LINE既読が重たい人向け? 日本版Snapchat「winker」が1億円を資金調達

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Snapchatは日本を含む多くのアジア地域では全く鳴かず飛ばず。類似アプリも死屍累々、もうこの市場は日本ではダメなんじゃないかという見方もあると思うのだけど、日本版Snapchatを目指す「winker」を運営するプライムアゲインがシリーズAで1億円の資金調達を行った。投資したのは2013年3月の1200万円のシードラウンドから資金を入れていたEast Venturesに加え、iモバイルとgumi ventures、それに個人投資家数名だ。

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プライムアゲインはもともとNTTドコモ・ベンチャーズのインキュベーションプログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」の第1期生だ。写真加工のアルバムアプリ「DecoAlbum」を提供してきた。DecoAlbumは広告収益は出ているが、現在プライムアゲインは2014年6月にローンチしたwinkerに力点を置いていて、今回の投資もwinkerの将来性を見込んでのもの。2015年6月にはAndroid版もリリース予定だ。

Yahoo Japanの「CommuCamera」(2014年10月終了)、mixiの「muuk」(2015年2月終了)など、すでに「Snapchatライク」なサービスは終了しているところも多い。

winkerはシンプルに消えるメッセージを実現したアプリで、動画は最大10秒。受信者側は1回見たら、そのメッセージや写真、動画は消えるようになっている。画面キャプチャをしたら、そのことは送信者側に通知される仕組みになっている。この辺はSnapchatと同じだ。消える前提だからこその気軽さがあるのが、従来のチャットや写真共有アプリとの違いだ。TechCrunch読者には説明不要かと思うが、Snapchatは2011年にスタート。2015年5月のシリーズFラウンドでは5億3800万ドルの追加資金を調達し、これまでに合計14億ドル(1700億円)もの資金を調達している。シリーズF時の評価額は150億ドル以上(1兆8600億円)とForbesが伝えている。同記事はまた、CEOのエバン・スピーゲルによる情報としてDAUが1億人に近づいているという情報も伝えている。

それほど人気のSnapchatは何故日本で立ち上がっていないのか? 他の類似サービスと違うところは何なのか? プライムアゲイン代表取締役の阿部伸弘氏によれば、winkerに勝機がある理由は大きく2つある。

photo011つはSnapchatがバタ臭いこと。「日本ではSnapchat系自体が伸びていませんが、どこかで(Snapchatのような消えるメッセージのアプリが普及するタイミングが)来ると思っています。Snapchatはアメリカっぽすぎるんだと思っています。例えば、Snapchat Discoverというニュース機能がありますが、CNNとかが並んでいます。UIも独自路線を突っ走っていて、ヘビーユーザーには良いが、新規ユーザーお断りというぐらいハードルが高くて、どんどん分かりづらくなってます」(阿部氏)。なので、winkerは日本人向けに分かりやすく作ってあるという。

阿部氏が指摘するもう1つのポイントはタイミング。2006年ごろ、足あと問題による「mixi疲れ」があってTwitterやFacebookといったSNSにユーザーが流れたように、いま日本の若者にはLINEなどで「SNS疲れ」を感じている人が少なくないという。「SNS上で送るテキストを一生懸命考えるんですよ。もし変なことを言ったら、その会話を抜き出した別グループを立てられて裏で悪口を言われたりする」。グループチャットやタイムラインの様子をキャプチャして、そこでの発言について別の少人数のグループで批判するようなことがありがちなんだとか。LINEだと「既読」がついたまま返信がなくてやきもきするという既読問題もあるが、これは「既読という表示のすぐ隣にコンテンツがあるからツラい」のだというのが阿部氏の見立て。これがwinkerだと、開封したテキストは2度と受信者は開くことができないし、送信者側にも既読と表示されるだけで内容を再表示することはできないという違いがある。記憶には残るかもしれないが、画面上にもクラウド上にも痕跡が残らないのだ。「だから返信が気楽なんです。すごく雑でいい。晩御飯食べてるよという写真が来て、そうなんだー、とかでいい」。winker上では1人のユーザーから恋人や親友、友だちといった3、4人に一斉送信するのが多いパターンだそう。

InstagramやFacebookでやっていた写真や日常の一コマのシェアが気軽にできるのがwinkerの良さ、という。特に若い人にとってFacebookは、上の世代と繋がるメールのような存在だと認識しているし、Instagramも最近ではFacebook繋がりで人が入ってくることから、おやじが増えてきてウザいと思っている若い女性なんかが多いそうだ。若いユーザーほどセルフィーをたくさん撮るし、動画で歌も歌う。ただ、そうしたものをオープンなSNSに共有するほど勇気はないという人が多い。だから「winkerでソーシャル疲れとかなしに、気楽にコミュニケーションする。その問題を解決したい」のだという。

欧米では爆発的に普及したSnapchatだが、日中韓のアプリストアではランク外。Snapchatのコピーアプリも世界各地で全滅している中、日本版Snapchatというポジションを目指すwinkerにどれだけ可能性があるだろうか。もしあるのだとしたら、アップサイドのデカさが薄っすら見えているだけに面白いチャレンジと思う。

Snapchatで「ぼっち」になった人でも楽しめるメッセージングアプリ「winker」

NTTドコモ・ベンチャーズのインキュベーションプログラムである「ドコモ・イノベーションビレッジ」の第1期生であるプライムアゲイン。同社はこれまで写真の加工、アルバムアプリ「DecoAlbum」、Facebookで手書きのイラストを送信できるメッセージングアプリ「DrawChat」などを提供してきた。

プライムアゲイン代表取締役の阿部伸弘氏は、「スマートフォン時代のコミュニケーション領域サービス」提供に向けて、2010年に大学1年生で起業した。「留学先のカナダで、TiwtterやFacebookの普及を見ていた。そしてエジプト人の友人が『母国でソーシャルメディアを使った革命が起きた(アラブの春)』という話を聞いた。もともと政治家になりたかったが、それよりもコミュニケーションこそが世界を変えていけるのではいかと考えた」(阿部氏)。同社はこれまでNTTドコモ・ベンチャーズやEast Venturesなどからシードマネーを調達している。

そんな同社が6月2日に公開したのがiOS向けのコミュニケーションアプリ「winker」だ。winkerは、最大10秒の視聴で消えて二度と閲覧できない動画や写真をFacebookやTwitter、LINE上の友人に送付できるサービスだ。Twitterに関しては相互フォローしている友人間のみでメッセージの送信ができる。

プライムアゲインではwinkerについて「Snapchatライク」とうたっているのだが、動画撮影までの起動時間が多少早いくらいで(デモで比較を見せてもらった)、正直なところ機能としてはSnapchatとほぼ同じと言っていい。

だが1つだけ大きく違う点がある、それはFacebookやTwitter、LINEというほかのSNSのフレンドをそのまま持ち込むことができることだ。Snapchatの場合、連絡先として電話番号を登録している、かつアプリをインストールしているユーザーとしかコミュニケーションできない(もちろん招待もできるが)。「Snapchatを使ってみて分かるのは、実は友達が使っていなくて楽しめないということ。フレンドが多いからこそ消える動画や写真のおもしろさがある。友達を見つけやすいというのは重要な要素だ」(阿部氏)。

今後は国内に加えて、東南アジアでの普及に向けた施策をに取り組むという。