自動運転車向けLiDARセンサーのVelodyneが特別目的買収会社を利用して上場

センサーは自動運転車の商用展開に重要だと広く考えられている。その主要サプライヤーであるVelodyne Lidar(ベロダインライダー)は米国時間7月2日、特別目的買収会社(SPAC)であるGraf Industrial Corp.(グラフ・インダストリアル・コープ)との合併契約を締結した。合併後の会社の時価総額は18億ドル(約1900億円)なる。

同社によると、新規参加の機関投資家やGraf Industrialの既存株主からPIPEs(上場企業への私募増資)により1億5000万ドル(約160億円)を調達した(Velodyne Lidarブログ)。一連の取引の結果、Velodyneの貸借対照表には約1億9200万ドル(約210億円)の現金が計上される。

Velodyneの創業者であるDavid Hall(デイビッド・ホール)氏は、株主であるFord(フォード)、中国の検索エンジンBaidu(バイドゥ)、Hyundai Mobis(ヒュンダイモービス)、Nikon Corp.(ニコン)の持分と合わせ、合併後の会社の株式の80%を保有する。ホール氏はエグゼクティブチェアマンに就任し、Anand Gopalan(アナンド・ゴパラン)氏がCEOとして残る。

合併は2020年第3四半期に完了する見通しだ。Velodyneによると、合併後の会社はNYSE(ニューヨーク証券取引所)で引き続き取引され、企業結合完了後は新しいティッカーシンボルVLDRで取引される。

この取引は、従来のIPOプロセスに代えてSPACを利用する企業の最新例となった。今週初めにオンライン中古車市場のスタートアップであるShift Technologies(シフトテクノロジーズ)が、SPAC Insurance Acquisition Corpとの合併契約を発表した。合併新会社は、米NASDAQ(ナスダック)に新しいティッカーシンボルとともに上場される。Nikola Motor(ニコラモーター)も2020年初めにSPACを通じて公開した。

Velodyneは自動運転車業界で統合が進む中で株式公開することになる。スタートアップ、自動車メーカー、大手テック企業は、資本集約的な自動運転車の開発と展開に長期的な時間軸で取り組むようになった。大企業に飲み込まれたスタートアップがあり、消滅したスタートアップもある。過去18カ月間に自動車メーカーは、より多くの経営資源と労力を乗用車、トラック、SUVにおける高度な運転支援システムに割いている。

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LiDAR(ライダー)は、おそらく自動運転車業界で最もプレーヤーが多いサブカテゴリーの1つだ。レーザー光で距離を測定し、非常に正確な車の周辺環境の3Dマップを作成するセンサーだ。自動運転車業界では、センサーはロボタクシーなどの自動運転車を安全に運用するために必要な主要技術だと認識されている。

Velodyneは「KFCバケット」回転レーザーLiDARで最もよく知られている。2004年のDARPA Grand Challenge(米国防高等研究計画局によるロボットカーレース)に出走した車両に取り付けたセンサーの欠陥により設計を見直した。ホール氏は回転レーザーLiDARを開発し、DARPAが主催する自動運転車コンテストに将来出場するチームにセンサーを販売した。KFCバケットは、自動運転車に取り組む企業にとって重要なLiDARセンサーだった。Waymo(ウェイモ)はGoogle(グーグル)の自動運転プロジェクトだった頃、Velodyne LiDARセンサーを2012年まで使用していた。

ただし回転LiDARユニットは高価で、機械的にも複雑だ。これが新しいアプローチを試す新世代のLiDARスタートアップの誕生を促した。今日、自動車メーカーや自動運転車開発企業にセンサーを売り込むLiDAR企業は数十社あり、70社に上るという声もある。彼らはすべてVelodyneを目指している。

こうした新世代の企業がVelodyneにも進化を促している。同社は2020年1月のCES 2020で新しいセンサーを発表した。その中には「VelaDome」、100ドル(約1万800円)の小型LiDARユニット「Velabit」、ソフトウェア製品「Vella」が含まれる。

「LiDARの市場機会について議論の余地はない」とゴパラン氏は1月にTechCrunchの記者Devin Coldewey(デビン・コールドウェイ)に語った。「議論するとすれば、それで何がしたいかだ。他社は、自動運転レベルで2+または3に焦点を合わせている(単純なドライバー支援より上のレベル)。当社はそのアプローチの近道を探している。低いレベルで採用されていない唯一の理由は価格だ。LiDARが100ドル(約1万800円)で手に入るなら、もちろん使うだろう。100ドル未満なら、ドローン、家庭用ロボット、歩道ロボットなど、応用の可能性は計り知れない」。

同社は過去数年間、LiDARのコスト削減とポートフォリオの多様化に重点的に取り組んできた。Velabitは、自動運転車業界以外の顧客を獲得しようとする同社の取り組みの一例にすぎない。小型センサーには自動運転車に必要な機能がない。代わりにVelodyneは、センサーを小型の産業用ロボットへ応用することを検討している。

画像クレジット:Bloomberg

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(翻訳:Mizoguchi

StreetDroneの自動運転電気カーは‘教材’として教育市場をねらう

自動運転車の話題を至るところで見るようになったが、しかしイギリスの StreetDroneは、それが使いやすい教材としても存在すべきだ、と考えた。必要なセンサーがすべてあり、技術的に完成している製品があれば、研究や学習の素材になるだろう。そこで同社が作ったStreetDrone ONEは、Renault Twizyを改造して一連の自動運転用センサーを載せ、自動運転技術について学べるようにした電気自動車だ。

StreetDrone ONEは、児童生徒学生たちに、自動運転の技術を体験学習できる機会を与える。いくつかのタイプがあって、それぞれセンサーの種類やインターネット接続の有無などが違う。完全装備のStreetDrone ONEには、VelodyneのLiDAR、360度カメラ、低解像度の光学カメラが4基、そしてレーダーとBluetoothとWi-Fiがある。ただし、目的によって構成を変え、それら装備の使う/使わないを指定できる。またモジュール的な設計なので、研究者や児童生徒学生があとから独自のパーツやソフトウェアを追加できる。

この自動車は、いわば自動運転車のRaspberry Piだ。安いから学校などで採用しやすいし、児童生徒学生がいきなり市場にさらされる前に、自動運転車の実物を体験できる。今は予約受付中で、まずイギリスの大学の顧客向けに8月から納車される。

‘教材’以外には、自動運転車の’プラットホーム’への需要に対応しようとする企業もある。たとえばあるサプライヤーはLexusの改造車に一般市販のセンサーを装備して、Nvidiaなどの企業が自動運転車の研究開発事業を、すぐに初められるようにしている。でも学校をターゲットにするのは、賢明な戦略だろう。StreetDroneも徐々に大学やカレッジに食い込み、市場の需要に応えて彼らの教育事業の構築に貢献していくだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))