MirantisがRed Hatとの入札競争に勝ちVW全社のプライベートクラウドをOpenStackで構築へ

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わずかに残ったOpenStack専業スタートアップのひとつMirantisが今日(米国時間4/5)、大きな勝利を発表した。VWが、Red Hatよりも同社を選んで、OpenStackの大規模な実装を採用することに決めたのだ。

それは、MirantisとオープンソースのOpenStackプロジェクト、両方にとって大きな意味がある。VWは元々、OpenStackでプライベートクラウドを実装する気だった。しかし、どのベンダにやらせるのか? 各社の提案書を検討した結果、二つに絞られた: MirantisとRed Hatだ。

そのプロジェクトは、数十箇所のデータセンターと数万のノードから成る大規模な計画だ。Mirantisの協同ファウンダーでCMOのBoris Renskiが、そう述べている。

Volkswagen Groupの法人IT運用部長Mario Muellerによると、VWがプライベートクラウドを選んだのは、今市場で提供されているパブリッククラウドのプロダクトには、同社がサポートしたいユースケースに必要な機能が、欠けているからだ。

“ユースケースといっても、うちの場合はスケールが大きいから、ある時点でプライベートクラウドが必要になると考えていた。プライベートクラウドは、こっちのやることが多くなることも分かっていた。しかしVWグループ全体のデジタル化を推進していくためには、難しい問題から手を付けていくべきだ。今日のパブリッククラウドは多様なインフラストラクチャサービスを提供して、すべての産業を水平的にカバーしようとしているから、話がうちの場合のような大規模な垂直のユースケースになると、十分な経済的合理性がない”、とMuellerは説明する。

VWは、ファイナリストのRed HatとMirantisを、63の小さなパイロット事業とユースケースで比較した。どちらも、VWの本社にそのための部屋を与えられた。

Mirantisのグローバル営業担当VP Marque Teegardinは語る: “ものすごく厳しいテストだった。すべてのタスクを2週間で完了し、1週間でVWのチームのためのプレゼンを作らなければならない”。VWは両社を純粋に技術的なメリットに基づいて比較し、それぞれのタスクの結果がVWの技術的要求をどれだけ完全に満たしているかが、比べられた。

そして、その評価点の高かったMirantisが、プロジェクトを勝ち取った。それは、小さなスタートアップにとって相当な重圧だったのでは、という問に対してRenskiは、たしかに大きな仕事だったけれども、大規模な客先実装で入札に勝ったのは今回が初めてではない、と述べた。同社はこれまでにも、AT&TやEricssonn、GAPなどの大企業を扱った経験がある(AT&Tの74のデータセンターをMirantisが動かしている)。

一方、Red Hatのクラウド部門のグローバルマーケティングを担当しているMargaret Dawsonは、今回の件について、“弊社は個別の取引について直接のコメントはしない”、と一蹴した。王道を歩むRed Hat、というところだ。

彼女は曰く: “全般的に弊社は、通信企業や一般的大企業や政府諸機関で、OpenStackがプライベートクラウドのインフラストラクチャとしても採用されてほしい、と願っている。それは巨大な市場であり、451 Researchの予測によると、2017年にはOpenStackのビジネス機会の総額が25億ドルにもなる。したがって弊社は、OpenStackのマーケットのエコシステム全体が活況を呈することを歓迎するし、また必要とする”。

OpenStackは2010年に、オープンソースのプライベートクラウドプロジェクトとしてNASAとRackspaceなどが、主に成長著しいAWSの対抗勢力として開発した〔今でもNASAのプライベートクラウドのベース〕。その後、数多くのOpenStack関連スタートアップが生まれ、またRed Hat、IBM、HP、Oracleなどの世界的大企業も注目するようになった。しかし初期のスタートアップの多くがその後買収されたり、あるいは、高名な企業が廃業に追い込まれたりしたが、Mirantisはしぶとく生き残り、従来型の大手ITベンダとの競争にも、勝ちを収めつつある。

