SRI Internationalの研究からスピンオフしたスタートアップのOtoは、声の語調を理解してカスタマーサービスの運営に生かそうとしている。このOtoが米国時間12月18日、シードラウンドで530万ドル(約5億8000万円)を調達したと発表した。
このラウンドには、Firstminute Capital、Fusion Fund、Interlace Ventures、SAP.iO、SRI Internationalが参加した。Otoによれば、総額には以前のシードラウンドの100万ドル(約1億900万円)が含まれる。
Otoの共同創業者でCEOのTeo Borschberg(テオ・ボルシュベルク)氏によれば、同社はSRI International社内の研究からスタートした。同社は、後にApple(アップル)のSiriのもととなる技術を開発していた研究機関だ。OtoはSRIの研究に基づいて語調のデータを作成し、カスタマーサービスに電話をかけてきた顧客の感情への対処を向上させようとしている。この分野のAIを活用して、カスタマーサービス担当者と顧客との間のやり取りをリアルタイムで改善することが目標だ。
Otoは研究の一環として、セールスに関する200万圏件の会話から3000人の話者の10万とおりの発言を抜き出してデータベース化した。同社はこのデータから、カスタマーサービス業務で語調を自動で理解するツールをいくつか構築した。
ツールの1つは、ライブコーチングだ。マネージャーがすべての通話をモニタリングすることは難しく、モニタリングできるのはごく一部だ。Otoのツールを使うと、カスタマーサービス担当者はすべての通話のコーチングをリアルタイムで受けることができ、担当者の活力を高めたり、問題をエスカレートさせることなくイライラしている顧客を落ち着かせたりすることができる。「リアルタイムで電話担当者の声の響きや意欲について本人に助言し、担当者がもっと前向きになれるように働きかける」とボルシュベルク氏は説明する。
同氏は、このツールには主なメリットが3つあるという。担当者に対するエンゲージメントの向上、セールスのコンバージョンレートの上昇、顧客満足度の向上とコスト削減だ。
これとは別に、コールが終わるごとに語調からカスタマーエクスペリエンスの質を測定しスコアを算出して、担当者(とその上司)がサービスの結果を知るプロダクトもある。スコアはダッシュボードに表示される。ボルシュベルク氏は「我々は語調から満足度に関して普遍的な理解を構築し、ここから好意的、否定的、そのどちらでもない音の特徴を学習することができる」と言う。
ボルシュベルク氏は、昨年SAPに80億ドル(約8750億円)で買収されたQualtricsのように、こうした市場には巨大なチャンスがあると見ている。人々を調査することはストーリーのほんの一部だと同氏は言う。エクスペリエンスがうまくいっているかどうかの語調を理解すれば、カスタマーエクスペリエンスを向上させることができる。尺度を導入することで、うまくいっているのか、いないのかが簡単にわかる。
Otoには現在20人の従業員がいて、ニューヨーク、チューリッヒ、リスボンにオフィスがある。同社のプロダクトを使っている顧客はこれまでに7社で、まだアーリー段階にあると言える。
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(翻訳:Kaori Koyama)