モバイルアプリのテストをノーコードで自動化するWaldoが約17.2億円を調達

「ノーコード」でテストを自動化するツールのWaldo(ウォルドー)が1500万ドル(約17億1800万円)を調達した。モバイルアプリの開発チームはWaldoを使ってスクリプトのコードを1行も書くことなくテストをセットアップし、継続的インテグレーション(CI、Continuous Integration)パイプラインにシームレスに統合できる。

このシリーズAラウンドを主導したのはInsight PartnersのJoshua Zelman(ジョシュア・ゼルマン)氏で、Matrix PartnersとFirst Round Capitalも参加した。他にNicolas Dessaigne(ニコラ・デセーニュ)氏、Ben Porterfield(ベン・ポーターフィールド)氏、Tyler Gaffney(タイラー・ギャフニー)氏、Keenan Rice(キーナン・ライス)氏といったビジネスエンジェルも投資した。Waldoは今回得た資金で従業員を増員し、Go-To-Market戦略を固めていく考えだ。

Waldoをよく理解するために、まずはモバイルのテストについて考えてみよう。小規模な開発チームは通常、実際にテストをすることに多くの部分を頼っている。スマートフォンを数モデル所有し、アプリの開発ビルドをそのデバイスで実行する。うまくいかないことがあればバグを見つけて修復する。

アプリやチームが大規模になると、手作業でのテストでは追いつかなくなる。テスト用のスクリプトを書くことはできるが、それは開発の時間がさらにかかる厄介なタスクだ。資金が十分にあってテスト用スクリプトに開発の時間を使うことができるか、時間が経つにつれて開発者がそのスクリプトを放置してしまうかの、どちらかだ。

Waldoは3つ目のやり方があると考えた。この4年間、同社はセットアップもメンテナンスも簡単なテスト用プラットフォームを開発してきた。開発者はWaldoのプロダクトを使い始めるときに、アプリのパッケージ(開発環境で作成した.ipaまたは.apkのファイル)をこのプラットフォームにアップロードする。

するとWaldoはそのアプリをブラウザウインドウで実行する。これはそのアプリのライブバージョンで、開発者はローカルのエミュレータと同様に操作できる。ボタンをタップし、ログイン画面でパスワードを入力し、画面を指でスワイプするような操作だ。

Waldoはテストのステップをすべて記録する。このテストを本番環境で使用すれば、Waldoは同じステップを実行して問題があれば、つまりテストの最後のステップまで到達しなければ、アラートを出す。テストはCIワークフローから直接トリガーされる。つまりGitリポジトリに新しいコードをコミットすれば、アプリは自動でWaldoに送られる。

画像クレジット:Waldo

時間が経っても適切に動作するのは、Waldoが画面の構造を理解するからだ。例えば、開発者はテストに戻って画面のエレメントを特定することができる。同社の共同創業者でCEOのAmine Bellakrid(アミン・ベラクリド)氏は筆者に対し「ウェブページでウェブインスペクタを開き、HTMLを見ていると想像してみてください」と説明した。

このようにすれば、開発者は画面の類似性は一定のしきい値以上であると判断し、一部のエレメントを手動で構成できる。例を挙げると、テキストボックスを選択することができれば他の言語でも大丈夫だと考えられる。

時間をかけてテストをパスしたり失敗したりするように調整した後は、実際にエンド・ツー・エンドのテスト用プラットフォームを利用できる。Waldoはユーザーインターフェイスだけを見ているのではなく、アプリを操作して分析のためにイベントをチェックする。例えばWaldoのテストを本番サーバに対して実行すれば、問題なくログインできたことによりWaldoはサーバが適切に動作していると判断する。

裏側ではWaldoはアプリをパッケージし直し、コードを追加してアプリに関する情報を抽出できるようにする。その後、アプリをサーバ上のシミュレータで実行する。Waldoはエミュレータからも情報を取得する。

ベラクリド氏は「我々のゴールはパイプラインをなくすことです。我々はアプリをApp Storeに提出する前の最後のテストです」と述べた。Waldoの顧客で健康保険アプリのAlanにはQAチームがない。開発者がQAを担当して欲しいと考えているからだ。一方、こちらも保険会社であるLemonadeにはすでにQAチームがあるが、Waldoのようなプロダクトを利用することで時間を節約しワークフローを改善できる。

ベラクリド氏は「モバイルではスピードが勝敗を分けます」という。テストは多くのモバイル開発チームのボトルネックだ。Waldoのテストを組み込むことで、幅広いテストをカバーしアプリを迅速にリリースできるようになる。

画像クレジット:Waldo

画像クレジット:Daniel Romero

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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)