Mirantisは、2011年の創業以来2億2000万ドルを調達した。最近のラウンドは、昨年8月の1億ドルだった

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

データを完全に自己管理したい人のためのパーソナルサーバデバイスWedg

各国の政府がインターネット上の一般市民のデータや通信内容をたえず盗視していることをEdward Snowdenがばらして以来、デジタルの世界は心配症や不安症に支配されている。では自分のデータを完全に自分で管理できるためには、何をどうやるべきか? これまでさまざまなソリューションが提案されているが、今日ご紹介する’Wedgは、ユーザが自分でホストするストレージとメールのためのデバイスだ。クラウドストレージとのシンクや共有もでき、メディアのストリーミングやWebサイト/Webアプリケーションのホスティングもできる。これはいわばユーザが自分の家(うち)に置くパーソナルサーバないしパーソナルクラウドで、ファイルに自分の携帯からアクセスすることもできる。

Wedgを作っているイギリスのスタートアップは今、Indiegogoで資金を募集している。実はクラウドファンディングはこれが二度目で、最初は失敗した。そのときのフィードバックに基づいて今回の新型機はより高速なEthernetとUSBをサポートしている。また機種は、元からのARM機と、Atomチップセットを使ったWedg Proの二種類がある。

自分で管理運営できるパーソナルサーバの方がセキュリティもプライバシー保護も完璧、と言えるためには、そう、セキュリティの設定が完璧でなければならない。WedgはAESとXTS-AESにより512ビットの暗号化を行い、キー管理を内蔵、モバイルアプリは二要素認証を使用、ネット接続はSSL、共有コンテンツとキーはGPG/OpenPGPで管理する。ユーザの機密データはサンドボックス化されて隔離され、サードパーティのアプリケーションや外部デバイスからアクセスできないようにする。今のプロトタイプ期を終了して完成に達したら、プロジェクトの全体がオープンソース化される。

Wedgのメーカーは、今後外部のデベロッパが関心を持ってくれてWedg用のいろんなアプリケーションを開発することを期待している。CEOのShehbaz Afzalはこう述べる: “Wedgは総合サーバなので、発売の時点ですでに、ファイルサーバ、メールサーバ、メディアストリーミング(音楽、写真、ムービー)、Webサイトホスティングなどの機能がある。しかし今後デベロッパが自分の作ったアプリケーションでWedgの機能を拡張することも自由にできる”。

“たとえばフォトギャラリーやパスワードの集中管理、Bitcoinのワレットなどがあればいいね。目標額の倍の13万5000ポンドに達したら、Google DocsやOffice 365のような、リアルタイムでコラボレーションできるWebベースのオフィススイートの開発に着手したい”。

“インターネットの今の現状は、プライバシーがいろんなところから痴漢されているのに、ユーザ自身はそれをされていることすら分からない。しかも、ユーザが簡単に避難できる安全圏を、どこも提供していない。Wedgは、何もかも完全に揃った、優秀な安全圏でありたい。しかもそれは、ユーザ自身が完全に管理でき、ハードディスクのアップグレードも簡単、多様で安全なバックアップオプションもあり、初心者がすぐに利用を開始できるようにダイナミックDNSによるルーティングサービスも提供する”。

Wedgはもちろん、初めての、あるいは唯一の、パーソナルサーバデバイスではない。Afzalが挙げる強敵は、Sherlyboxだ。2月に本誌が取り上げたPixeomもある。自分のデータをどこかの馬の骨に預けたくはない、完全に自分で管理したい、という欲求の高まりとともに、このようなデバイスが徐々に伸びている。今後もまだまだ、あちこちこちから雨後の筍してくるだろう。

WedgのProバージョンはIndiegogoで219ポンド、1TBのストレージつきだ。ARM機は149ポンドだが、こちらもストレージは1TBだ。ストレージなし、という買い方でもよい。今現在は目標額の71000ポンドに対して59000ポンド集まっている。締め切りまであと58日だ。製品の一般発売は来年の3月を予定している。

〔訳注: 参考サイト(1)(2)。〕
〔このようなハードウェア製品だけでなく、Linux用のセキュアな総合パーソナルサーバソフトも、きっとあると思う(ウデのある人は自分で構成してもよいが)。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))