打ち上げサービスプロバイダーのSpaceflight Inc(スペースフライト)は現地時間11月9日、顧客の宇宙機を初めて2つの異なる軌道に展開すると発表した。同社の軌道変換機Sherpaシリーズの能力を拡大する。
軌道変換機(OTV)は、衛星が軌道上の最終目的地に到達するための一般的な手段となっており、小さな宇宙開発企業は、独自の推進システムを持つためのコストや煩わしさを回避しつつ、OTVの費用を割って負担し合うことができる。これは、SpaceX(スペースX)がライドシェア・ミッション・プログラムで打ち上げ費用を企業が割り勘にできるようにしているのと同じだ。シアトルに本社を置くSpaceflightは、化学推進システムを搭載した新型のSherpaスペースタグを使用して、この演習の実行を目指している。同社は新型機をSherpa-LTC1と呼んでおり、過去12カ月で3種類目のSherpa OTVを発表したことになる。Spaceflightは、6月にSpaceXのTransporter-2ミッションで飛行した、Sherpa-LTEという電気推進システムを搭載したSherpaタグと、2020年にデビューさせたSherpa-LTも開発した。
Sherpa-LTC1は、2022年1月にフロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられる予定のSpaceX Transporter-3に乗って宇宙へ向かう。このスペースタグは、顧客の宇宙機13機を2つの軌道に乗せる予定だ。Sherpa OTVはまず9つの小型衛星を展開し、その後、低高度に移動して残りの4つのCubeSat(小型人工衛星)を展開する。
ミッションの顧客は、Capella Space、Umbra Space、Lynk Global, Inc.、Kleos Space、NASA(米航空宇宙局)、Spacemanicと提携しているチェコ航空宇宙研究センター、Space Products and Innovation (SPiN)、Portland State Aerospace Societyなどだ。
この新しいスペースタグは、Benchmark Space Systemsが開発した「環境に優しい」推進システムを使用しており、同社によれば、さまざまなサイズの宇宙機の迅速な軌道移動を可能にするという。Spaceflightの事業開発担当SVPであるGrant Bonin(グラント・ボニン)氏は「LEO(地球低軌道)での実施はほんの始まりにすぎません。これらの機能やサービスは、LEOを超えて他の軌道へのアクセス、宇宙輸送やさまざまなミッションサービスの開発において重要な役割を果たすでしょう」と話した。
Spaceflightは9月、2022年の月低空飛行ミッションで別のSherpaであるSherpa-ESをデビューさせることを発表した。
画像クレジット:Spaceflight Inc.
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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi)