RightHandが約76億円を調達、白熱する倉庫ロボティクス分野に資金投入

新型コロナウイルス、サプライチェーン問題、人手不足、Amazon(アマゾン)。物流ロボット化に興奮する理由は数多く、そして今も増えている。RightHand Robotics(ライトハンド・ロボティクス)は、ウイルス感染流行によって事態が加速するかなり前から注目を集め、GV、Menlo(メンロ)、Playground Global(プレイグラウンド・グローバル)などの投資家からかなりの資金を調達していた。

そして多くの新規参入者とは異なり、ボストンを拠点とする同社は、そのピック&プレース・システムですでに多くの実働時間を記録している。その中で最も新しいシステムである「RightPick 3(ライトピック3)」は、日本の卸売業者であるPaltac(パルタック)や、欧州でオンライン薬局を展開するapo.com Group(アポ・ドットコム・グループ)を、国際的な顧客として抱えている。

同社は先週、6600万ドル(約76億円)のシリーズC資金調達を発表した。Safar Partners(サファー・パートナーズ)、Thomas H. Lee Partners, L.P.(トーマス・H・リー・パートナーズ)、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)が主導したこの新ラウンドで、同社がこれまで調達した資金総額は約1億ドル(約115億円)となった。今回のラウンドには、GVとMenloも再び参加した他、Zebra Technologies(ゼブラ・テクノロジーズ)、Epson(エプソン)、Global Brain F-Prime Capital(グローバル・ブレイン・Fプライム・キャピタル)、Matrix Partners(マトリックス・パートナーズ)、そしてTony Fadell(トニー・ファデル)氏の会社であるFuture Shape(フューチャー・シェイプ)が出資に加わった。

なかでもゼブラは興味深いパートナーだ。同社は自社開発のロボットを提供していることに加え、2021年の中頃には倉庫ロボットのスタートアップ企業であるFetch Robotics(フェッチ・ロボティクス)を2億9000万ドル(約335億円)で買収している。

「Zebra Technologiesは、世界中の企業がサプライチェーンをデジタル化・自動化して、現場の労働者を補強できるよう、積極的に投資とソリューションの提供を行ってきました」と、同社のZebra Ventures(ゼブラ・ベンチャーズ)部門でマネージング・ディレクターを務めるTony Palcheck(トニー・パルチェック)氏は述べている。「消費財、小売、物流などの業界の顧客にとって、重要なのは、速く、正確に、安全に、コストを抑えて、注文を処理できることです。RightHand Roboticsは、これらの効率化の達成を支援します」。

今回調達した資金は、雇用、オフィススペースの確保、世界規模でのさらなる拡大など、一般的な用途に充てられる予定だ。

画像クレジット:RightHand Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Fetch RoboticsのCEOが、自社の買収と倉庫ロボットの未来について語る

米国時間7月1日、エイタープライズ・コンピューティング企業のZebra Technologies(ゼブラ・テクノロジーズ)はFetch Robotics(フェッチ・ロボティクス)を買収する計画を発表した。カリフォルニア州サンノゼ拠点のスタートアップは、倉庫・仕分けロボティクスの主流として、企業の裏方を自動化するモジュラー・システムを長年提供している。

会社評価額は3億500万ドルで、すでに5%を取得済みのZebraは、残りの95%を2億9000万ドルで買収する。この業界では史上最高金額であり、パンデミック下で広がる労働力不足が背景にある。

ニュースが報じられた後、本誌はFetchの共同ファウンダー・CEO、Melonee Wise(メロニー・ワイズ)氏にこの買収および倉庫ロボティクスの将来につい話を聞いた。

なぜこの買収はFetchにとって正しい行動なのですか?

