Essentialの後継OSOMが同社初の携帯電話について語る「OV1のリリース延期には理由がある」

Mobile World Congress(モバイルワールドコングレス)は、OSOM(オーサム)の大きなデビューの場となるはずだった。数カ月にわたる予告の後、Essential(エッセンシャル)の破綻をきっかけに設立されたこの北米(米国 / カナダ)のスマートフォンメーカーは、1週間の主要モバイルニュースの中で、最初のハンドセットを披露する予定だったのだ。しかし、計画は変更された。他の大陸で開催される主要なカンファレンスに参加するのは、まだ難しいという判断がなされたのだ。そして、時には大手チップメーカーから「発売を四半期遅らせられないか」と打診されることもある。

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OSOMは当然ながら、Qualcomm(クアルコム)の最新チップを搭載した新しいデバイスの発売を延期することは、賢明なビジネス判断であると納得したようだ。つまり、OV1の発売を第3四半期から第4四半期に変更したのだ。しかし、これで終わりというわけではない。第4四半期に携帯電話を購入する人はたくさんいる。実際、第3四半期になると、2021年のSnapdragonの大々的な発表が少し古く感じられるようになるくらいだ。

明らかな理由により、同社は次のチップが何であるかを開示することはできない。しかし、OSOMがフラッグシップクオリティのデバイスの発売に注力していることを考えると、それがSnapdragon 8 Gen 1の後継になることはかなり確実なようだ。それがSnapdragon 8 Gen 1+(長ったらしくなってきている)に相当するものか、Snapdragon 8 Gen 2になるかは、発売時期とQualcommのロードマップ次第となるだろう。

「彼らは私たちがローカルであることを気に入ってくれているのです。直接仕事をしているチームとは、長い歴史があります」と、創設者兼CEOのJason Keats(ジェイソン・キーツ)氏はTechCrunchに語っている。「私たちのパートナーの1つは、Qualcommが『なんてこった、彼らと一緒に仕事をしているのか?私たちも、君たちのやっていることにもっと関わりたい』と驚くほどの規模のものです。彼らは、OSOMには何か新しいこと、エキサイティングなことをするチャンスがあると言って戻ってきました。すべての仕組みを変えるために。そして、私たちが巨大企業ではないというのもあると思います。もし彼らの利回りが巨大でなくても、私たちに1カ月に500万個のチップを出荷する心配はありませんから」と語った。

同社は、これまでに2000万ドル(約23億円)の資金を調達しているため、発売日については若干の余裕がある。また、シリーズAの発表まで「2〜3週間」となっている。初回販売は比較的控えめだが、キーツ氏は、同社の直販方式とAmazonなどの追加チャネルによる北米および欧州での売り上げが、同社の急成長を後押しすると考えており、1年後の世界出荷台数でトップ5/10になることを期待している。ただし、BBK(Opo/OnePlus、Vivo、Realme、iQOO)はすべて一塊になっていることが非常に重要な注意点ではある。

OSOMが冒頭で述べたように、ここではプライバシーが重要なポイントとなる。さらなる詳細が発表されるのを待っているところだが、同スタートアップは、とりわけ箱に同梱されるUSB-Cについて、いくつかの知見を提供してくれている。このUSB-Cは、普通の充電とデータ共有を切り替えることができる物理スイッチを備えているそうだ。これは巧妙な追加機能で、驚くことにこれまで見たことがない。スイッチと一緒に、どちらのモードにあるのかがわかるようにランプが点滅する。このケーブルは単体でも販売される予定で、価格は未定だ。

「私たちは、ユーザーにコントロールを与え、指先でプライバシーを確認できるようにすることを重視しており、私たちが作るすべてのものにそれを組み込みたいと考えています」。とデザイン担当副社長のDave Evans(デイブ・エヴァンス)氏は、TechCrunchに語っている。「電話機だけでなく、箱の中に入っているものすべてにです。そのケーブルがあれば、いつでも、デバイスに電源を入れようとしているのか、情報の転送を開始しようとしているのかを周りに知らせることができ、完全にコントロールすることができるのです」と語る。

同社は、追加の詳細をポツポツと発表した。フレームはステンレススチール、フロントはGorilla Glass Invictus、背面はセラミックで、カラーはホワイト、マットブラック、そして3つ目の「ファン」カラーが用意されている。基本的には全体を通してプレミアムな素材を使用している。

