日本発売間近!中国でもコピー不可能なSpireのヘルスタグとは——#tctokyo 2018レポート

左からEngadget中文版編集長のRichard Lai氏、Spire CEOのJonathan Palley氏

TechCrunch Japanは2018年11月15日から2日間、スタートアップイベント「TechCrunch Tokyo 2018」を都内で開催した。本稿ではDay2のFireside Chat「充電不要、洗濯可能——-Appleも認めるスゴいヘルスタグ」で語られた内容を紹介する。モデレーターはEngadget中文版編集長のRichard Lai氏が務めた。

本誌でも既報のとおり、各国のAppleストアを通じて「Spire Health Tag」の販売を開始している。日本でも数週間後となる12月からの発売を予定していることから、Spire CEOのJonathan Palley氏が当日15日に来日し、TechCrunch Tokyo 2018に登壇した。Palley氏は既存のウェアラブルデバイスを「1.0」と定義しつつ、「ヘルスモニタリングやウェアラブル1.0は期待どおりに提供されなかった」と語る。読者諸氏もご承知のとおり、人の活動をモニタリングするデバイスは数多く登場した。だが、充電や取り外し、見た目といった課題が山積すると同時に、センサーの低精度に伴う取得データの限定性や洞察の難易度といった課題がある。筆者も多くの腕時計型ウェアラブルデバイスを試してきたが、特に精度の問題から四六時中身に付けることを諦めてしまった。

これらの課題に対する回答が、Spire Health TagだとPalley氏は語る。「医者から(従来型の腕時計型ウェアラブルデバイスを)身に付けろと言われても患者は受け入れない。医者に言われるとやりたくなるのが人間だ。さらに(既存デバイスで取得できる)データの価値が低い。健康を維持するには歩数にとどまらず、呼吸パターンや睡眠、心拍数などメトリクス(測定基準)を持ったリッチなデータが必要だ。例えば呼吸の変化から病気を未然に防ぐといったソリューションに活用できる」(Palley氏)。さらに前述した”見た目の問題”に対しては、”見えないデバイス”という解決策を示した。「洋服1つ取っても皆異なるスタイルのため、スマートシャツでは毎日取り替えることは難しい。Spire Health Tagは男性なら下着、女性ならブラウスなどに取り付けるだけだ。そのまま洗濯機や乾燥機に入れても問題ない」(Palley氏)という。なお、Spire Health Tagは胸部の動きを測定するが、モデレーターの設置場所に対する疑問について、Spireは「腰につけても構わない。深く呼吸するときは腹筋が緊張する。このわずかな動きをセンサーで取得し、アルゴリズムで検知できる」(Palley氏)と回答した。

Spire Health TagからBluetooth LE経由で取得したデータは一度スマートフォン上のアプリで取り込み、その後クラウドにアップロードする。アプリは取得データを元に睡眠やストレス、心拍数や活動を可視化し、利用者に洞察や特定の活動を提示。このあたりはウェアラブル 1.0と同じだが、気になるのはバッテリー駆動時間である。「バッテリーの寿命は1年半から約2年。バッテリーが切れたらサブスクリプションの『Spire+Membership』加入者(10ドル/月)には無償でお送りする」(Palley氏)という。米国ではSpire Health Tag単体(49ドル)ではなく、8つ入りのフルパック(299ドル)を購入する利用者が多いらしいが、モデレーターの「複数のSpire Health Tagを検知した場合は」の質問にSpireは、「呼吸や心拍数をPPG(反射型光電脈波)で計測して判断する。例えば呼吸しているのに心拍数が計測されないタグは除外する仕組みだ」(Palley氏)。

Spireは本製品を通じて2つのビジネスモデル展開を目指している。1つは消費者だ。4年前に発売したSpire Stoneは日本のAppleストアでも販売中だが、Spire Health Tagも前述のとおり発売される。モデレーターがApple Watchとの競合について尋ねると、Spireは「我々とAppleは競合関係にはない。私の立場では推測の域を出ないが、腕時計型ウェアラブルデバイスとSpire Health Tagは相互補完の関係にある」(Palley氏)と、2014年にAppleがFitbitの販売を停止した例を引用しつつ勝算を語った。

もう1つはヘルスケア市場である。同社技術はスタンフォード大学における7年間の研究が基盤となり、「米国政府からインフルエンザの流行を予防するプロジェクトに参加した。150人前後の被験者に身に付けてもらい、就寝中の呼吸変化を測定して、その変化で感染したか否かを報告している」(Palley氏)。また、米最大規模の某ヘルスケア企業と協業し、研究や次の展開を進めているという。「日本でも先月の発表以降、数社からの関心をいただいた。新たな協業の可能性にワクワクしている」(Palley氏)。

Spireは「人々は病気のことを考えたくない。テクノロジーを活用して人々のあり方を変えたい」(Palley氏)と目標を語りつつ、今後も身に付けることを意識させないウェアラブルデバイスの実現に取り組むことを表明。最後にモデレーターが「類似品登場のリスク」について尋ねると、「我々が4年前に(Spire Health Tagの)アイデアを話すと『クレイジー』と言われてきた。だが、各分野のエキスパートによる知見を持ち寄り、Spire Health Tagを作り上げた。仮に中国の方が持ち帰って分析しても、同様のセンサー精度やバッテリー寿命を再現するのは無理。(Spire Health Tagの)強みはアルゴリズムにある」(Palley氏)と強い自信を見せた。

(文/写真 阿久津良和/Cactus

充電不要、洗濯可能なAppleも認めるヘルスタグは日本発売なるか?ーーSpireのCEOがTC Tokyoに登壇!