B2BメインのWaldoがコンシューマー向け有料写真共有サービスプランを提供開始する理由

Waldo(ウォルドー)は、フォトシェアリングプラットフォームとして長年、企業、学校、キャンプ、スポーツその他の組織にサービスを提供してきた。このほど、アンチFacebook感情の高まりに乗じて、新たな消費者向けサービスを開始した。同社は米国時間11月17日、家族や友達の間で写真を共有するサービスを公開し、FacebookやInstagramなどの主要ソーシャルメディアに変わる「広告のない無毒な」プライベート空間を特徴としている。

もちろん、それはWaldoの宣伝文句にすぎない。消費者は、ほぼ間違いなく、ブライベートで広告のない写真共有サービスをソーシャルメディア以外で「すでに」使っている。Googleフォトなどのプラットフォームで招待のみのフォトアルバムを作ったり、Apple(アップル)のiCloudを通じてプライベートに写真を共有できる。暗号化されたメッセージアプリで写真を送ることもできる。それでもWaldoは、クロスプラットフォームで利用できる特徴ある機能をもつスタンドアロンアプリの入る余地があると信じている。

Waldoアプリは、iOSとAndroidおよびウェブ版が提供されていて、写真愛好家向けにデジタル一眼のワイヤレスアップロードにも対応している。このサービスをプライベートシェアリングに使いたい人は、イベントのためのギャラリーを作って、共有したい人たちを招待する。共有ギャラリーに集まった人たちは、自分の写っている写真に関するアラートを、Waldoからプッシュ通知かテキストメッセージで受け取る設定にオプトインできる。

アプリでは、写真のオーナーとコメントする人だけに見えて、同じアルバムに参加している他の人には見えない、クローズドなコメントやリアクションも可能だ。

新しいコンシューマー向けプランには、Plus(メラス)とPremium(プレミアム)があり、料金はそれぞれ月額4.99ドル(約570円)と9.99ドル(約1140円)。前者は家族メンバーを5人まで、後者は10人まで登録できる。招待や寄稿者の人数制限はない。Plusでは100 GB、Premiumは200 GBのストレージを使える。

これらは、巨大テックライバルたちの提供するプランよりも高額だ。たとえばGoogle One Basic(グーグル・ワン・ベーシック)の写真とファイル合わせてストレージ100GBのプランは月額1.99ドル(約230円)、200GBは2.99ドル(約340円)で使える。 iCloud+は、米国で50GBが月額0.99ドル(約110円)、200GBが2.99ドルだ。このためWaldoは、同社の顔認識を用いたスマート通知やプライベートリアクション、カスタムプリントなどの機能を強調して消費者にアピールする必要があるだろう。

Waldoは、キャンプ、学校、教会などで、親たちとプライベートに写真を共有するツールとしてWaldoを使っている専門分野との既存の関係を足場にしていく計画だ。

過去5年間、Waldoは消費者市場以外で徐々に存在感を高めてきた。現在同サービスには「数十万人」の顧客がいて、これにはWaldoを利用している学校や企業の家族や社員も含まれている。ビジネスユーザーは、アプリの顔認識機能を(親の許可を得て)利用し、生徒やキャンパー、イベント参加者などを自動認識してタグ付けすることができる。こうすることで、親は自分の子どもが写っているわずかな枚数の写真を見るために何百枚もの写真をめくる必要がなくなる。

同社の有料サブスクリプションサービスは米国・カナダで多くのグループに採用されているが、Waldoは売上を公表していない。

Waldoはこの計画を、現在のB2Bサービスからの転換ではなく、新しいユーザー層の開拓だとTechCrunchに語った。

すでにWaldoアプリを自分の端末にインストールしている親たちは、同社の消費者向け写真共有サービスに移行する可能性があると同社は見ている。なお、共有された写真に招待された人は、参加するためにアプリをダウンロードする必要はなく、どの端末からでもアプリをインストールせずウェブブラウザーを使ってサービスを利用できる。

子どものキャンプを通じてWaldoのユーザーになっている私から見て、この展開は理に適っている。Waldoでシェアされている子どもの写真を祖父母に見せるために別のプラットフォームで再シェアするよりも、Waldoの消費者向けプランに入って「キャンプ写真」のアルバムを家族にプッシュ通知する方が簡単そうだ。

「当社顧客には引き続きWaldo Proソリューションを提供していきます。家族の写真をすべて、誰が撮影したかによらず、クラウドベースでモバイルフレンドリーな1か所に置きたいと考えている家族にとって、新しいプランは重要な付加価値だからです。安全な写真共有プラットフォームの恩恵を受けている当社のコミュニティにとっても大きな利益です」とWaldoのCEOであるRodney Rice(ロドニー・ライス)氏がTechCrunchに話した。

「Waldo PlusとPremiumの発売は、プラットフォームを当社の『Waldo化』されたコミュニティのメンバーだけがアクセスできるものから、消費者全員が日々の写真共有やあらゆるイベントに利用できるものへと開放する当社の方針を表すものです」とライス氏は言った。

画像クレジット:Waldo

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook