スポーツ選手の関連品は、主にその信奉者が支払う価格によって価値が決まる投機的資産の一種だ。非代替性トークン(NFT)は、このスポーツ・メモラビリアと相性が良い。新規スタートアップ企業のSportsIcon(スポーツアイコン)は、スポーツに特化したNFTを通じて、さらに多くの価値を提供することを目指しており、アスリートとの直接のコラボレーションや、プロスポーツ選手によるレッスンを、1品物のデジタルグッズに添えて提供する。
SportsIconは、Dapper Labs(ダッパー・ラボ)のCEOであるRoham Gharegozlou(ロハム・ガーレゴズルー)氏から支援を受けている。NFTの流行を牽引する同社は、「NBA Top Shot(NBAトップショット)」という人気ゲームサービスを展開している企業だ。他にも、ラッパーのNas(ナズ)氏(彼の投資先には、数々の新規企業に対する予見的な賭けが含まれている)や、元NBA選手のAndrew Bogut(アンドリュー・ボーガット)氏、Eniac Ventures(エニアック・ベンチャーズ)のパートナーであるNihal Mehta(ニハール・メフタ)氏などがSportsIconに出資している。同社は事業開始と合わせて初回の資金調達を発表したが、総額は明らかにせず「7桁台(数億円)」とだけ述べている。
SportsIconはまず最初に、アスリートたちとのコラボレーションにより、彼らのスポーツキャリアの歴史的な瞬間を記念して作成された15〜20のNFTを公開する予定だ。これらのNFTには「2時間のマスタークラス」が付属し「ファンは、彼らのメンタルとフィジカルのトレーニング方法、テクニック、ベスト・プラクティスを学ぶことができます」と、同社はプレスリリースで述べている。
このマスタークラスを提供するというやり方は、同社共同設立者であるChris Worsey(クリス・ウォージー)氏が、Coursematch(コースマッチ)をはじめとする数々の教育テクノロジー系スタートアップを起ち上げた経歴に由来する。この取り組みで重要なことは、市場に投入するNFTと一緒にパッケージ化される独占コンテンツであることだと、ウォージー氏はTechCrunchに語っている。このコンテンツは、アスリートと一緒に2日間の撮影を行って制作され、1日目は「彼らの道のりや過去についてのインタビュー」、2日目はトレーニングフィールドでの撮影となっている。このような独自コンテンツを作ることによって、SportsIconは差別化を図ると、ウォージー氏は述べている。
「これが重要なポイントです。コンテンツには希少性が備わっていることが魅力になります」と、ウォージー氏はいう。「私たちは、このコンテンツを他の場所で公開することはありません」。
「アイコン的なアスリートとの長期的な関係を築くことを望んでいる」と、ウォージー氏は語っているが、金銭的な詳細や分配は契約ごとに異なるという。場合によっては、アスリートが自分の選んだ慈善団体に収益を寄付することもある。各々の作品はオークションにかけられ、1パックあたり10ドル(約1080円)から999ドル(約10万7800円)で販売される見込みだ。ウォージー氏によると、より高価なパックは「アイコンが最高の瞬間を語っているような、本当に貴重なもの」になるという。パックの中には、サイン入りの記念品や試合のボックス席など、現実世界の物品も含まれる。
ウォージー氏によれば、SportsIconの真の差別化は、コンテンツに力を入れ、独自であるだけでなく、高品質なものを作ることだという。
「SportsIconが他と違うのは、私たちがコンテンツに投資しているからです」と、ウォージー氏はTechCrunchに語った。「私たちは世界レベルのディレクターを雇って、世界レベルのコンテンツを制作しています」。
このスタートアップ企業は、デビューとなるNFTで一緒に仕事をするアスリートについてはまだ明らかにしていないが、同社のプラットフォームに登場する最初のスポーツスターは、サッカー、テニス、MMA、バスケットボール、野球の選手で、それぞれの分野におけるスターとの契約交渉が現在進行中であると、述べている。
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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:SportsIcon、NFT、スポーツ、資金調達、NBA
画像クレジット:Patrik Giardino / Getty Images
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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)