ソーシャル・ファッション通販のFancyはPinterest本家が通販を始める前から、いわば「お買い物ができるPinterest」だった。そのFancyがこのほど世界100都市でモバイル、ウェブサイトからの注文による即日配送サービスをスタートさせた。消費者が正午までに注文すると当日の午後5時までに配送される。Fancyによればアメリカ61都市、アジア、ヨーロッパ、中東の31都市、合計100都市にサービスを展開したという。Fancyはニューヨークでこの夏に即日配達のテストを開始していた。
Fancyの説明によれば、即日配送をサポートしている地域では正午までに注文すれば即日、地域外からの注文の場合は翌日に配送される。また正午過ぎの注文も翌日配送となる。
即日配送を可能にするロジスティクスについては、世界各地のパートナーと提携しながらネットワークを拡充しつつあるということだ。
ただし即日配送の料金はそう安くない。グッチのジッパー・バックパックやNike+ スポーツウォッチをその日のうちに手に入れたいなら1件あたり30ドルの配送料を払う必要がある。Fancyは常にハイエンドの顧客をターゲットに最大限に吟味されたハイエンドの商品を販売してきたからこの点はあまり問題にならないのかもしれない。
われわれの取材に対してはFancyは「この夏、限定的にテストをした結果、即日配送サービスに対するユーザーの反応は好意的だった。 われわれのサイトで毎日のようにショッピングする顧客にはこのようなサービスが必要だと判断した。ときおりFancyを利用するユーザーについても即日配達によって利用の頻度が増えること期待している」と答えた。
最近は即日配送を提供するサービスが増えている。WalmartはWalmart To Goで生鮮食品を含む商品の即日配送を“行っている。Google Shopping ExpressやeBay Nowのような大手のサービスもある。TaskRabbit、Postmates、Instacart、WunWunのようなスタートアップも即日配送サービスに参入している。
Fancyは現在1000万人の登録ユーザーを有していると発表している。今年始めには800万人だった。この夏Fancyは5300万ドルの資金調達を行い、現在、毎日の売上が10万ドルに達しているという。即日配送サービスを開始した後、1日20万ドルという過去最高の売上を記録したとしている。
Fancyのサイトは世界に散らばっているため、サードパーティーの調査によってこれらの数字の裏付けを取るのは難しい。アメリカ国内だけの調査だが、SimilarWebによるとFancyのオンライン訪問者は100万に届かないようだ。AppAnnieの調査ではFancyアプリのアメリカでのダウンロード数はライフスタイル・カテゴリーの400位台だ。今月に入って世界の6カ国程度でライフスタイルのトップ100に入ったが、アメリカだはまだトップ100に入っていない。
とはいえ、Fancyの顧客ベースが数量的にはさほど巨大ではなくとも売上は潤沢にあるようだ。5000ドル以上のバッグや2000ドルのコートが売れていれば、比較的少数の常連顧客だけでFancyが発表しているような売上を達成することは十分可能だろう。
〔日本版〕 東京で即日配達可能な商品はこちら。日本語版トップページ。また10月23日、伊勢丹がFancyへの出店を発表した。Fancyの伊勢丹ページはこちら。インテリア・空間デザイナー尾方釿一氏×仙台の伝統工芸「東北工芸」の「BEAN STOOL」やグローバルのステンレス包丁など日本らしい製品が出品されている。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)