海外では2018年9月より各地のAppleストア店頭で発売されているヘルスモニター「Spire Health Tag」。このちっちゃくてかわいい黒色のタグは充電不要(電池は1年半もつ)かつ洗濯可能で、運動時間や消費カロリー、心拍、呼吸、睡眠の質などのデータを“一日中”収集する。計測データは専用アプリで確認可能。呼吸や心拍などからストレス状態を検知し、適切な休憩を促すなどのアドバイスも行う。

使い方はとても簡単で、ユーザーはいくつかの衣服を選び、それらにタグを取り付けるだけ。計測するためにはこのヘルスモニターが肌に直接触れている必要があるので、女性なら昼間はブラジャー、夜はパンツやパジャマに、男性は下着のウエストゴム部分への取り付けが推奨されている。

Spire Health Tagは3個パック130ドル、6個パック230ドルでAppleストアにて販売されており、それよりも大きなセットはSpireのウェブサイトで購入できる。

そんなSpireの創業者でCEOを務めるJonathan Palley氏が11月15日(木)11月16日(金)に渋谷ヒカリエで開催される日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」に登壇することが決定した。プロダクト開発にまつわるエピソードに始まり、どのような医療ならびに社会的課題の解決を目指しているのか、そしてハードウェア・スタートアップ特有の苦労話など多くを語ってくれるそうだ。

Spire CEOのJonathan Palley氏

先週Palley氏とビデオチャットで話す機会があったのだが、彼は「ヘルス・テクノロジーの未来について話したい。日本には多くの高齢者がいるが、彼らにはより優れたヘルスケアが必要だ。家族と離れて暮らしている高齢者など、Spireは多くの人を健康に保つためのソリューションを提供している」とTechCrunch Tokyoへの参加を意気込んでいた。

9月20日よりアメリカ、イギリス、そして中国のAppleストアで販売されているSpire。日本で発売される日は近いのだろうか。値段もそれほど高くもないのでぜひ試してみたい。

今年のTechCrunch TokyoにはSpireのPalley氏の他にもTwitterプロダクトリードのKayvon Beykpour氏、TOYOTA AI VenturesマネージングディレクターのJim Adler氏、メルカリ 取締役社長兼COOの小泉文明氏など国内外から多くの著名ゲストに登壇していただくことが決定している。詳しくはこちらのイベント公式ページを参考にしてほしい。お得な前売りチケットは本日10月31日23:59までの販売となっているのでこのチャンスを逃さないでいただきたい!一般チケットは4万円(税込)だが、前売りチケットは3万円(税込)とかなりお得な値段に設定している。

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Spireのヘルスタグ、Appleストアで店頭販売

Spireのヘルスタグの販売が各地のAppleストア店頭で始まった。このタグは黒っぽい小さなデバイスで、歩数や心拍、ストレスレベルなどのデータを収集する。

Spireはもともと、緊張を感知し、そしてユーザーを落ち着かせるのに役立つ呼吸追跡デバイスで始まった会社だ。それから4年たち、開発されたのが今回のウェアラブル“タグ”。下着やスポーツブラにつけて使う。

当然承知しているが、同様のデータを収集するガジェットはそこらじゅうにあるーAppleウォッチは今や転倒や心臓の異変なども感知するーしかしSpireによると、同社のタグはFitbitやAppleウォッチのようなものではない。それは、一つにはこのデバイスは充電する必要が全くないからだ。このタグの電池は1年半もつ。また、このデバイスは洗濯可だ。ユーザーはいくつかの衣服を選び、それらにタグを取り付けるだけでいい。

もちろん、そこらあたりのいくつかのスタートアップもスマートで洗濯ができ、データを集められる衣服を展開している。Enfluxは衣服を作り、そこにリフティングが正しくできているかを見極められるモーションセンサーを縫い込んでいる。Vitaliはストレスを感知するセンサーがビルトインされた“スマート”ブラだ。またOmSignalは“理想の健康を手に入れるための、医療機関並みの生体データ”を集める、体にぴったりくるトレーニングウェアを手がけている。しかしSpireの小さなタグは、モニターを取り付けたい衣服を選べるという点それらとは異なっている。

Spireによると800万ドル超の売上となったSpire最初のプロダクトStoneのように、このタグもストレスを検出し、アプリで呼吸や集中力を整えることで落ち着きを取り戻すのを手伝ってくれる。

“継続した健康データの計測は、世界的に健康管理に革新を起こすだろう。しかし初期のものは使い心地がいまひとつで動きを妨げるものだった。ハードウェアばかりにフォーカスされていた」とSpireの創業者、Jonathan Palleyは語る。「‘消える’デバイスにしたことで、ヘルスタグは革新の可能性を手にする最初の製品となる」。

Spireのヘルスタグは3個パック130ドル、6個パック230ドル、8個パック300ドルでAppleストアで販売され、それよりも大きなパックはSpireのウェブサイトで購入できる。

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(翻訳:Mizoguchi)