昨今、あらゆる有能なスマートフォン・プレーヤーは、時間とリソースを投入してカメラゲームに参入しているようだが、Appleも例外ではない。9to5MacのMark Gurmanの最新記事によると、iOS 7ベータ版に潜むコードの断片から、Appleは “Mogul”と呼ばれるカメラ機能を開発中であると推測され、120フレーム毎秒のビデオを撮れるものらしい。
これは現在のiOS端末が撮影可能なビデオとは大きくかけ離れている。Appleは、iPhone 5のビデオを”最大30フレーム毎秒“と説明しており、今年のWWDCのプレゼンでは、iOS 7ではその限界を60フレーム毎秒まで押し上げることを約束した。その結果は? 鮮明でスムーズなビデオが期待できる。YouTubeで120fpsのビデオを見れば(正確な比較でないことは承知の上)、iPhoneで将来何が可能になるかのヒントは得られるだろう。
ただし、この機能をすぐに利用できることは期待しない方がよい。9to5チーム必死の努力にもかかわらず、新機能を現行ハードウェアで動かすことはできなかった。これは、Mogulが次期iPhone向けだということを示すサインだと彼らは捉えている。
Mogulが登場する頃、Appleのライバルたちはカメラ能力という点で、はるか先を行っているかもしれない。SamsungのGalaxy S4、NokiaのLumia 920、HTC Oneの3台は、増えつつあるスローモーションビデオ撮影可能スマートフォンの中でも最新の機種群だ(前者の2つは120fps、HTCは未発表)。さらには、NokiaのLumia 1020という、驚異の41メガピクセルカメラを塔載した機種もあり、旧機種の808 PureViewから想像するに、実にすばらしいビデオが撮れることだろう。
もし記事の通り、AppleがそのMogul機能をいつの日か世に出すなら、ライバルたちの通った道を追いかけることになる。しかし、Appleにとって問題は多くないと私は予想している。iOS愛好家たちは、同じく後発だったパノラマ機能の時と同じようにこれにハマり、Mogulはスローモーションビデオを今後スマートフォンの必須機能にするかもしれない(真面目な話は私は、誰かがVineかInstagramもどきのスローモーション専用アプリを作ってくれて、人々が転ぶところを撮れる日を待ち焦がれている)。
こうしてモバイルカメラに様々なオプションが増えることは、消費者がiPhoneやLumiasで決定的瞬間をとらえるチャンスが増えるということだ。しかし、スマートフォンカメラ戦争はすでに一部のカメラ会社に重くのしかかっており、高機能カメラ携帯が脆弱なコンパクトデジカメの価値を下げる中、ビジネスの維持に苦闘している。
Nikonはその典型例だとBloombergは言う。木村眞琴社長は「カメラ以外の消費者製品」によって衰退するコンパクトデジカメの売上を埋め合わせることを示唆した。一部にはこれを、Nikonがスマートフォン参入を検討していると解釈する向きもある。かつて、画像の革新はカメラ専門会社に始まり、他の消費者向けガジェット市場に降りてくるものだった。この流れが逆になるのは何年先だろうか。
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(翻訳:Nob Takahashi)