ご提供しなければなりません”。
Picasaのデスクトップアプリケーションを使っている人は、閉鎖される3月16日まで、コンテンツを見たりダウンロードすることはできるが、この日以降、新たなアップロードはできなくなる。
最近は、Picasaのアップデートも前ほどは行われなくなっていた。デスクトップアプリケーションは、小さな改良やセキュリティパッチ、バグフィクスなどは行われたが、全体的なユーザーインタフェイスは、今ではとても古めかしく感じる。何年も前から、変わっていないのだから。
Google Photosに乗り換えたい人のために、デスクトップアップローダーアプリケーションがphotos.google.com/appsに用意されている。今後は、これを使うとよいだろう。〔新たに写真等をアップロードする場合〕
ユーザーによっては、Picasa Web Albumの上に集積したデータが気になるかもしれない。その中には、写真に関するとても具体的な情報もある。ユーザーは、写真をまとめるためにタグやキャプションを付けたかもしれない。友だちや家族が、一部の写真にコメントを寄せたかもしれない。しかしこれらのメタデータは、Google Photosに移行しないようだ。
Googleによれば、なにしろGoogle PhotosにログインしただけでPicasa Web Albumのコンテンツは自動的に移転されている。その後のアクセスも変更も共有も、簡単にできる。
しかしそれでも、Google Photosに移行したくないPicasa Web Albumのユーザーもいる。でも、上記のメタデータがその理由なら、Googleは、Google Photosの中にPicasa Web Albumのデータにアクセスできるための“特別の場所を作る”、と言っている。
この特別の場所について詳しい説明はないが、なにしろPicasa Web Albumsを見たり、ダウンロードしたり、削除するためのツールが提供されるらしい。でも、アルバムを新たに作ったり、まとめや編集をやったりするためには、Google Photosやそのほかのプログラムへ移行しなければならない。
こういう移行作業は、2016年5月1日まで可能だ。つまり3月16日の、Picasa閉鎖後でもよい。既存コンテンツへの静的(非加工的)アクセスは、できるのだ。
PicasaのAPIも、一部は機能しなくなるから、困るデベロッパーがいるかもしれない。
Google Photosという機能性の優れた新しいアプリケーションがありながら、Picasaという古いアプリケーションの閉鎖までにこんなに時間がかかったのは、ちょっと意外だ。
私なんか、PicasaやWeb Albumの調子がおかしくなるとGoogleに、Picasaを殺したの?と尋ねていた。するとGoogleの担当はいつも、“no”と答えた。昨年の夏というかなり遅い時期ですら、彼らはPicasaへの献身を自慢していた。“PicasaはPhotosプロダクトの一環として今後も継続します。PicasaにGoogle Photosとの完全な互換性を持たせるために、私たちは真剣に努力しました”、と彼らは言っていた。
今となっては、両者の完全互換は諦めたように見える。
しかしそれでもGoogleは、移行の発表声明で、Picasaとそのオンラインアルバムの、ユーザーベースが今だに相当大きいことを気にして、その人たちに話しかけているし、しかも、古いプロダクトを日常的に使い慣れている人たちは、今回の変化を歓迎しないだろう。