Qualcommの目玉の一部は、(予想だが)未発表のSnapdragonチップに統合されたカメラ周りにある。OV1は、48メガピクセルと12メガピクセルのデュアル背面カメラに、16メガピクセルのフロントカメラを搭載し、すべてソニー製のセンサーだ。

画像クレジット:OSOM

「Essentialが犯した最大の過ちの1つは、カメラにほとんど力を入れていなかったことです」と、キーツ氏は以前の自身の雇用主について語る。「『すばらしいデザインとエンジニアリング、ただし、微妙なコネクティビティとひどいカメラ体験』といったレビューを読むことになってしまいます」と語る。

このデバイスは、デュアル物理SIMスロットを搭載している。同社は、EssentialとSprint(スプリント)との契約を振り返り、リリースをどのキャリアにも縛りたくはないと語った。また、PH-1よりも物理的に大きくなっているが、これはバッテリーがより大きくなったためで、バッテリーは現在の値では「1日以上」もつ。OV1は、ウルトラワイドバンドにも対応する予定だ。

正確な発売日も価格もまだ未定だ。しかし、キーツ氏は、プライバシーに焦点を当てたこのデバイスが「1000ドル(約11万5000円)よりだいぶ下」になると以前話していた。これは率直に言って、最近のフラッグシップの中では安価だと言ってもよいだろう。このニュースは、Nothing(ナッシング)がスマートフォン競争に参入し、来月までに大きな発表を行うという私たちの最近の報道の後に続いている。Nothingは、Essentialの崩壊後に資産を購入したことで注目を浴びたが、創業者のCarl Pei(カール・ペイ)氏は、同社は一時的にその名前の復活も検討したそうだが、当時の決断はあくまでブランディングのためだったことをTechCrunchに認めた。

この携帯電話は、10年間の爆発的な成長の後、売上高の停滞に苦しんできた業界の過渡期に登場することになる。スマートフォンの世界は、少なくとも成熟期に入っている。購買意欲は鈍化し、人々は近年劇的に向上した端末の品質に概ね満足している。現在、市場の一部は一握りのプレイヤーによってコントロールされているため、真の破壊はボトムアップで起こる必要があるのだ。

OSOMは、プライバシーが売上を確保する差別化要因として十分であることに大きな賭けをしている。つまり、プライバシーと、その懸念を払拭するための適切なマーケティング予算だ。同社はまた、自社を単なるハードウェア・メーカー以上の存在とみなしている。正直にいうと、最近はどこもそうでなければならないことが多い。

「私たちは、プライバシーのためのソリューション全体を構築しています」とキーツ氏はいう。「私たちは、ユーザーのプライバシーを保護するためのデバイス、ソフトウェア、サービスを作りたいと考えています。それは、単にアプリケーションストアからアプリをダウンロードするだけでなく、ソフトウェアパートナーを当社のハードウェアに統合し、彼らが実際に働くための基盤を提供するのと同じくらいシンプルなことかもしれません。システムレベルでインストールすることができるのです」と語った。

それは、さまざまなソリューションで他企業と提携することも含まれる。1月、OSOMはHPとの「長期的な戦略的パートナーシップ」を正式に発表したが、具体的な契約内容はこれからになるだろう。

画像クレジット:OSOM

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

【レビュー】Kindle Paperwhiteシグニチャーエディション、充実した読書のためのすてきな機能を追加

筆者はiPhoneをワイヤレス充電器から外し、新しいKindleを載せた。正直なところ、こんな一文を書くことになるとは思っていなかった。心が躍らないことはわかっているし、2021年時点では間違いなくそうだ。だが、冷静に考えてみれば、電子書籍リーダーのイノベーションのペースは、他の業界に比べるとまさに氷河の動きなのだ。


理由の1つは、競争相手が減少していることだ。Sony(ソニー)のようなかつての大企業はとうの昔に撤退し、Barnes & Noble(バーンズ・アンド・ノーブル)は表向きにはまだNook(ヌーク)事業を続けているが、かつての栄光の日々はとっくに終わっている。ビッグプレイヤーといえば、まだ健在のKobo(コボ)と、そしてもちろんAmazon(アマゾン)だ。

