家計簿アプリ「Zaim」、意外と知られてない給付金を教えてくれるサービス

オンライン家計簿アプリ「Zaim」が1月16日、住んでいる地域や家族構成、家計簿の記録から、ユーザーがもらえる可能性のある、国や地方自治体の給付金を教えてくれるサービス「わたしの給付金」を開始した。月額300円のプレミアム会員は、世帯構成を登録すれば、自分の条件に合う給付金を自動的に抽出してもらえる。当面は、東京23区と神奈川県の2市(横浜市・川崎市)が対象となっている。

ふだん、給付金を意識していない人が見ると、こんなにもたくさんあるのかと驚きそう。実際、Zaim社長の閑歳孝子さんも飼い猫の去勢手術をしたとき、自身が住んでいた区で手術代の一部が給付されることを知ったそうだ。「まさか地方自治体からそんな補助が出るなんて知らない人は多いですよね」(閑歳さん)。Zaimのプレミアム会員は世帯構成に「ペット」を登録しておけば、こうした給付金の存在を教えてもらえるようになっている。

地方自治体や国のサイトでは給付金の情報を掲載しているが、どこに何があるかがわかりづらかったり、何が書いてあるのか理解できなかったりすることもしばしば。そこでZaimでは、シンプルに最低限の説明だけを掲載し、正確な情報は役所のサイトにリンクしている。一覧性が高いので、自分が対象となる給付金がすぐに理解できそうだ。

Zaimでは、過去4年間の支出をもとに、医療費控除の対象になる可能性のある支出を自動的に抽出するサービス「わたしの医療費控除」も開始した。プレミアム会員であれば、医療費控除の申請に必要な国税庁の「医療費集計フォーム」に、家計簿から医療費分を自動記入できる。無料会員は家計簿の記録をもとに、年間に支払った医療費と、手元に戻ってくる可能性のある金額がわかる。

Zaimは2014年8月にひっそりとプレミアム会員サービスを開始。銀行口座やクレジットカードの履歴明細を取得するタイミングを無料の人よりも優先度を上げたり、複数アカウントを使い分けられるようにしている。全体におけるプレミアム会員の比率は非公表だが、広告や法人向けAPI提供を通じて、徐々にマネタイズを進めているようだ。ダウンロード数は300万超に上るという。

これまでは銀行口座やカードの明細取得や、カメラ撮影によるレシート入力など、家計簿での「記録」面の機能を強化してきた。給付金や医療費控除に関するサービスは家計簿とは異なるが、閑歳さんは「もともとZaimは家計簿を作りたい、というよりも『お金を通して一人ひとりの暮らしを楽しく、いいものにしたい』と考えて始めた。今後は広い意味での家計サービスを展開したい」と話している。


オンライン家計簿の「Zaim」が銀行口座アグリゲーション機能リリース、1146の金融機関に対応

オンライン家計簿の「Zaim」(ザイム)が今日、銀行口座の入出金記録やクレジットカードの利用履歴を自動取得するアカウントアグリゲーションサービスを開始した。家賃や光熱費などの銀行引き落としを利用する支払い項目やクレジットカードによる支払いを自動で家計簿に反映させたり、複数口座を合わせた残高金額を一目で確認できるようになる。

大手銀行、都市銀行、農協、信用金庫、クレジットカードなど1146の金融機関などに対応済みで、カテゴリの自動判定を行うほか、通常カタカナ表記となってしまう取引先情報を日本語変換する工夫なども加えているという。サービスの利用は無料。iOSとWebから利用できる。Androidも順次対応予定という。口座へのログイン情報をZaimに入力する必要があるが、現金の引き出しや他口座への振り込み時に必要となる暗証番号などの認証情報は不要で、この辺は先行するアグリゲーションサービス同様だ。

アカウントアグリゲーションは、マネーフォワードマネーツリーなどが先行サービスがある。

今回のアカウントアグリゲーションへの対応はZaimに寄せられた3万件を超えるユーザーからの要望の中から実現した機能だそうだ。Zaim創業者で代表取締役社長の閑歳孝子氏は、この機能を追加することに大きな迷いがあったという。「セキュリティをどう担保し、運用し続けていくのか。仕組みを知らない人には理解されづらい仕組みなので、そこをどう誤解がないように伝えていくのか」。課題は数多くあったものの、最終的には「どんなご利用者でも便利に、楽しく自分の家計を管理できるようにするには、サービスとしての懐の深さが必要だ」という判断で機能追加を決断したという。これまでサービスを運営してくる中で、提供側が想定しなかったような使い方をするユーザーがいたことなどから、「使い手自身が(サービスの使い方を)解釈して、自分が気持ちの良いように使いこなせる」ような懐の深いサービスを目指すのだという。

今のところZaimは実験的に広告配信を始めているものの、マネタイズよりもサービスの普及・改善に注力しているという。中長期的に見れば、家計簿サービスに限らず、モバイル決済やスマートデバイスによるレジソリューション、さらにはアドテクまで含めて、消費者の購買行動や決済データのマーケティング活用というのが大きな市場になりそうだが、こうした点についても閑歳氏は、「データのマーケティング利用についてはよく聞かれますし、お話もいただきますが、ユーザーに誤解や不安を与えるような方法は取りたくないため非常に慎重に考えています」と、あくまでもユーザー視点で慎重な姿勢を取っている。プライバシー懸念を考えれば慎重になるのも当然とは思うけど、POSデータ争奪戦は始まっているのだと思うね。