学習院大学が全学共通科目「宇宙利用論」を2023年度から開講、宇宙商社Space BDとの産学連携カリキュラム

学習院大学が全学共通科目「宇宙利用論」を2023年度から開講、宇宙商社Space BDとの産学連携カリキュラム

学習院大学は、2023年度より全学部生を対象とした「宇宙利用論」を開講する。これは、日本の宇宙ビジネスの発展を目指す「宇宙商社」Space BDとの産学連携で開発するカリキュラムにより、宇宙ビジネスを牽引する人材を育成するというものだ。

この講座の重要なテーマとしているのが、学習院大学が提供する「文理融合の学びの場」と、Space BDによる「実践の場の提供」だ。学習院大学は、法学部、経済学部、文学部、理学部、国際社会学部の5学部と大学院を1つのキャンパスに集めて異なる分野の学生や研究者が一緒に過ごせる環境を整え、「文理両分野にわたる広義の基礎教育と多様な専門教育を有機的につなげる教育」に力を入れてきた。

一方Space BDは、2018年にJAXAの民間開放案件「国際宇宙ステーション『きぼう』日本実験棟からの超小型衛星放出事業」に選定された後、宇宙ビジネスプランの検討から技術的な運用支援までを提供するとともに、クラーク記念国際高等学校・東京大学と共同で高校生対象「宇宙教育プログラム」を実施するなど、教育分野の活動も行っている。

学習院大学では、2021年に3日間の課外特別授業「宇宙ベンチャー概論」を実施するなど、すでにSpace BDとともに宇宙利用論の開講に向けた取り組みを開始している。2022年度は、カリキュラムの開発を進めつつ、宇宙ベンチャー概論の継続開講に加え、宇宙領域スタートアップ企業での国内研修プログラムを実施する。実際の現場でコミュニケーション、リーダーシップ、意志決定などの数値化できない能力の習得を目指すという。2023年度には宇宙利用論を開講し、国内研修に加えて、海外研修プログラムもスタートさせる予定だ。

宇宙商社Space BDが10.4億円調達、SpaceX「Falcon9」ロケット衛星打上げ枠の利用権確保など宇宙輸送手段拡大

宇宙商社Space BDが10.4億円調達、SpaceX「Falcon9」ロケット衛星打上げ枠の利用権確保など宇宙輸送手段拡大

宇宙産業における総合的なサービスを展開する「宇宙商社」Space BDは12月1日、第三者割当増資による総額10億4000万円の資金調達完了を発表した。引受先は、既存株主であるインキュベイトファンド、アニヴェルセルHOLDINGS、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、これに新規株主として、シンガポール政府系投資会社Temasek Holdings傘下のPavilion Capital PTE. LTD.が加わっている。融資も含めた累計調達金額は、18億9000万円となった。

2017年設立のSpace BDは、JAXAの初の民間開放案件「国際宇宙ステーション『きぼう』日本実験棟からの衛星放出事業」に採択されたことを機に、船外プラットフォーム利用事業、微小重力環境を活用するライフサイエンス事業、H-ⅡA/H3ロケット相乗り打上げ事業と、JAXAとのパートナーシップを軸にした事業を進めてきた。現在は、衛星打上げ事業のほか、宇宙をテーマとした地域産業振興、教育および人材育成事業、技術プロジェクトマネージメントなどを展開している。

今回調達した資金で、Space BDは「国内外の多様な打上げ手段の確保による衛星打上げサービスの拡大」と、人材採用と組織力の強化を行うとしている。特に打ち上げ手段に関しては、2021年11月にSpaceXのFalcon9ロケットの利用権を確保するなど、調達の幅を広げている。

「プロジェクトごとに異なる課題・目的に対し、ゼロからの事業立案・実行と技術的な支援をワンストップで提供することで、当社の設立理念である『宇宙を日本発で世界を代表する産業にする』に向けて邁進してまいります」とSpace BDは話している。