米国の著名投資家がコロナ禍の中小企業サポートでフィンテック革命の重要性を説く

おそらく最も成功しているプライベートエクイティのテック投資会社であるVista Equity Partners(ビスタ・エクイティ・パートナーズ)のトップが、珍しくMeet The Pressに登場した。マイノリティの人が経営する事業が、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大による経済崩壊から復活するのをサポートするために国がとるべきステップを議論するためだ。

Robert F. Smith(ロバート・F・スミス)氏は世界で最も裕福なプライベートエクイティ投資家であり、博愛主義者として知られ、米国で最も裕福なアフリカ系米国人だ。インドの通信テックデベロッパーであるJio Platformsへの15億ドル(約1600億円)もの投資を発表してから数日後、スミス氏の注意は米国へと、そして新型コロナウイルスの感染拡大がマイノリティの人々の健康を脅かすにつれ、マイノリティの人々の事業や金融機関を崩壊させている経済危機へと向けられた。

スミス氏は新型コロナウイルスを「一連の伝染病の中でも稀に見るパンデミック」と指摘し、「次の刺激策は従来の金融機関のサービスを受けられていない零細事業者をサポートする必要があり、それには新たな金融テクノロジーソフトウェアやサービスが役立つ」と述べた。

「最初に、そして最も大きな影響を受け、おそらくサポートソリューションを持ってしても回復までに最も時間がかかるコミュニティが再び成長できるようにするために、真に長続きするスケーラブルなソリューションを展開できるよう米国人が引き続き結集する必要がある」とスミス氏はNBCのChuck Todd(チャック・トッド)氏に述べた。

スミス氏はコミュニティ開発金融機関への現金の注入、それから透明性の確保と大きな金融機関のサービスが受けられない都市の農村部コミュニティでのオペレーションを促進する新たなテクノロジーツールを求めた。

米国の経済刺激策では、財務省の4兆ドル(約430兆円)の資金提供と、さまざまな業界への20億ドル(約2160億円)の現金支払いを通じて、第一ラウンドとして6兆ドル(約646兆円)が注入された。

LendioのCEOを務めるBrock Blake(ブロック・ブレーク)氏がForbes(フォーブス)に寄稿したPayroll Protection Program(PPP、新型コロナで影響を受けている事業者が雇用を維持するためのプログラム)の検証によると、そうした初期のローンの平均サイズはわずか24万ドル(約2600万円)以下だった。

PPPの欠点についてブレーク氏の評価は、スミス氏のPPPプログラム批判を表すものだ。「小規模コミュニティの多くが大きな金融機関にサポートされていない」とスミス氏は述べた。その代わり、小規模コミュニティの人々はコミュニティ開発金融機関に頼っているが、それらの機関の多くが米国中小企業庁に承認されておらず、そのためにPPP資金を分配したり顧客にローンを提供したりすることができない。

「我々は今こそ、こうした中小企業におけるビジネスインフラに再投資しなければならない。我々がさらに強くなってこの状況から立ち上がることができるよう、銀行業務のインフラにだ」とスミス氏は述べた。「こうした『毛管銀行業務システム』がより効率的になるよう、そして銀行に相手にされていない中小企業にサービスを提供するために資金にアクセスできるよう、テクノロジーとソフトウェアに投資しなければならない」。

多くの場合、これは2008年の景気後退後にマイノリティ・コミュニティの間で出現し始めたばかりの零細事業をサポートするために、完全に新しい金融インフラを構築することになる。

「ローンの平均サイズを2万5000〜1万5000ドル(約270〜160万円)にする必要がある」とスミス氏は話した。実現するためには、コミュニティ・バンクと開発金融機関は顧客の信用度を査定する能力を向上させ、どのように資本を配分してローンを組むかこれまでとは異なった考え方をし、そして新たなフィンテックソリューションにアクセスできるようになる必要がある。

いくつかの点においては、PPP経済刺激策が金融機関システムを通じて導入され、銀行がローンを提供し始めた後にフィンテックの幹部たちが上げていた声をスミス氏は反映させている。

「資本を零細事業者に分配するインフラへの再投資、零細事業者への直接的な再投資、大きく育つ機会があることを零細事業者が認識できるようテクノロジーと能力の提供にかなりの資金を注ぎ込まなければ、失態となる。バンキング砂漠だった昔に戻るようなところは見たくない」とスミス氏は話した。

Vista Equity Partnersの最高責任者であるスミス氏はポートフォリオにある企業にソリューションを示すよう課した。週刊投資金融情報専門紙のBarron’sが先週報道したように、スミス氏はVista EquityのポートフォリオにあるFinastraに、サービスを受けられていないコミュニティの零細事業者のためのPPPローン小規模貸しの手続きをサポートするテクノロジーを開発するよう依頼した。

「プロセスにおいて、銀行を利用できない事業者がいかに脆弱なコミュニティであるか明らかになった。零細事業者がPPP以降も中小企業庁と長期的な関係を構築できるよう、金融業務における永続的なインフラの構築サポートに真っ先に取り組むべきと考えた」とスミス氏はBarron’sに語った。

先週時点で、ロンドン拠点のFinastraが米国の小規模貸し手のために開発したソフトウェアを使って800もの貸し手が7万5000件のローンを処理した。これらのローンはフィンテック企業に220万ドル(約2億4000万円)の手数料をもたらした。そしてFinastraも零細企業向け貸し出し促進の見返りを受けた。Vista Equityの広報担当によると「同社とスミス氏はそれと同じ額を地域のフードバンクに寄付している」とBarron’sは報じた。

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(翻訳:Mizoguchi