Oculusがヘッドセット用コンテンツを2週間で500万ドル販売

Facebookのスタンドアロン型VRヘッドセット、Oculus Questが発売されてからまだ日は浅いが、AR/VR担当副社長のAndrew Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏によると、同社はすでに相当数のVRコンテンツを販売している。

Vox MediaのCodeカンファレンスでボスワース氏は、Quest発売から2週間で500万ドル相当のコンテンツが売れたことを詳しく話した。デバイスの販売台数については具体的な数字を出さなかったが、FacebookはこれまでどのVR製品の販売データも一切口外していない。

399ドルのヘッドセットはPCやスマートフォンなしで動作し、カメラベースの位置トラッキングはこれまでハイエンドのPC用ヘッドセットに使われていたものと同等だ。ヘッドセットが発売された時点では、同社のストアでダウンロードできたのは50タイトルを少し超える程度だったが、無料のタイトルから最高30ドルのゲームまで各種揃っている。

VR分野にいる会社は、Facebookでさえも、デバイスの販売台数を語りたがらない。それだけサクセスストーリーが少ないということだろう。FacebookはQuestの発売に全社体制で臨み、マーケティングキャンペーンも大がかりに展開してきたので、今回の成功について詳しく語りたがるのも当然だろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

VRの夢実現のためFacebookはOculusが築いてきたものを捨てるのか

マーク・ザッカーバーグ氏は、Facebook(フェイスブック)が所有する、その仮想現実(VR)の夢のための新しいプラットフォームに、数十億ドルを注ぎ込んできた。

Oculus(オキュラス)を買収したFacebookは、過去5年間のうちにそれを解体し、Facebook規模の企業として再構築を行った。共同創業者の大部分を解雇し、最も重要な意思決定を握るためにザッカーバーグ氏の意向を汲む人物を送り込み、Oculusの初期の支持者たちを満足させることよりも、より幅広い入手容易性の実現にシフトした。

今回Facebookが行った最新の製品リリースは、こうしたことすべてを実現したものだ。

先週発売された同社のQuestは、時間をかけて練り上げたソフトウェアを用いて、設定と利用を限りなく簡単にしながらも、洗練されたハイエンド仮想現実を提供できる製品だ。おそらくこれは、これまで構築されたものの中では最高のVR製品であり、主流となることをしっかり視野に入れたものである。

Facebookは新しい機器に注力し、これまで手に入れたものからは離れて行く必要がある。

これまでのVR製品のリリースには常に、キーテクノロジー上の問題や、足りない主要機能が存在していた。だがもし今度のOculus Questが失敗したなら、Facebookは自身が期待しているような大衆へのアピールを行うことが、これらの製品カテゴリーでは実現できないという認識を持つ必要があるだろう。すぐに浮かぶ疑問は、Questは彼らが欲するメインストリームの顧客に対してアピールするための製品ではあるものの、なぜそのようなこれまでとは違う個別の製品ラインを生み出さなければならないのかということだ。

Oculus買収が5年目を迎える日が近付くにつれて、人びとは、Facebookの仮想現実10カ年計画の成功の兆しは、どこに現れ始めているのだろうかと考えるだろう。これまでVRゲーマーたちのニッチなグループを作り上げ、数百万台のヘッドセットを出荷しているものの、Facebookは依然として、大衆をひきつけ投資したものを取り戻すために、苦労を重ねている。

Questが成功するかどうかに関わらず、Facebookからの気前の良い投資が先細るにつれて、彼らが現在の製品ラインをどのように合理化していくつもりなのかと疑問に思うことになる。

非力だった199ドルのOculus Goは、その価格にしては優れたハードウェアだったことは証明されたが、1年経っても新規ユーザーにとって、忘れられがちな媒体のままである。Netflixをスタンドアロンで鑑賞できることが最高のユースケースであるような製品のユーザーベースの拡大から、Oculusは一体幾ら収入を得ることができるのだろう?またサムスン(Samsung)とOculusは、Gear VRの推進で協調し、無料のヘッドセットをユーザーに配った。にもかかわらず開発者たちはこのプラットフォームに対して投資することはなく、その流れは変わらないままだ。

一方、同社を支えるPCベースのヘッドセットラインの未来もまた不透明だ。今週控え目に発売された最新のRift Sは、Oculusにとってはこれまでのものに比べて大きな変化ではなく、同社は主流に乗ることを狙いながらも、ハイエンド製品としての限界を押し上げようとはしていないことが示唆されている。Questが成功するか失敗するかにかかわらず、時間の経過とともにハイエンドがスタンドアロンラインの中に溶け込んで行っても驚きはない。これからもPCは、常に最もハイエンドな体験を推進する役割を果たすだろう。しかしそこは、依然として自分自身の価値が世間一般では確立していないVRプラットフォームを、委ねておける場所ではない。

3つの異なる製品ラインを維持することは、ハードウェアの研究開発の観点から見て単に高コストであるだけでなく、遊んでもらう価値のあるものの開発を支援する観点からも、会社と開発者との関係をとても複雑なものにしてしまう。VRゲーム開発者の景気は既に最悪である。もしOculusがPCはハードウェアでイノベーションを起こしたい場所ではないと決心したならば、このクラスの製品は成り行きに任せ、将来のスタンドアロン製品に最新のモバイルチップセットを採用することに、力を注ぐことになるだろう。

Oculusは大きな組織であり、新しいプラットフォームの準備をする通常の企業に許される以上に余力がある。任天堂は、長期にわたる価値の低下に直面して、そのモバイルデバイスと家庭用コンソールを単一の製品へと作り直した。Oculusも同じことをする必要があり、そして彼らはそれを行ったのだ。

VRをキックスタートし、その未来を形作ることを約束していたOculusを、Facebookが2014年に買収した。ハイエンドにアピールすることで、PC上で何百万人もの熱狂的な初期ユーザーと、プラットフォームの初期の雰囲気を味わった何百万人ものモバイルユーザーを獲得した。FacebookがOculusをその組織の中に深く取り込み、一般ユーザーを取り込むための独自のビジョンを推進する中で、同社はQuestを使って重要なことを成し遂げた。おそらくそれはこれまでの製品ラインを犠牲にする価値のあるものなのだろう。

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(翻訳:sako)