スキルマッチングのZehitomoが総額8.2億円を調達、中小企業や個人事業主の集客支援を強化

Zehitomo(ゼヒトモ)は6月11日、シリーズBラウンドで総額8億2000万円の資金調達を完了したことを明らかにした。第三者割当増資による調達で、引受先は以下のとおりでリード投資家はDG Daiwa Ventures。今回調達した資金は、中小企業や個人事業主のオンラインでの集客支援の施策のほか、人材採用に充てる予定だ。

新規引受先

  • DG Daiwa Ventures
  • 環境エネルギー投資
  • 三菱地所
  • PERSOL INNOVATION FUND合同会社
  • エアトリ

既存引受先

  • SMBCベンチャーキャピタル
  • みずほキャピタル
  • Coral Capital(旧500 Startups Japan)
  • DNX Ventures
  • KVP
  • アコード・ベンチャーズ
  • Social Starts
  • ベクトル

写真に向かって左からZehitomoでCOOを務めるジェームズ・マッカーティー氏、CEOを務めるジョーダン・フィッシャー氏

Zehitomoは、カメラマンやヨガ講師から、パーソナルトレーナー、出張シェフ、リフォームや工事事業者まで1000種類以上の職種の事業者と依頼社(一般ユーザー)をマッチングするサービス。同社によると、現在20万社以上の事業者が登録しており、2019年には累計100億円以上の仕事依頼が発生したとのこと。

同サービスの特徴は、事業者が仕事の依頼に対して見積もりを送る際に課金する仕組みを採っており、依頼者からは手数料を取らない点。事業者が見積もりを送る際に課金される金額も平均500円程度で、契約成立後に依頼者から支払われる報酬は事業者が全額を受け取れる。データベースの中から、依頼者が指定した地域や納期、予算や頻度などに合致する事業者を判断し、依頼主に最適な提案を送る「スピードマッチ」機能も特徴の1つだ。

なお、三菱地所が再開発施行者として事業を進めている2021年6月末竣工予定の「東京駅前常盤橋プロジェクトA棟1」に入居する企業の就業者向けサービスについても協業を進めていくという。

仕事依頼サイト「Zehitomo」が目指すのは“サービスのEC化”、AI活用の自動集客機能

カメラマンやパーソナルトレーナーなどの「プロ」と彼らに仕事を依頼したいユーザーとをつなぐマッチングサイトの「Zehitomo(ゼヒトモ)」を運営するZehitomoは2月13日、AIを利用した自動マッチング機能「スピードマッチ」をリリースした。

Zehitomoは、結婚式の写真を撮ってもらいたい、英語を教えてもらいたい、家を改装したい時など、ユーザーがそれぞれの仕事を直接依頼する“プロ”を検索できるサービスだ。依頼を受けたプロはユーザーに対して見積書を送り、その依頼に「応募」することが可能。ユーザーは送られた見積書を比較して、最終的にどのプロに仕事を依頼するのかを決めるという流れだ。

報酬の〇%が手数料という仲介手数料型のクラウドソーシングなどとは違い、Zehitomoでは依頼への応募ごとに課金するというビジネスモデルを採用している。プロ側は1回の応募につき平均500円ほどの費用がかかるが、依頼主であるユーザーは無料でZehitomoを利用できるという仕組み。Zehitomoが扱う仕事の単価は平均5万円程度だ。

しかし、Zehitomo代表取締役のジョーダン・フィッシャー氏は、「Zehitomoにはお金を払って応募するプロがいて、それがクオリティーフィルターになっている。だが、それが同時にボトルネックにもなっていた」と今回の新サービス導入の背景について話す。

新サービスのスピードマッチでは、ユーザーからの依頼に対してプロが手動で応募をする代わりに、AIが自動で依頼への応募を行う。プロがスピードマッチを利用するにはまず、受けたい仕事の種類、働ける場所、時間、応募時に提示する見積額とメッセージなどを事前に設定する。あとは、独自のアルゴリズムで計算した「エンゲージメント可能性」が高い依頼に対してAIがプロの代わりに応募をするというシステムだ。AIが応募を行うたびに、これまで通り500円ほどの料金が発生するが、ユーザーはあらかじめ「月1万円まで」などと支払う応募料の上限を設定できる。

「依頼をしたにもかかわらず、プロからの応募が来なかったり、応募がかかるまでに時間がかかるのは悪いユーザー体験。一方でプロも、本業が忙しくZehitomoでの集客まで手が回らないという問題があった。スピードマッチではそれを解決したい」(フィッシャー氏)

また、Zehitomoは応募時に料金が発生しないスピードマッチの無料版も用意。有料版に比べてマッチングの優先度は下がるが、それでも依頼の数に対してプロの数が足りない地方などではマッチングが成立し、無料で自動集客をすることも可能になる。

