テレビ放送へのメディア挿入(放送のソーシャル化)をソフトウェア技術でディスラプトするVidpresso

Vidpressoは、コンテンツの作者や地域の放送局などがビデオ作品やテレビ番組をブロードキャストする際に行う、メディアの挿入(広告、ツイート等の挿入)を簡易化してくれる。それはソフトウェアを使うローコストな方法なので、個人や少人数の手作り放送局でも利用できる。同社はすでに、月額500ドルで放送中にTwitterやFacebookのメッセージを挿入するツールを各社に提供している。次の目標は広告の挿入だ。

これまでは、地域のテレビ局が放送中にメッセージを挿入するためには、高価な専用機材を買う必要があった。またそれを使う費用は、月額数万ドルにものぼった。

Vidpressoを使うためには、機材はいっさい必要としない。スタジオにすでにある放送機材をそのまま使える。いろんなメディアを放送中に挿入するための、Vidpressoのサービスの利用料金は月額わずか500ドルだ。

サービスにログインしてTwitterやFacebookやInstagramなどを検索し、表示されたコンテンツを今現在の放送中にすぐに挿入できる。いまのところ関心を示しているのはCNNやUnivisioなどの大手だが、数多い地方の零細放送局でも十分に利用できる。

本誌はVidpressoを過去にも取り上げたことがある。しかも二度も

今回また取り上げたのは、同社がこのたびY Combinatorのクラスに入って、TwitterやFacebook以外のコンテンツ、たとえば広告などをテレビの放送上で共有する方法の実験を始めたからだ。

CEO Randall Bennettが言うには、今のテレビ放送局は何百万ドルもの無駄金をドブに捨てている。“iPadをOmneonマシンとして使える今の時代に、何十万ドルもの無意味な金をコンスタントに使うのは理に合わない”。

同社の技術をさらに拡張的に応用すると、完全にソフトウェアベースの放送サーバボックスというものが出来上がり、これまでの超高価なハードウェアとサービスは要らなくなる。広告モジュールは今、いくつかの小さな放送局で試験しているが、これも実用化されれば広告業界に革命が起きうる。

これまでずっと自己資本のみだった同社も、このような多様な応用技術に向けて、まずY Combinatorなどからシード資金を調達していく予定だ。そして、営業と技術の両面を強化していきたい、という。

〔余計な訳注: テレビのインターネット化やソーシャル化が、これまでの受像機レベル(需要側)だけでなく、供給側でも進展していく。テレビがこれまでの番組一方的垂れ流しマシンから、本当の“メディア”(社会媒体)に変革していく。〕

Vidpressoの使い方などが、下のビデオを見ると分かる:

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Twitter、Comcastとの提携でテレビ視聴率への影響を証明するチャンス

つい先ほどComcastとTwitterは、広範囲にわたる戦略提携を結んだ。番組に関するツイートを読んだユーザーに、チャンネルを合わせさせることが狙いだ。Comcastの番組に関するツイートに表示される、新しい”See It” ボタンの導入によって、視聴者はモバイル端末から直接その場でチャンネルを変えたり録画を予約したりできるようになる。

過去数年間、Twitterはユーザーたちの会話がテレビ番組の興味を引き、数字を動かせることを証明しようと試みてきた。しかし、番組視聴者によるツイートの数と視聴率データの相関は曖昧だ。

8月にNielsenが行ったTwitterの影響調査によると、ツイートの数は調査対象テレビ番組の29%の視聴に「有意な影響」を与えたことがわかった。一方、48%の番組で視聴率の増加がツイート数増加につながった。

しかし、最もツイートされた番組のリストと、視聴率の高い番組のリストを比べると、両者に殆ど重複が見られない

しかし、意外な結果がある ― 両方のリストに載った番組とは? NBCのThe Voiceだ。

これらのすべてが、Comcast-Twitter戦略提携で最初の番組になるのがThe Voiceである理由だろう。巨大メディア企業としては、テクノロジーを使ってより多くの視聴者を長時間引き止めておく方法を知りたいのだ。

この提携によってTwitterユーザーには、Comcast傘下のNBC Universalの番組に関するツイートの横に “See It” ボタンが表示されることになる。クリックすると、Comcastにログイン中のユーザーは、テレビまたはモバイル端末で番組を見るか、録画予約できるページに移動する。

Comcastによると、この提携は、NBC、NBC Sports Network、CNBC、MSNBC、USA、Syfy、Bravo、Oxygen、E!、Esquire Network、およびThe Golf Channel等他のNBC系列会社の参加も視野に入れている。現在試行が予定されている番組は以下の通り。The Voice、The Blacklist、Chicago Fire、The Michael J. Fox Show、Sunday Night Football、Access Hollywook、NHL、Premier Leagu Soccer、Sochi Olympics、Today Show、Psych、およびSuits。

ただし、少なくともスタート当初は、See Itボタンが使えるのはComcast定期購読者で同局の番組を見ているユーザーだけだ。Comcastは、今後他の有料テレビ会社の購読者や、他局の番組を視聴中の自社購読者にもSee Itボタンが使えるよう拡大する計画だ。今はまだ始まったばかりだ。

“See It” で視聴率を上げることだけでなく、ComcastとTwitterは、メディア企業の広告主がTwitterを通じてリーチを広げる方法も検討している。これはTwitterのAmplifyプラットフォームを通じて進行中であり、NBC Universalグループのかなりの部分が対象になるようだ。「放送ネットワーク2社、スペイン語、英語の2ヵ国語、ケーブルネットワーク17社、およびデジタルメディア50社以上」とプレスリリースには書かれている。

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(翻訳:Nob Takahashi)