過去7年間、私たちは非常に優れたクラウド・ロボティクス・プラットフォームを構築してきました。約2年前、ZebraはFetchに投資をして、提携を通じて互いに協力してきました。初めに行ったことの1つが、彼らのモバイル・コンピューティング機器の統合で、当社のクラウド・ロボティクス・プラットフォームのワンボックス体験のためでした。当社顧客がロボットを導入したとき、それまで使っていたハンドスキャナーを使ってロボットにバーコードを読み取らせることができます。

シリーズDラウンドで資金調達した時、このチャンスが訪れました。過去数年間を見てもらえば、彼らと良好な関係にあったことがわかるでしょう。パンデミックの中、オートメーション技術の需要は急速に高まっています。パンデミック以前から倉庫・仕分けの労働力はすでに不足していましたが、パンデミックがそれをいっそう悪化させました。Zebraと一緒になるもう1つ大きな利点は、彼らには強力な市場開拓能力があり、私たちの販売能力を増幅できることです。私たちがつきあいたい顧客をZebraはすでに掴んでいます。当社がもっと幅広く奥深く潜在顧客にリーチする大きな後押しになります。

Fetchは適した買収対象だったと想像しますが、私は、Walmart(ウォルマート)がAmazonロボティクスと競っているような話だといつも思っていました。何年にもわたって多くの企業からアプローチされたのではないでしょうか。今回の買収の方が理にかなっていると最終的に判断した理由を聞かせてください?

この買収が意味をなす理由は、当社の長期的ビジョンと一致しているからだと私は思っています。プラットフォームを作ったとき、私たちは統一化を念頭に置いて作りました。当社のロボットだけではなく。私たちは何年もかけて、徐々に他のパートナーもプラットフォームに載せてきました。当社はSICKと提携していますし、VARGOなどの倉庫オートメーション・プロバイダーとも提携関係にあります。それは今後も変わりません。私たちはこれからもパートナーに優しく、他社デバイスをエコシステムに迎え入れていきます。この選択肢と可能性を見れば、これが素晴らしいチャンスであり、私たちが作りたかったチームとよく合っていることがわかるでしょう。

Zebraは独自のロボットを開発していて、他のロボティクス会社にも投資しています。貴社はエコシステムの基盤になるのですか? Zebraはロボティクス小売・物流エコシステムをFetchを中心に構築しようとしているのですか?

はい、これまでそのように検討されています。今も発展中です。もちろん、すべてを詳しくお話することはできません。しかも、まだ契約完了までには30日だか35日あるので、当社はまだ独立会社として活動しています。私たちの考えているビジョンについて、Zebraは彼らが作り上げようとしている全く新しいソリューションの中心にFetchを置くことを非常に喜んでいます。彼らにとってこれは戦略的に高い優先順位にあります。

Fetchブランドは残りますか? 会社はサンノゼに留まりますか? あなた自身は残りますか?

Fetchは移動しません。私たちは一種の中心的存在になるので、チームをサンノゼに置いたままにしたいとZebraは考えています。私も動かない予定です。詳細はまだ検討中です 〈中略〉 Fetchのブランドは非常に強力なので、両方の世界の良いところを取れるようにするつもりです。

買収は、Fetchのような会社が目指していたものですか? これは必然のようなものだと考えていますか?

複雑だと思っています。会社を始めた時、私はほとんど何も計画していませんでした。ただ、何かを作りたかっただけです。本当の意味でそう言っています。何かを作って、かつ失敗したくなかったのです。問題は、失敗しないとはどういうことかです。現実として、過去20何年間、ロボティクス会社はほとんどIPOしていません。私たちはSPAC(特別買収目的会社)を考え始めています。これまでに伝統的方法でIPOしたロボティクス会社はありません。

もしある日私に、IPOと買収のどちらの可能性があるかとあなたが尋ねたら、おそらく買収と答えたでしょう。なぜならロボティクス企業にはIPOの歴史がないからです。その理由はいろいろあります。ハードウェア集約型ビジネスであること。多くのテクノロジーと投資が必要であること。多くの場合、非上場を続けています。公開企業にとって、この奥深いテクノロジーに投資する損益計算書を維持することは困難です。ただし変わり始めていると思います。SPACの登場によって大きく変わることを期待しています。それでも、今後10年間はIPOよりも買収の方が多いと私は考えています。

過去に買収を持ちかけられたことはありますか?

はい、過去には、でもほとんどは時期が早すぎました。

早すぎるというのはどういう意味ですか?