「これまでZehitomoを頻繁に利用していたのは、ハングリー精神のある(お金を払い、自分で集客をする)プロたち。でも、AIによる集客の自動化によって、そういった人ではなくても使えるプラットフォームにしたい。また、自動化をさらに追求することで、最終的には、オンラインショッピングでモノを買うように、ワンクリックでサービスを受けられる世界を作りたい」(フィッシャー氏)

Zehitomoは2016年8月のサービスリリース。これまでに15万のプロ登録(1人のプロが複数カテゴリーに登録していても1カウント)があり、月間1万件のユーザーからの仕事依頼があるという。2017年7月には1億5000万円を調達。続いて2018年6月には4億円を調達している。

Zehitomo代表取締役のジョーダン・フィッシャー氏

英語教師からリフォームまで、プロと依頼主をつなげる集客プラットフォームのZehitomoが4億円調達

写真右がZehitomo代表取締役のジョーダン・フィッシャー氏

個人事業主やスモールビジネス向け集客プラットフォーム「Zehitomo」を提供するZehitomoは6月12日、500 Startups Japan、KLab Venture Partners、Draper Nexus Ventures、ベクトル、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、Social Starts、および複数の個人投資家から約4億円を調達したと発表した。

Zehitomoは、カメラマンや英語教師などの個人事業主を含むSMBと、仕事を依頼したいユーザーをつなげる集客プラットフォームだ。結婚式の写真を撮ってもらいたい、英語を教えてもらいたい、家を改装したい時など、ユーザーはそれぞれの仕事を直接依頼できる“プロ”を検索することができる。

依頼を受けたプロはユーザーに対して見積書を送り、その依頼に「応募」することが可能。ユーザーは送られた見積書を比較して、最終的にどのプロに仕事を依頼するのかを決めるという流れだ。

報酬の〇%が手数料という決済手数料型のクラウドソーシングとは違い、Zehitomoでは依頼への応募ごとに課金するというビジネスモデルで、プロ側は1回の応募につき平均500円の費用がかかる。逆に依頼主であるユーザーはZehitomoを無料で利用できる。ちなみに、Zehitomoが扱う仕事の単価は平均5万円程度だという。

TechCrunch Japanが最後にZehitomoを取材したのは、同社が1.5億円を調達した2017年7月。当時の登録プロ数は約6800人ということだったが、それから約1年で登録者数は5万人(法人含む)にまで拡大している。ユーザーからの依頼は1週間に1000件以上が寄せられるようにもなった。順調に成長を続ける同社だが、ここまでの道のりは決して平坦ではなかったとZehitomo代表取締役のジョーダン・フィッシャー氏は話す。

「前回の資金調達のあと、自分が思っていたスピードでグロースすることができなかった。初めての資金調達でお金を手にすると、やりたいことが沢山浮かんでくる。結果、Must Have(必須事項)ではなく、より着手もしやすいNice to Haveばかりに手を出してしまっていた。昨年のQ4にそれを見直し、選択と集中を進めた結果、ユーザー数も上手く伸びるようになった」(フィッシャー氏)

前回の資金調達から多くを学んだというフィッシャー氏。新たに4億円を調達し、これからの注力ポイントとして彼が選んだのは、組織の強化とZehitomoへの理解度の向上だ。同社はまず、2018年4月に就任したロバート・シューマン新CTOのもと新しいエンジニアチームの構築を目指す。

また、Zehitomoはセールスチームの人員も増やし、プロとのコミュニケーションも強化していくという。「このビジネスモデルへの理解度はまだまだ足りない。(約1年前と比べて)数字の面ではあらゆる指標が10倍になったけれど、理解度は10倍にはなっていない。今年は、プロがどのようにみずからをPRするかを一緒に考えるコンサル的なことも含め、彼らとのコミュニケーション強化をテーマにしたい」(フィッシャー氏)

仲介時でなく、見積もり提案に課金――個人とプロをマッチングする「Zehitomo」が1.5億円調達

カメラマンなどのプロフェッショナルと依頼者をつなぐマッチング・プラットフォーム「Zehitomo(ゼヒトモ)」。そのプラットフォームを運営するZehitomoは7月26日、500 Startups JapanDraper Nexus Venturesアコード・ベンチャーズKLab Venture Partners、複数の個人投資家から総額1.5億円を調達したと発表した。