現実的に考えて、米国での規模と存在感という点ではAmazonに軍配が上がる。他の分野でもいえることだが、この巨大小売企業がこの分野を支配している。出版業界での圧倒的な存在感と、同社のホームページに持つ世界有数の、オンラインの広告塔が寄与している。そして見逃せないのは、同社が総じて優れた電子書籍端末を製造しているという事実だ。

この分野で競争が少ないということは、メーカー同士の激しい競争は二度と起こらないということでもある。つまり、スマートフォンのような競争、あるいは10年前のような競争は起こらないと思われる。

だからこそ、新しいKindleが登場すると、純粋にワクワクする。このカテゴリーにはまだ生命力があるように感じられる。Kindleは、EchoやFire TVの陰に回って久しいが、良い年には1年に1台のペースで新しいKindleが発表される。

2021年9月末に発表された新しいPaperwhiteは、ハイエンドのOasisとの違いを曖昧にするいくつかの機能、そしていくつかの純粋な驚きをもたらした。その中でも、ワイヤレス充電とUSB-Cは、後者のカテゴリーだ(ただし、いずれも「シグニチャーエディションのみで利用可能な機能。同モデルはスタンダードモデルより50ドル[日本では5000円]高い)。これまで何世代にもわたってmicroUSBを採用してきたこのデバイスの底部に、新たなポートが搭載されているのは、正直なところ、単純に不思議な感じだ。

USB-Cの採用により、充電時間が短縮され、約2.5時間(ワイヤレスの場合は約3.5時間)で本体を充電できる。とはいえ、筆者にとっての最大のメリットは、旅先で持ち歩くケーブルが1本減ることだ。Kindleは、私が普段使っている中で、microUSBを使う最後のデバイスの1つだった。もちろん、バッテリー駆動時間を考えると、その点はもう意味を持たない。新しいPaperwhiteは現在、10週間のバッテリー駆動が可能とされているからだ(ワイヤレスをオフにし、1日30分の読書をした場合)。

従来の6週間からさらに長くなったわけだが、ガジェット用のバッテリーとしては、6週間でも非常に良い。数日や数時間ではなく、数週間使える数少ない消費者向けデバイスの1つだ。このことは、一般的な、ある奇妙な点に光を当てる。こうしたデバイスでアップデートされる機能の多くが、バッテリーと充電に集中しているという事実だ。確かに、Bluetoothオーディオを使ったオーディオブックなどは、通常の読書よりもバッテリーに負担がかかる。

新しいPaperwhiteは、一見すると前世代とほぼ同じように見える。Oasisと同様、平らになったベゼル(ディスプレイを囲む縁の部分)とディスプレイが、すでに強固な躯体に加わる。しかし、250ドル(日本では8GB広告付きで税込2万9980円)のOasisのような高級感はない。Oasisには背面が金属製で物理的なページボタンがついているが、Paperwhiteにはそのような贅沢な部品はない。

興味深いことに、スクリーンに大きな違いはない。どちらも解像度は300ppi(前世代と同じ)で、標準的なKindleの167を大幅に上回った。サイズは6.6インチから新モデルの6.8インチへとわずかに大きくなった。Oasisの7インチよりわずかに小さい。また、両モデルともにIPX8規格の防水機能を備え、プールやバスタブなど水のあるところで読書をしたい人にはうれしい仕様となっている。

フロントライトは、Paperwhiteの17個に対してOasisは25個と、Oasisが勝っている(Paperwhiteの方が画面が小さいということはある)。ライトは均一で、暗いところで読むときにもいい仕事をしてくれる。システムは、2019年のOasisで導入された色調調節機能を備える。睡眠パターンに悪影響を及ぼす可能性のある青い光をスケジュールに沿って減らすものだ。明るさを調整するアンビエントライトセンサーは、シグニチャー・エディションにのみ搭載されている。

搭載されているストレージも標準版のPaperwhiteとシグニチャーエディションの大きな違いで、前者の8GBに対し、後者は32GBと大きい。ワイヤレス充電は、ほとんどの人が電子書籍リーダーを使用する際には不要なものであり、140ドル(日本では1万4980円)と190ドル(日本では1万9980円)の価格差を正当化するほどのものではないと思う。30ドル(日本では3480円)のワイヤレス充電スタンドが別売りであることを考えれば、なおさらだ(筆者のAnkerの充電器は問題なく動作しているため遠慮する)。

