ファッションEC大手の「ZOZOTOWN」が、激戦区のC2C市場に参入する――。個人間で取り引きするC2C市場には近年、ヤフーやミクシィ、サイバーエージェント、LINE(先行登録段階)など大手ネット企業が次々と参入している。ZOZOTOWN運営元のスタートトゥデイは、8月に子会社化したECサイト構築サービス「STORES.jp」のブラケットと共同でアパレル特化型のマーケットプレイス「ZOZOMARKET」を1月15日に開設する。大手アパレルを扱うZOZOTOWNは、C2C参入で中小・個人のブランドまでをも取り込む狙いだ。
ZOZOMARKETは、アパレル関連の商品を持っている個人や法人であれば誰でも出品できるマーケットプレイス。出品するにはSTORES.jpでストアを開設し、ZOZOMARKETが定める規定に沿っていれば自動的に商品がZOZOMARKETに掲載される。初期費用や出店料は無料でECサイトを構築でき、販売額の10%を手数料としてZOZOMARKETに支払う仕組み。
ZOZOTOWNは約2200ブランドの人気アイテムを扱い、流通総額(2013年3月期)は958億円、過去1年の購入者は280万人に上る。ZOZOMARKETを展開する狙いは、中小規模のアパレルブランドを取り込み、ロングテールのビジネスモデルを構築することだ。これにより、「大手アパレルはZOZOTOWN、中小アパレルはZOZOMARKET」となり、すべてのアパレル市場がターゲットになる。
STORES.jpはこれまでに6万サイトが開設され、うち7割は中小のアパレルブランド。専門知識がなくても「最短2分」でECサイトを構築できるのが特徴だが、「簡単にサイトは作れたけれど、うまく販売できない」というストアオーナーが少なくなかったと、ブラケットの光本勇介社長は指摘する。販売力のあるZOZOTOWNとの協業は、STORE.jpにとって「売るための動線」になると見ている。
確かに中小ブランドのオーナーにとって、「STORES.jpに出せばZOZOで販売できる」のは魅力かもしれない。STORES.jpとしても、競合となるECサイト構築サービスとの差別化につながる。その一方、人気ブランドの「指名買い」が多いZOZOTOWNのユーザーが、知名度の低い中小ブランドのアイテムをどれだけ探してくれるかは未知数だ。
この点について光本氏は、「商品が埋もれる可能性があるのは、C2Cサービス全般に言えること」と前置きした上で、「中小アパレルブランドの大規模なマーケットプレイスはこれまで存在していなかった。指名買いではなく、ネット上で良いアイテムを探すことを楽しむカルチャーを醸成しつつ、最適な売り方を模索したい」と話す。「究極的には全国のアパレルブランドをすべてEC化して、オンライン上でアパレル商材を買うときはZOZOTOWNかSTORES.jpが関わっているようなイメージを描いている」。