Zehitomoは、カメラマンやパーソナルトレーナーなどのプロフェッショナルと、仕事の依頼者であるユーザーとをマッチングするプラットフォーム。

2016年10月のサービスリリース以降、約6800人のプロがZehitomoに登録し、これまでの提案件数は1万件だ。提案総額は3.5億円以上だという。

同プラットフォームで依頼できるカテゴリーの数は600以上。記念日の撮影やヨガのパーソナルトレーニングなど、その種類は幅広い。依頼者がプラットフォーム上で希望の日時、場所、条件などに回答すると、プロフェッショナルからチャット形式で見積もり提案が届くという仕組みだ。

1つの案件に応募できるプロの数は最大5人までに制限されている。また、マッチングが成立したときの仲介手数料や登録費用、月額料金などもかからない。ではZehitomoがどこで収益を得るのかというと、彼らは見積もりを提案する際、プロに対して課金している。1回あたりの費用は平均500円程度だ。

仲介手数料モデル VS 応募課金モデル

この“応募課金モデル”とも呼べるビジネスモデルは、クラウドソーシングで主流の“仲介手数料モデル”とは対極の位置にある。日本で応募課金モデルを採用しているサービスには、先日TechCrunch Japanでも紹介したミツモアがあるし、同様に個人とプロのマッチング・プラットフォームを手がけるアメリカのユニコーン企業Thumbtackもこのモデルを採用している。

Zehitomo代表のジョーダン・フィッシャー氏は、このモデルの利点について「見積もりの提案に費用かかるため、本気で仕事をとりにくるプロからの提案が集まる。また、応募できるプロの人数に制限をかけることで、マッチングの確率も高まる」と話す。

そうは言っても、応募課金モデルならではの問題もあるように思う。プロがいくら本気でも、「とりあえず依頼しとくか」くらいの気持ちの依頼者ばかりが増えれば、応募費用だけがかさんでしまう。見かけ上は5分の1の確率で選ばれるかもしれないが、蓋をあけてみれば5人いずれのプロも選ばれない、なんてこともあり得る。

見積もり提案≒ターゲット広告

これについてフィッシャー氏に聞いたところ、「Zehitomoの構造上、その問題はたしかに発生してしまう。だが、この見積もり提案を『非常に確度の高いターゲット広告』と考えてほしいと思っている」と答えた。

なるほど、わざわざカテゴリーを選択して依頼をした以上、度合いは違えど、そこには“誕生日の写真を撮ってほしい”などの明確なニーズがある。それに対して直接リーチできる見積もり提案は、たしかに自分の細かなプロフィールが付いたターゲット広告のようなものだ。

もちろんコンバージョンしない例はある。でも、個人事業主であるプロフェッショナルからすれば、ただでさえ少ないリソースを使って効果があるか分からない広告に手を出すよりも、案件の応募にお金を使ってみるのもアリなのかもしれない。

それでもなお、この“コンバージョン率”を上げるための施策は必要なわけだが、フィッシャー氏は、「そのために重要なのはプロ側の教育だ。しっかりとプロフィール欄を埋めて、自分をアピールした方がマッチング率もあがる」と語る。

Zehitomoはプラットフォームに「プロフィール欄を埋める」などの各種タスクを用意した。それらのタスクをクリアするごとに、応募費用に充てられるサービス上の通貨をプレゼントするという施策を実施している。

“The Biggest Startup You Never Heard Of.”

2015年9月、Zehitomoと同じ応募課金モデルを採用するThumbtackは、12.5億ドルのバリュエーションで1億2500万ドルを調達し、ユニコーン企業に仲間入りした。

そのニュースを伝えたForbes誌は、その当時のThumbtackに登録するプロフェッショナルは20万人で、年間の流通総額は10億ドルだと報じている(ThumbtackのWebサイトによれば、現在の登録プロフェッショナル数は25万人)。

しかしForbes誌は、それでもThumbtackは黒字化していないとも報じている。フィッシャー氏によれば、このビジネスで一番コストがかかるのは依頼者の集客なのだとか。Thumbtackも、その集客のために多額の投資をしているのではないかと彼は考えている。

「Thumbtackに欠けているのはブランド力だと思う。本国のアメリカでも、一般のユーザーに広くその名前が知られているわけではない。ユーザーが誰かに仕事を依頼したいとき、彼らの頭にThumbtackの名前が浮かぶわけではなく、Googleで先頭に表示されるのがThumbtackだからユーザーはそれを選ぶ。『The Biggest Startup You’ve Never Heard Of』なんです」とフィッシャー氏は語る。

今回1.5億円を調達したZehitomoは、その資金をサービスのさらなる開発に充てるという。また、サービスの基礎を固めたあとは、ブランド構築にフォーカスしていきたいとフィッシャー氏は話す。この種のサービスが苦労する集客の問題が解決できるかどうかも、このブランド力を構築できるかにかかっているだろう。

中列、右から3番目がZehitomo代表のジョーダン・フィッシャー氏