適切な時期だと感じなかっただけです、いろいろな理由で。たとえば、私の望むことに関係するもの。チームが望むことに関係するもの。さらには私たちの出資者の望むことに関係するもの。関係する人がたくさんいます。これは常に難しい質問です。かつてこういう話が持ち上がったとき、市場はまったく定義されておらず新しかったので、私たちはどうなっていくかをただ見ていたかった。今は環境がずっと構造化されているので、転換点を探し始めたところです。

海外展開の拡大は計画に入っていますか?

はい、現在ヨーロッパの数社と契約しています。アジア太平洋地区にも進出していて、拡大を目指しています。現時点では、どの国にも大きく賭けるつもりはありません。市場が発展していくのを待っているところですが、拡大はを目指しています。

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ヒートアップする倉庫や仕分けのロボティクス、Zebra TechnologiesがFetchを約324億円買収

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ヒートアップする倉庫や仕分けのロボティクス、Zebra TechnologiesがFetchを約324億円買収

Zebra Technologies(ゼブラテクノロジーズ)は米国時間7月1日、ベイエリア拠点の倉庫ロボティクス会社Fetch(フェッチ)を買収する意向を発表した。買収額2億9000万ドル(約324億円)のこの取引では、すでにZebraが保有しているFetchの株式5%に加え、残りの95%を取得する。

パンデミックで労働力が不足し、また小売事業者がAmazon支配への抵抗で潜在的な優位を模索していることを受けて、倉庫や仕分けのロボティクスはヒートアップし続けている。そうした中でこの取引は興味深いものだ。最近SPAC(特別買収目的会社)と合併したBerkshire-Greyを含め、大小のロボティクス会社への投資にとってロボティクス業界のヒートアップは大きな原動力となっている。

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Zebraに関していうと、同社はロボティクス分野でかなり攻めている。2020年初めに発表した在庫システムSmartSightのような自前の小売ロボティクスを立ち上げたのに加えて、LocusのようなFetchの直接的な競合相手に投資してきた。Zebraは2020年6月、Locusの4000万ドル(約45億円)のシリーズDラウンドをリードした。

外から見ると、Zebraは1つの統一されたプレイをめぐるマーケットを統合することを模索しているかのようだ。LocusのCEOであるRick Faulk(リック・フォーク)氏は直近の別のラウンドの際に「独立して操業することで最大かつ最高の価値を生み出せると考えています。『Amazon』競合社とされていない企業を助けるために投資したい投資家もいます」と筆者に語った。

フォーク氏は当時、Locusは買収されることに興味はないとも語った。Zebraが積極的にLocus買収を追求していたのかどうかはわからないが、もし今日のニュースが何らかの兆候であるなら、Zebraがどちらのご馳走にも飛びつくことを考えていたのは明らかだ。そしてFetchの多様なモジュラー商品は手始めとしては最適だ。

「Fetch Roboticsの買収は、ワークフローを強化する新しいモードを擁し、ますます自動化されデータで動く環境において当社の顧客がより効率的に操業できるようサポートすることで、Enterprise Asset Intelligenceビジョンと、インテリジェントな産業オートメーションにおける成長を加速させます」とZebraのCEO、Anders Gustafsson(アンダース・グスタフソン)氏は声明文で述べた。「この動きは生産から消費に至るまでのサプライチェーンを最適化するという当社のコミットメントをさらに広げます。FetchのチームをZebraファミリーに迎えることを楽しみにしています」。

FetchのCEOであるMelonee Wise(メロニー・ワイズ)氏は「FetchのチームはZebraに加わって、AMRと当社のクラウドベースのロボティクスプラットフォームを通じてフレキシブルなオートメーションの浸透を加速させることに胸躍らせています。一緒になることで、我々は真に顧客の問題を解決するエンド・ツー・エンドのソリューションを提供するために、正しいテクノロジーを持つ正しいチームを抱えます。顧客が動的に最適化し、梱包、配送、そして製造のオペレーションを全体的に統合するのをサポートすることで、顧客が増大する需要に先んじ、また配達時間を最小化し、縮小しつつある労働力の問題を解決するのをサポートします」。

TechCrunchはさらなるコメントを求めている。買収取引はいつものことながら当局による承認次第だ。第3四半期の取引完了が見込まれている。

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi