ALiNKインターネットは12月10日、東証マザーズ市場に上場した。公募・売り出し価格は1700円で初値は4020円となった。12月11日9時30分時点の最高値は4170円で時価総額は85億2500万円。現在、4000円前後で推移している。主幹事証券会社は野村證券。
同社は、日本気象協会と共同で天気専門メディアの「tenki.jp」を運営している2013年3月設立のスタートアップ。現在の天気を調べられるアプリ「tenki.jp」、登山者向けの天気情報アプリ「tenki.jp登山天気」のスマートフォン向けアプリも提供している。2018年12月には、首都圏や福岡市などで1日70円からの傘のシェアリングサービス「アイカサ」を提供しているNature Innovation Groupへ出資するなど天気関連事業を進めている。ちなみに、同社の従業員は9名、役員を入れても14名と非常に上場企業としてはかなりの少数精鋭である点も特徴だ。
関連記事:傘シェアサービス「アイカサ」がtenki.jp共同運営元から資金調達
直近の業績としては、2019年2月を決算月とする2019年度(2018年3月〜2019年2月)は、売上高が6億9400万円、営業利益が3億4900万円、経常利益が3億4400万円。当期純利益は2億3200万円だった。2020年度(2019年3月〜2020年2月)の予想は、売上高が6億9400万円、営業利益が3億1700万円、経常利益が2億9200万円。当期純利益は1億8300万円。売上高は前年と同じだが、純利益は少し減っている。
同社の事業の9割以上はtenki.jp関連サービスが占めており、売上の大半は広告収入だ。内訳は、アドネットワークを利用した運用型広告と枠売りやタイアップ広告等の純広告による収入だが、現在のところ運用型広告が90%以上を占めているとのこと。なお、tenki.jp の広告収入(売上高)については、一般財団法人である日本気象協会との業務提携契約に基づき、アドネットワーク業者や広告主との主要な契約手続きを日本気象協会が担当。広告収入は、まず日本気象協会に入金され、同社にはレベニューシェアとして、ALiNKインターネット49.5:日本気象協会50.5の割合で配分されているとのこと。
日本国内ではここ数年、地震や津波だけでなく大型の台風の接近や直撃により、全国各地で甚大な被害が広がっている。また、アジアの急速な工業化によって大陸から飛散するPM2.5(微小粒子状物質)の量も増えている。tenki.jpの運営を通して、天気や大気、地震などデータを活用して、日常生活はもちろん、被災時にも欠かせない情報を日々届けているALiNKインターネット。少数精鋭の同社が描く上場後の戦略がどういったものになるのか注目していきたい。