Spotify(スポティファイ)は米国7月21日、ビデオポッドキャストをグローバルで立ち上げたと発表した。無料ユーザー、有料購読者ともにいくつかのグループのクリエイターによるビデオコンテンツを視聴できる。しかし有料ユーザーだけが、デバイスで他のことをしながらビデオコンテンツをバックグラウンドで聴けるYouTubeと違い、Spotifyではユーザーはビデオバージョンとオーディオバージョンをシームレスに行き来できる、と説明している。他のアプリを使うなど複数のことを同時に行うとき、あるいはスマホがロック状態になったときも、オーディオコンテンツはバックグラウンドで流れ続ける。
ビデオポッドキャストはデスクトップとモバイルアプリの両方に対応する。オーディオの代わりではなく、追加の要素となる。つまり、必要に応じてオーディオをストリームしたり、オフラインリスニングのためにポッドキャストをダウンロードしたりできる。
クリエイターにとって、ビデオポッドキャストの立ち上げはオーディエンスを増やすことにつながる、とSpotifyは話す。ポッドキャストにはすでにビデオオプションがあるが、これまでSpotifyはビデオコンテンツをSpotifyプラットフォームでシェアする方法をクリエイターに提供していなかった。これは、ポッドキャストクリエイターが音声ポッドキャストをSpotifyや他のサービスで配信し、ビデオはYouTubeで公開しているということを意味する。もちろん、こうした状態は続くかもしれない。特に、すでにYouTubeでファンを確保している場合は続けない手はない。
しかしSpotifyで直接ビデオを公開できることは、さまざまな種のコンテンツを扱うプラットフォームで競うのではなく、ポッドキャストのリスナーとこれまで以上にダイレクトにつながれることになる。一方で、Spotifyにとってビデオは広告を売る新たな場所になる。しかし同社はビデオ広告の取り組みはまだ「初期段階」にあるとして、広告戦略についてのコメントは却下した。
ビデオポッドキャストは今日から提供されるが、ひと握りのポッドキャストに限定されている。 Book of Basketball 2.0、Fantasy Footballers、The Misfits Podcast、H3 Podcast、The Morning Toast、Higher Learning with Van Lathan & Rachel Lindsay、The Rooster Teeth Podcastなどだ。これらはすでにポッドキャストが提供されているマーケットでのみ利用できるとのことだ。
これらのポッドキャストはオリジナル、独占、サードパーティのポッドキャストが混ざっている。現状では、クリエイターのみが自身のビデオコンテンツをアップロードできる。ゆくゆくは機能を拡大する、とSpotifyは話している。
Spotifyのビデオへの進出はほぼ不可避だった。2020年2月にSpotifyはポッドキャストスポーツコンテンツを拡大するためにThe Ringerを買収した(未訳記事)。この買収にはYouTubeベースのビデオオペレーションも含まれており、メディア拡大への興味を示すものだった。
Spotifyはすでに著名なポッドキャストと提携している。これらは簡単にビデオにも移せるものであり、ここにはDCスーパーヒーローにフォーカスしたWarner Bros.(ワーナー・ブラザーズ)との提携も含まれている。また、ウィールストリートジャーナル紙が2020年6月に報じたが、SpotifyはKim Kardashian West(キム・カーダシアン・ウェスト)氏との独占取引も結んだ。他の独占取引としては、The Joe Rogan Experienceがある。そして7月20日、SpotifyはTikTokスターのAddison Rae(アディスン・レイ)氏とのポッドキャスト契約を結んだ(Variety記事)。
Spotifyはこうした著名ポッドキャスターのビデオ計画は発表しなかったが、もちろん人材へのアクセスはある。そしてビデオ提供は将来のより良いディール交渉につながるはずだ。
Spotifyのビデオポッドキャストのテストは2020年初めに確認されていた(The Verge記事)。しかしそれはYouTubeスターであるZane and Heath: UnfilteredのZane Hijazi(ゼイン・ヒジャジ)氏、Heath Hussar(ヒース・ハッサー)氏とのものだった。今日の発表の中には彼らの名前はなかった(Spotifyリリース)。
ビデオポッドキャストはサポートされている地域で本日から展開される。すぐには現れないかもしれないが、直に追加されるはずだ。
画像クレジット:stockcam / Getty Images