プールの水質を常時監視するSutroのコネクテッドデバイス

Sutroは2015年にTechCrunchが主催したHardware Battlefieldに登場したが、その後の4年間で製品は大きく変わった(当然だろう)。今回取材でSVV(Shenzhen Valley Ventures)の深圳本社を訪ねたとき、同社はそのアクセラレーター事業に参加していた。そこは、製品が一般市場にローンチする前に6週間を過ごす場所としてはいい場所だ。発売までに整えるべき条件が、いろいろあるからだ。

同社の製品の中心的な機能は前と同じで、プールに浮かべておくと水の塩素濃度やpHなどの水質情報を知らせてくれるコネクテッドデバイスだ。今の完成品は筒型になり、露出しているワイヤーが前より減った。ちょっと見ると携帯用マグカップが水に浮いてるみたいだ。

1月のCESでは製造を担当してくれるパートナーが発表され、今や6週間後には予約購入者に製品を発送できるそうだ。その後、プールのストアや、あちこちのネットショップでも買えるようになるだろう。今は直販のみだが。

お値段は699ドル(約7万5000円)と高いが、このベイエリアに本社を置くスタートアップによると、プールの水質を常時監視するのはとても面倒な仕事だから、かなり需要はあるだろうと見ている。これまでの5年近くで、かなりの数の関心が寄せられているそうだ。

まだ計画段階のバージョン2には、化学物質を水中に放出する機能がある。この水質自動調節機能は市営などの規制のあるプールで重宝されそうだ。

でも、ハードウェアは同社の第一歩にすぎない。Sutroが考えているのは、このデバイスが十分普及すれば、水質に関する有益なデータセットが得られることだ。貯水池や導水管の水質検査は至るところで行われているが、肝心なのはホースや蛇口のところだ。最近ではフリント市の悲しい例もある。川の水が老朽化したパイプを腐食し、鉛が水道水に混入したのだ。

同社の目標は、このデバイスや今後の製品からデータを集めて「水のゲノム」と呼べるようなデータセットを作り、世界中の水質に関する豊富な情報を提供していくことだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

DMM、クラウドストレージアプリ「POOL」と音楽アプリ「nana」の運営元を買収

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2016年12月に、ピクシブ創業者・代表取締役社長である片桐孝憲氏の社長就任を発表して話題を集めたDMM.com。体制を新たにした同社がスタートアップの買収を発表した。DMM.comは1月27日、クラウドストレージアプリ「POOL」を開発、運営するピックアップ、 音楽アプリ「nana」の開発、運営を行うnana musicの株式を取得し、子会社化したことを明らかにした。買収額はいずれも非公開。

160万人、34億枚の写真を扱う「POOL」

ピックアップは2014年設立。代表取締役社長の宮本拓氏はBASEに勤務したのち、独立した人物。同社が提供するPOOLは、手軽な操作で利用できる画像、動画用のクラウドストレージアプリだ。

screen696x696-1TechCrunchの読者であれば「そんなの、iCloudだってあるし、DropboxもGoogle フォトもある。それでいいじゃないか」なんて思うかも知れないけれど、これらのプロダクトすら使えないような若い世代をターゲットにしているという。

宮本氏に以前聞いたところだと、当時好きだった女の子から「スマートフォンで写真を撮り過ぎてデータの容量が増えて困っている。どうすればいいのか?」といった質問を受けたのがPOOL開発のきっかけだという。

当時宮本氏は「Twitterで『写真 容量』で検索すると、若い世代の悩みがいろいろ出てくる。それで調べてみると写真と動画が一番容量を取っている。それを解決したかった。だがiCloudすら分からないし、PCを持っていない人はバックアップに困っていた」なんて語っていた。

POOLのユーザー数は現在160万人で、34億枚の写真が保管されているという。広告やプレミアムユーザー向けの課金を行ってマネタイズを進めているとのことだが、今後はPOOLのマーケティングを強化するのに加えて、新アプリの開発も進めるという。

世界300万ダウンロードを達成した「nana」

screen696x696-2一方のnana musicは2013年の設立。同社が提供するnanaは、音楽のセッションやコラボレーションを楽しめるアプリだ。アプリを立ち上げ、スマートフォンのマイクで歌や楽器演奏を録音して投稿できるのだが、キモとなるのは投稿された音楽に重ね録りをできるという機能だ。この機能によって、伴奏だけを投稿するユーザーと、その伴奏に歌声を重ね録りして投稿するユーザー…といったようなコラボレーションが実現するのだ。投稿にはFacebookの「いいね!」のような「拍手」やコメントを付けることも可能。

サービスは法人登記前の2012年8月にスタート。2016年12月には世界累計300万ダウンロードを達成した。累計楽曲再生数は12億回、累計楽曲投稿数は3000万曲以上となっている。僕は前職から何度かnana musicの取材をしているが、代表取締役社長CEOの文原明臣氏はnanaを開発したきっかけについて、名曲「We Are The World」を世界中のユーザーで歌えるようにしたいといつも語ってくれていたのが印象的だった。

ユーザーの7割が18歳以下という若いコミュニティを持ったサービスとなっており、伴奏と歌だけでなく、声まねや朗読、Q&A形式の投稿など、ユーザーが新しい楽しみ方を自ら作り出しているのも特徴だという。マネタイズに関しては企業とのタイアップを中心に進めていたが、2016年10月から課金サービスも開始した。

なお買収した2社とも代表は引き続き会社に残り、サービスの成長を支えていくとしている。