建物は文明の基盤であり、住む場所、働く場所(新型コロナウイルスのない世界ではそうだった)、遊ぶ場所だ。しかし、私たちがどのように建物を捉え、利用目的に応じて設計し、最終的にどこかに建築するかは、過去数十年でほとんど変わっていない。住宅や建物のコストは上昇し続けており、ほとんどのプロジェクトで構想から建設までの直線的なプロセスは遅いままだ。なぜプロセス全体をもっと柔軟で高速にできないのか。
MIT(マサチューセッツ工科大学)とジョージア工科大学のエンジニアと建築家のトリオがまさにその問いを追究している。
MITの資金担当だったIsrael Ruiz(イスラエル・ルイーズ)氏と、建築家であるMITのAnton Garcia-Abril(アントン・ガルシア・アブリル)氏とジョージア工科大学のDebora Mesa(デボラ・メサ)氏が一緒にWoHo(「World Home」の略)というスタートアップに参加した。同社は相互に接続して構造を形成するより柔軟な「コンポーネント(構成部分)」を創り出し、現代的な建設方法の再考を試みている。
WoHoの目標は、工場で簡単に組み立てられ多様な種類の建物で使用できるコンポーネントを用意することにより、建設コストを削減し、建築家に最大限の柔軟性をもたらし、エンドユーザーには魅力的なスペースを提供することだ。気候に会わない世界で、上記すべてが建設プロジェクトをより環境に優しいものにする。
チームのアイデアは、マサチューセッツ工科大学からスピンアウトした特別ファンドであるThe EngineのCEOでマネージングパートナーを務めるKatie Rae(ケイティー・ラエ)氏の目を引いた。このファンドは長期にわたるVC投資で有名だ(未訳記事)。WoHoを450万ドル(約4億7000万円)のシード投資で支援している。
ルイーズ氏は過去10年間、バイオテクノロジーのイノベーションの主要なハブとなったMITの隣接地区のケンドールスクエアの追加工事を含むMITの都市建設プログラムを監督していた。同氏はその過程で建築の課題を目の当たりにした。それは革新的な企業が必要とするようなスペースについて特にいえることだった。同氏はまた何年にもわたり、建築事務所であるEnsamble Studioにいたガルシア・アブリル氏、メサ氏の2人との友情を築いてきた。
WoHoは「建築プロジェクトにおける設計とコンセプトから、組み立て・建設に至るまでのプロセスを統合します」とルイーズ氏は説明する。「当社のテクノロジーは低層から高層までに適合しますが、特に中層から高層で最も良い結果が出ます」。
では、そのWoHoコンポーネントとは正確には何か。構造を形成するために相互に接続できる、適切に設計された再利用可能ブロックと考えて欲しい。ブロックには一貫性があり、簡単に製造、輸送できるように設計されている。重要なイノベーションの1つは改良された強化セメントで、これがより低い環境コスト(The Guardian記事)で建物のより高い品質を可能にする。
以前からモジュール式の建物は存在する。典型的なのはアパートで、各部屋が1つのブロックで出来ており、組み立てると1つの構造物になる。例としてサクラメントのこのプロジェクト(The Sacramento Bee記事)を見て欲しい。WoHoは柔軟性をもたらし、多様なアレンジを可能にし、それ自体が構造としても機能するコンポーネントをさらに増やしたいと考えている。これにより建築家は、より柔軟に建築を行えるようになる。
まだ初期の段階だが、同社はすでに市場で一定の評価を得ており、スイスのコンクリートおよび建材会社LafargeHolcimと提携して、アイデアを市場に投入している。同社はマドリッドで建築のデモプロジェクトを進めており、2021年にはボストンで2番目となるプロジェクトを控えている。
カテゴリー:ハードウェア
タグ:WoHo、建築、資金調達
画像クレジット:WoHo
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(翻訳:Mizoguchi)