概して、歓迎すべき追加機能がたくさんある。2018年版のPaperwhiteを持っている人には、アップグレードする価値がないかもしれないが、充実した電子書籍端末を探している人にはお勧めだ。新機能は、上位モデルのOasisとの境界線を曖昧にした。250ドル(日本では8GB広告付きで2万9980円)のOasisはより高級な外観だが、大多数の読者にとっては新しいPaperwhiteの方がずっと理に適っている。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップル、MagSafeコネクタを新MacBook Proで復活

Appleは「接続性のジェットコースター」に私たちを乗せるのが大好きなようだ。新しいMacBook Proは、MacBookシリーズがこれまで頼りにしてきたUSB-Cコネクタでは対応できないほど電力を消費する。これまでどおりThunderboltポートを使って充電することもできるが、新しいM1 ProM1 Maxプロセッサーを1ミクロンでも長く使いたいなら、MagSafeを使うべきだ。

これは実にクレバーな設計だ。MagSafe 3の充電器は、メインのワークステーションに置いておきそこでヘビーな作業を行う。一方、外出先でテキストをまとめたり、ウェブを閲覧するときには、性能は低いが小型の充電器を使うことができる。もちろん、USB-Cケーブルにはすぐ外れるというMagSafeのメリットはないが、これは両方の長所を活かす最良の組み合わせだ。ちょっと馬鹿げているが、もし誰かがケーブルにつまずくようなことがあれば、それは自宅や職場のデスクで安全に過ごしているときではなく、外出中であることが多いものだ。

新開発のMagSafe 3コネクタと、MacBook Proの新しいポート

新しいMagSafeポートには、2006年にアップルが開発したおなじみのマグネット式クイックリリースが搭載されており、誰かが電源コードにつまずいてもノートパソコンが床に落ちることはない。当時Appleは、このマグネット式クイックリリースを「コンピュータの転倒によるトラブルをすべて解決する」と謳っていた。

Macbook Pro 2021のMagSafeポート。新しいMagSafe 3コネクタはマグネットを採用

その10年後、Appleは方針転換し全面的にUSB-Cを採用したが、結局のところ、パソコンの落下問題は大したことではないのだろうか?AppleのノートパソコンにMagSafeが戻ってくるのは喜ばしいことだが、この変更にはどのような意味があるのだろうか。

Appleは単に、USB-Cが確実に供給できる以上の電力を必要としていたのではないだろうか(ご存知のとおり、多くの人がW数が小さいスマートフォン用充電器でノートパソコンに接続していた)。

MagSafe 3は、本日発売されたAppleの新しいMacBook Proシリーズに搭載されている。

画像クレジット:Apple

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Katsuyuki Yasui)

ついにヨーロッパが携帯電話の充電器を共通化するための法律を制定、共通の充電ポートはUSB-Cに

スマートフォンやタブレットなどの家電製品の充電ポートの標準化に向けて、EUの議員がようやく動き出した。今回発表されたこの提案が採用されれば、カメラ、ヘッドフォン、ポータブルスピーカー、携帯型ゲーム機などの機器に共通の充電ポートとして、USB-Cが採用されることになる。

スマートウォッチやフィットネスバンドのような小型の家電製品は、そのサイズや使用形態などの理由から除外されている。

また、この委員会の計画では、地域の議員が携帯電話の充電器の販売を分離して、自動的に同梱されないようにすることが望まれている。

また、急速充電の規格も統一され、機器メーカーは、必要な電力や急速充電に対応しているかどうかなど「充電性能に関する関連情報」をユーザーに提供する義務を負うことになる。

欧州委員会は「これにより、消費者は既存の充電器が新しい機器の要件を満たしているかどうかを確認したり、互換性のある充電器を選択したりすることが容易になります」と指摘し、さらに一連の措置によって、消費者が新しい充電器を購入する回数を減らし、不必要な充電器の購入にかかっている年間2億5000万ユーロ(約323億9000万円)を節約することができると述べている。

欧州委員会はこの提案の発表の中で、欧州委員会が10年以上にわたって推し進めてきた「自主的なアプローチ」、すなわち覚書のような推奨を通じて電子機器業界に共通の基準を実現させようとする試みが、求められている基準を実現できておらず、たとえば携帯電話の充電器にはいまだに3つの異なるタイプが存在していることを述べている。

