グリーを1年で退職してWakuTech(ワクテク)を設立した起業家が提供するのは、「2ちゃんねる越え」を目指すiOS向け掲示板アプリ「festy」だ。
festyはiOS向けの掲示板アプリ。ユーザーはニックネームを設定すれば、掲示板にスレッド(festyでは「ポスト」と呼んでいる)を投稿したり、投稿内容にコメントしたりできる。画像の添付も可能で、お気に入りの投稿にはFacebookの「いいね!」のような「粋」を付けることができる。ちなみにこの粋のボタンは太鼓のアイコンになっているんだけれども、タップするたびに「ドドン」と太鼓の音が鳴る(最大5回まで連続でタップ可能だ)。
特徴的なのは人気のポストを表示するトップ画面。投稿されたコメントがニコニコ動画のように右から左に流れていく。「盛り上がっている感を大事にしている。非同期だが一緒に話しているような感覚になればいいと思った」(蒋氏)
掲示板には「おもしろネタ」「マンガ・アニメ」「ドラマ・バラエティ」「アイドル・芸能」「ゲーム」「スポーツ」の6つのカテゴリを用意する。今マンガ・アニメ系の投稿ではちょっと権利関係のまずそうな画像もあるのだけれど、「規約で注意を促しており、問題があれば対応する」(蒋氏)のだそう。
二度のピボットから誕生
WakuTech代表取締役CEOの蒋詩豪氏と取締役COOの白土聡志氏の2人は、2013年4月に新卒でグリーに入社。それぞれ将来は起業することを考えていたそうだが、「思いの外早いタイミングで気の合う創業者を見つけた」とのことで、丸1年でグリーを退社。2014年4月にWakuTechを創業した。
当初企画していたのはオタク特化のフリマアプリ。だが開発が後半に差し掛かったところでjig.jpの「オタマート」、セブンバイツの「A2Mart(アニマート)」など“ガチ競合”なサービスが続々とリリースされたことからピボット。今度はオタク向けのニュースキュレーションアプリを開発するも、ディー・エヌ・エーから「ハッカドール」がリリースされるなど、二度も競合サービスに先を越されてしまったのだそうだ。
「マンガやアニメ、ゲームといった領域で勝ちたいと思っていたが、起業して8カ月くらいまでは迷走していた。それで、新卒時代に創業メンバー2人で意気投合した『インフラを作る』ということを振り返って、Festyを作った」(蒋氏)
WakuTechでは、festyの開発に当たり、ANRIから1500万円の資金調達を実施。2月末にアプリをリリースし、4月以降サービスを本格化させた。
ちなみにこのアプリにもすでに競合サービスが存在している。NTTドコモ・ベンチャーズのインキュベーションプログラムである「ドコモ・イノベーションビレッジ」の卒業生、SODAの「doyo」だ。こちらもスマートフォン特化の掲示板アプリ。ただしFestyと違って匿名での投稿が可能で、より2ちゃんねるライクなサービスとなっている。
Festyをニックネーム制にした理由について蒋氏らに聞いたのだけれども、「完全匿名だと、ネガティブな話題ばかりになる可能性があるので、誰の発言かは特定できるようにしている。ただしなれ合いにはしたくないので、フォロー機能などは持たない」とのことだった。