2009年以来最大のダウ平均上げ幅を記録したその日にRobinhoodがシステムダウン

76億ドル(約8130億円)以上のバリュエーションがついた株取引アプリのRobinhood(ロビンフッド)は、2020年最も忙しい取引日に最悪のシステムダウンに見舞われた。

ダウ平均株価は米国時間3月2日、2009年以来最大の上げ幅を記録した。Robinhoodのアプリケーションはエラーの犠牲になり、この月曜日の取引時間中、ユーザーをサービスから締め出す結果となった。

「今朝、市場が開いたときにプラットフォーム全体でシステムダウンの問題が起きた」と広報担当者はメールで明らかにした。「問題解決の時期は不明だが、Robinhoodの全員がサービス再開に向けて最大限努力している」という。

システムダウンの原因は、過去1カ月にわたり市場を非常に不安定にした高水準の売買高のせいかもしれない。当初、バグは2月29日のうるう日が原因だとの報告もあったが、同社は否定した。

同社のミスは、3月2日に売却を目論んだユーザーにとって大きな機会損失となった可能性がある。新型コロナウイルス(COVID-19)が世界経済に与える影響への懸念が先週、連日の株価下落を引き起こし、投資家は影響を受けた銘柄を3月2日に売却しようとしたのだ。

Robinhoodのコードが、会社をトラブルに巻き込んだのはこれが初めてではない。2019年、誤ったコーディングのせいで、ユーザーは同社が意図したよりも多くの資金を借りることができ、これから取引を始めようとしていたトレーダーにとっては追い風になった。

2013年、同社の創業者はTechCrunchレポーターのJosh Constine(ジョシュ・コンスティン)の自宅にあるキッチンテーブルを囲んでアイデアを話し合ったときには、このアプリを耳寄り情報を共有する方法として考えていた。しかし、アプリはすぐに株取引プラットフォームに変身した。同社のプラットフォームには現在1000万人以上のユーザーがいるという。

当初の成功の秘訣は、無料の株式取引だった。競合他社の多くが真似し続けてきた価格設定モデルだ。

Apptopia(アップトピア)によると、Robinhoodは無料の株取引サービスの中で最も人気があり、既存の競合他社よりもはるかに多くの売買高とユーザーを抱えている。3月2日のシステムダウンが示したのは、数十年にわたってサービスストレステストを行ってきた企業と協力しなかったことが、今後ユーザーベースに悪影響を及ぼす可能性があるということだ。ただし、CNBCが米国時間3月2日に発表したように、大手証券会社もこの1週間で技術的な問題に直面している。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

手数料ゼロの画期的な株式売買サービス、RobinHoodが限定ベータ開始

E*TradeやScottradeが取引1回ごとに7ドルから10ドルの手数料を取るのに対して、RobinHoodでは手数料ゼロで株式の売買ができる。今日(米国時間2/27)、RobinHoodは登録済みユーザー16万人に新しいアプリを公開し、限定ベータテストを開始した。「株式取引アプリとして今まででいちばん素晴らしいデザインだと思う。しかしわれわれの強みはそこではない」と共同ファウンダーのVlad Tenevはジョークを飛ばした。

なるほどRobinHoodはスタイリッシュなアプリだが、株式売買が手数料なしで可能だというのは驚きだ。読者は株式売買システムの運営には費用がかかるはずなのに何でそんなことできるのか訝しむだろう。

後で詳しく説明するが、実はRobinHoodはユーザーが株式を取引すること自体から収益を上げている。われわれはScottradeやE*Tradeのせいで1回ごとに手数料を払わねばならないものだと思い込まされていたにすぎない。

RobinHoodの利用の希望者はこちらから登録して招待のメールが届くのを待つことになる。招待されるまでには数週間からことによると数ヶ月かかるかもしれない。RobinHoodは規模の拡大より信頼性の高いサービスにすることを優先しており、顧客の信用度についてきわめて慎重だ。

多くの株式アプリはYahoo FinanceやRobinHoodの初期バージョンのように、株の値動きと会社の財務情報を検索することができるだけだ。あるいは大手証券会社が提供する古典的な手数料ベースのオンライン取引サービスだ。RobinHoodの共同ファウンダー、Baiju Bhattは「慎重に投資戦略を決める場合にはデスクトップで情報を集める必要があるだろう。しかし出先や空き時間に株価をチェックし、直感が働いたり、あるいは思いがけない事態が起きていたりして、素早く株を売り買いしたいなら、RobinHoodで数回スワイプするだけですむ」と強調する。[情報開示:VladとBaijuは私の大学時代の友人.]

ユーザーでは値動きに応じて通知をもらうように設定することができる。実際の売買にあたっては株数と売買の別をを入力するだけでよい。RobinHoodはその取引によってユーザーに生じる損益をプレビューする。ユーザーがその内容を確認すると取引が成立する(アニメーションが表示されとサウンドが鳴る)。またセキュリティー対策としてアプリを起動する際にpinコードの入力を求めるよう設定できる。

RobinHoodでは今後ともユーザーに課金する計画はないという。現在、300万ドル以上の運営資金をGoogle Ventures、Index Ventures、Andreessen Horowitz、Rothenberg Ventures、それに少数のエンジェル投資家から得ているが、近々、損益分岐点に達する見込みだ。手数料ベースの信用取引のためにAPIにアクセスを希望するサードパーティーに対する課金や株式取引所がRobinHoodのようなオンライン取引サービスに対し取引高に応じて支払うインセンティブなどによって売上を確保する。

大口投資家にとっては1回10ドル程度の手数料は無視できるが、そんなに金持ちではない個人が少額の投資をする場合、手数料は大きな負担になる。RobinHoodは株式投資の民主化に大きく貢献できるかもしれない。

RobinHoodへのサインアップはこちらから

関連記事:

How RobinHood Can Offer Zero-Commission Stock Trading

Yahoo Finance Modernizes Its iOS Apps And Website

インフォグラフィックで見るApple、Google、Yahoo、Amazon、Facebookの企業買収の15年

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+