より広い目的としては、家電製品から発生する廃棄物の一部を削減することで、世界の廃棄物の山に意味のある変化をもたらすことが目指されている。たとえば欧州委員会は、消費者が携帯電話の充電器を平均3個所有しており、そのうち2個を定期的に使用していると指摘している。それゆえ、機器メーカーが毎回新しい充電器を用意する必要はないのだ。

また、同委員会は、廃棄される未使用の充電器は、年間約1万1000トンの電子廃棄物に相当すると推定していることを付け加えた。

もちろん、現在携帯電話市場に出回っている非標準的な充電器の1つは、iPhoneメーカーであるApple(アップル)のものだ。Appleはこれまで、自社の機器に標準的なポートを搭載させようとする圧力に抵抗してきたが、汎EU法によって世界共通の充電器を強制的に導入することができれば、巨大企業はついに独自のLightning(ライトニング)ポートを放棄せざるを得なくなるだろう。

Appleは長年にわたり、デバイスに標準的なポートを採用する代わりに、間違いなく幅広く莫大な利益を生むアクセサリービジネスを展開してきた。例えば、iPhoneの3.5mmヘッドフォンジャックを削除するなど、標準的なポートを削除することさえあったのだ。つまり、Appleのデバイスのユーザーは、より多くの標準的なポートにアクセスしたい場合には、ドングルを購入しなければならず、将来的にさらに多くの廃棄物が発生することになる。

EUの立法案が、Appleのドングルを使った組み込み型の汎用的な回避策を実際に禁止するかどうかは、まだはっきりしない(私たちは欧州委員会に質問してみた)。

欧州委員会のデジタル戦略担当EVPであるMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベステアー)氏は、欧州委員会の提案について次のようなコメントを述べている。「欧州の消費者は、互換性のない充電器が引き出しに溜まっていくことにずっと不満を感じていました。産業界には独自の解決策を提案するための時間を十分に与えてきましたが、今は共通の充電器に向けた立法措置をとる時期に来ています。これは、消費者と環境にとって大切な勝利であり、私たちのグリーンとデジタルの目標に沿ったものです」。

欧州連合(EU)のThierry Breton(ティエリー・ブルトン)域内市場担当委員は、呼応する声明の中で次のように付け加えている「私たちの最も重要な電子機器のすべてに電力を供給しているのが充電器です。機器が増えれば増えるほど、互換性のない、あるいは必要のない充電器がどんどん売られていきます。私たちはそれに終止符を打ちます。私たちの提案により、欧州の消費者は1つの充電器ですべての携帯電子機器を使用できるようになるでしょう。これは利便性の向上と廃棄物の削減のための重要なステップとなります」。

なお、この提案が法律として成立するためには、EUの他の機関である欧州議会と欧州理事会がこの提案を支持する必要がある。欧州議会は、欧州委員会が共通の充電基準を実現できていないことに以前から不満を表明しており、2020年はこの問題への厳しい対応を求める投票が圧倒的に多かった。そのため欧州議会議員がこの問題に関する汎EU法の制定に熱心なのだろう。

とはいえ、一朝一夕に激変するわけではない。欧州委員会は、過去の法制化の適用データから、24カ月間の移行期間を提案しているので、たとえ議会と理事会がこの計画に迅速に合意したとしても、機器メーカーが遵守しなければならなくなるには、何年もかかることになる。

欧州委員会の広報は、これまで産業界にこの問題に関して10年以上の圧力をかけてはきたものの、計画されている法改正に適応するための「十分な時間」を与えたいとしている。

欧州委員会が求める共通の充電器ソリューションを欧州で実現するためには、さらなるステップが必要である。外部電源の相互運用性を確保するためのさらなる調整が必要とされているからだ。立法者によると、こちらの問題はエコデザイン規則の見直しによって対処されるという。この規則は、共通充電器ポート要件と同時に発効することを目指して、2021年後半の開始が予定されている。

