インターネットに接続されタッチスクリーンのある冷蔵庫、SamsungのFamily Hub Refrigerator

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自分はSamsungの役員たちが会議をしている部屋の壁にとまっている蝿だ、としばし想像しよう。そうすると同社のFamily Hub Refrigeratorの偉大さが、分かるかもしれない。

スマートホームのブームに乗り遅れるべきではない、と誰かが言う。まずキッチンをディスラプとするのだ…こうして同社はIoTの競争レースに参加する。そしてたしかに、このスマートな〔電脳式の〕冷蔵庫の随所に、決して軽視すべきではないものがいくつかある。

まず、ドアの内側にはカメラが三つあって、ドアを閉めるたびに冷蔵庫の内容を撮影する。それらはワイヤレスでインターネットに接続され、Family Hubのオーナーはモバイルのアプリから冷蔵庫の中身を確認できる。

スーパーで、天井のライトがジージー鳴っていたり、香辛料の陳列棚が圧倒的に長かったりすると、ぼくはいつも、頭の中のショッピングリストの半分は忘れてしまう。そんな人間にとって、スマホから冷蔵庫の中身を確認できる機能はありがたいと思う。

この冷蔵庫の最良の機能かと思われるカメラにも、欠点がある。まず、三つの棚の上のものしか分からないし、ドアポケットは全然分からない。

しかし、これらのカメラは実は、この’Hub’を名乗るスマート冷蔵庫のメインイベントの、脇役にすぎない。この製品が今年のCESに登場したとき、メディアはそれを、‘ドアにタブレットがある冷蔵庫’と呼んだ。

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今日(米国時間5/5)ニューヨークで行われたプレスイベントで同社は、“それ以上のものだ”、と主張して、その汚名を雪(そそ)ごうとした。

Samsungの連中は、家族(family)、食品(food)、娯楽(entertainment)という三つのねらいを強調した。会議室の役員たちがentertainmentでなくfunを選んでいたら、‘三つのF’になったのに、残念だね。

冷蔵庫のドアのスクリーンは、画像やメモやカレンダーを共有するためにあるものだから、“家族”(ファミリー)の要素だ。“食品”は、冷蔵庫だから当然。そして“娯楽”は、内蔵のスピーカーからPandoraなどのサードパーティアプリが提供するし、SamsungのスマートTVのビデオも見られる。

Samsung Family Hub Refrigerator

たしかにFamily Hubは、タブレットを組み込んだ冷蔵庫以上のものかもしれないけど、でもふつうのタブレットで十分間に合うところに、なぜ冷蔵庫にわざわざスクリーンがあるのか、それを納得するのが難しい。娯楽はもちろんだが、食品のオーダーもFresh Directのようなアプリでできる。

この製品のローンチのときにも書いたが、ふつう冷蔵庫のライフサイクルはタブレットのそれよりずっと長い。タブレットなら最新の機種に買い換えればいいが、冷蔵庫のドアについているスクリーンの、最低限のタッチインタフェイスと、いつまで付き合うことになるのか…、と考えてしまう。

Samsung Family Hub Refrigerator

もちろんアップデートはあるだろう。それはインターネットからでも、あるいはドアの後ろに隠れているUSBポートからでもできる。しかしオペレーティングシステムに基本的な制約がある。それは、Samsungが長年しまっていたTizenだから、アプリがきわめて少ない。同社は今後のアプリの充実を約束しているが、それらはユーザーがアプリストアから自由にダウンロードするのではなく、質問に対してオプトインしたユーザーの冷蔵庫に勝手にインストールされる。

インターネットへの接続をベースとする機能は、今後もっと、消費者への説得力のあるやつが増えるのかもしれない。たとえばリモートのモニタリングとか。でも現状を見たかぎりでは、目先の関心に訴える新奇な製品の域を出ない。そんな、単なる‘おもしろ製品’でありながら、お値段は5800ドルからだ。でも、それを本当に便利と感じた人は、今日すぐに買うべきだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))