Salesforce上の見積請求管理サービスApttus(日本)は今やユニコーン企業だが、このほど5500万ドルの資金調達ラウンドを発表した。これは同社の、IPO前の最後のプライベート投資になるものと思われる。
CEOのKirk Krappeは上場についてまだ明言しないが、今日(米国時間9/13)のラウンドは今後の投資家の信任を獲得するだろう、と述べた。“バランスシート上に一定量の流動性が必要である、と判断した。企業が上場や買収に臨むときは、投資家たちがその企業の確実な流動性を求める。流動性は、企業を良い位置につける”、と彼は説明する。“弊社の成長は今でも大きいが、最後の手早いプライベートラウンドをやるのが賢明かつ慎重と言えるだろう”。
5500万ドルのラウンドをリードしたのは、インドのシステムインテグレーターWiproのプライベート投資部門Premjiだ。これまでの投資家Salesforce, K1, Iconiqも参加した。
今や13億ドル(2016/9現在)というユニコーン評価額の同社は、これで累計調達額が3億2900万ドルになる。最近では、投資家を国際的に求めることにも果敢だ。たとえばシリーズCの1億800万ドルには、Kuwait Investment Authorityが投資家として参加した。シリーズDの8800万ドルには、サウジアラビアからの投資も含まれる。
バックにSalesforceがいることは大きい。2015年の終わりには、SalesforceがApttusのライバルSteelBrickを買収して割りを食った形になったが、Apttusはその後Microsoft Dynamics用のバージョンを作るなどして独立を模索した。しかし今ではその傷もすべて癒え、今度のラウンドではSalesforceが投資家として戻ってきた。
Krappeによると、Steelbrickの買収によってSalesforceとの仲がこじれたわけではない、という。“彼らは小さなコンペティターを買ったけれども、弊社の同社との関係は一貫して良好であり、今でもうちの仕事の大半はSalesforceの上でやっている”、と彼は語る。
見積〜請求〜回収の全過程を管理するApttusのサービスは、営業過程の重要な部分を担う。営業が顧客企業との関係を築くと、その対話過程をSalesforceに記録するが、実際に最終的な売買契約の過程(本番の見積提出以降)に入ると、企業はApttusなどのソフトウェアを利用して、見積書の作成や、契約書の生成、そして最後の代金回収までの流れを管理していくことになる。〔quote-to-cash, 見積から現金までのサービス、と言う。〕