後者の提案に関するFAQの中で、欧州委員会は、この問題で立法上の難問に取り組むのになぜこれほど時間がかかったのかという自らの疑問に答えているが、当初は業界が関与することを期待して、より「野心的な」自主的アプローチを継続しようとしていたと書いている。しかし、業界が提案した案は「不十分」であり、共通の充電ソリューションを提供することはできなかったと述べている。

世界が気候変動マイクロプラスチック汚染などの環境問題への取り組みを進める上で、立法者たちが「実際の立法の必要性」を学んだことは重要な教訓となるだろう。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:sako)

アマゾンの新Kindle Paperwhiteが大画面、USB-C、ワイヤレス充電を採用

業界のビッグネームたちが大きなイベントを開催して、ハードウェアのシーズンに突入した。Amazon(アマゾン)はすでに多くの新しいFire TV(ファイアTV)を発表しており、1週間後には(おそらくEcho[エコー]に焦点を当てた)大きなイベントを計画している。そうした中でアマゾンは、新しいKindle Paperwhite(キンドル・ペーパーホワイト)の形で、私たちに大きな衝撃をもたらした。

私が「衝撃」だというのは、Kindleハードウェア部門全体が、ここしばらく静かだったからだ。私たちは、Paperwhiteが2018年に最後のメジャーアップグレードを行ったときに「The Voyage(ザ・ボイジャー)は終わったのかもしれないが、Kindleラインにはまだ生き残りがいる」と書いている。なぜなら、現実を直視するなら、専用電子書籍リーダー市場全体が必ずしも活気に満ちてはいないからだ。確かにKobo(コボ)はまだ息をしているが、最近のアマゾンはモノリスのごとく事実上この市場に1人で踏みとどまっている。

画像クレジット:Amazon

しかし、本日のニュースへとつながる、製品ラインのUIアップデートを含むいくつかの噂や、リーク情報があった。その結果、Kindleの中級機としては過去最大のアップデートとなる新型Paperwhiteが登場したのだ。

今回のアップデートの目玉は、待望されていた6インチから6.8インチへのディスプレイの大型化であり、330PPIの画素密度は維持されたままだ。これによって、7インチで300PPIのKindle Oasis(キンドル・オアシス)に近づいている。Oasisと同様に、ベゼルは本体と同じ高さに揃えられているが、フットプリントを維持するために、前世代からは12%削られて10.2mmになっている。

画像クレジット:Amazon

正直なところ、最もエキサイティングなのは、USB-Cによる充電だ。少しバカげているように聞こえるかもしれないが、KindleシリーズはmicroUSBの最後の生き残りであり、私がそのためのケーブルを持ち歩く数少ない理由の1つなのだ。私は、高額なOasisが新しい(というかより新しい)コネクタを採用する最初のデバイスになると思っていたが、そうするためには、アマゾンは新しいOasisをリリースしなければならなかっただろう。

充電はより速くなって、ゼロからフルになるまで2.5時間だ。また、バッテリー自体も改良され、1回の充電で従来の6週間から10週間もつようになった。4週間の違いは大きい。バッテリーに関するもう1つのサプライズは、ワイヤレス充電の登場だ。これは、新しいPaperwhiteシグニチャーエディションに搭載されており、このエディションではストレージも8GBから32GBにアップしている。また、アマゾンは別売り30ドル(日本のストアでは税込3480円)の充電ドックも発売するが、標準的なQiパッドも使えるはずだ。

画像クレジット:Amazon

ディスプレイの最大輝度は10%上昇し、周囲の明るさに応じて輝度を自動調整する機能も搭載した。Oasisと同様に、就寝時間に近づくと暖色系の光に調整され、目を保護する。プロセッサーは前世代から改良されており(現時点では詳細は不明)、ページめくりが20%速くなっているという。このデバイスは、消費者からリサイクルしたプラスチックを60%、再生マグネシウムを70%使用している。

新しいPaperwhiteの価格は、スタンダードが140ドル(日本では税込1万4980円)、シグニチャーエディションが190ドル(日本では税込1万9980円)だ。Kindle Unlimitedが4カ月間無料で利用でき、すでに事前予約可能となっている。また、本機では初となるキッズモデルも予約受付中だ。Kindle Paperwhiteキッズモデルは、子ども向けのカバー、1年間のAmazon Kids+(アマゾン・キッズプラス)がついて、保証は2年間だ。こちらの価格は160ドル(日本では税込1万6980円)だ。

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)