VR空間でAI講師が英会話を教える「Smart Tutor」開発元がDBJキャピタルとD4Vから150万ドルを資金調達

AI×VR技術を応用した英会話学習ツール「Smart Tutor」を開発するPlusOneは、5月16日にDBJキャピタルD4Vを引受先とする総額150万ドル(約1億6500万円)の第三者割当増資を実施していたことを明らかにした。

PlusOneは2016年8月、サンフランシスコを拠点に創業した。2017年3月にHTCのアクセラレータプログラム「Vive X」でエンジェルラウンドの資金調達を受けており、今回の調達は同社にとってシードラウンドにあたる。

PlusOneが英会話スクール向けに提供するSmart Tutorは、VR空間上で生徒がレッスンを受けられる英会話学習ツールだ。AIを搭載したヒューマン・ホログラム「Holosapiens」が生徒のスピーチを、発音・流暢さ・スピーチペースなど7つの評価指標でリアルタイム分析。スピーチ内容を客観的にスコア化することができる。

また、Holosapiensが発音などの基本的な指導や練習相手を不足する語学講師に代わって行うことで、講師の業務負担が軽減され、限られた時間でより多くの生徒を指導することができるという。

PlusOneでは、VR空間でのシナリオを作成するツール「WebTool」も提供。英会話スクールは自社コンテンツをVR内のコンテンツに手軽に変換でき、生徒へ割り当てることが可能だ。また、先生がWebTool上から生徒の練習状況や評価指標のトラッキングを行い、指導に生かすこともできる。

PlusOne CEOのJon Su氏は、ディズニー米国本社、日本支社、中国支社で6年間アートディレクターを務め、ディズニー ツムツムなどの人気アプリ作成にも携わった人物。自身の体験から「仕事の傍ら語学スクールに通うのはお金も時間もかかる。もっと効果的で、時間・空間に縛られない学習方法が必要だと強く感じた」と述べ、将来的に「誰もが手軽な値段で、時間・場所など物理的な制限に縛られることなく、良質な語学教育を受けられる世の中にしたい」と語っている。

また、プラスワンジャパン代表の栗原聡氏は英会話スクールの社長を務めてきた経験から、「既存の英会話教育は労働集約型で、良い先生を獲得するための採用コストや給料が経営を圧迫し、生徒の負担となる」と英会話スクールの経営課題について語る。「Smart Tutorは、AI技術により、先生のスキルに頼らない客観的評価を提供する。英会話教育を劇的に変えるソリューションだと感じた」(栗原氏)

Smart Tutorの料金は、組織用に1アカウント、講師用に5アカウント、生徒用に30アカウントが含まれているマスターライセンスで月額30万円から。

PlusOneでは今後、エンドユーザーへのVR浸透率やハードウェアの改良をみて、エンドユーザーが自宅からコンテンツにアクセスできるよう、Smart Tutorのプラットフォーム化も視野に入れていくとしている。