ASUS(エイスース)は5月7日、キーボード奥に12型ディスプレイを搭載した14型ノートPC「ASUS ZenBook Duo」を発売した。台湾最大のPC、PC周辺機器、スマートフォンメーカーである同社は、2018年6月5日に「Project Precog」と名付けられた2画面ノートPCのコンセプトモデルを発表したあと、翌2019年5月27日にデュアル4KノートPC「ASUS ZenBook Pro Duo」を発売。今回紹介するDuoは、2画面ノートPCというコンセプトはそのままに、軽量、長時間駆動、低価格化が図られている。筆者は今回本製品を個人的に購入したので、主に使い勝手にスポットを当ててレビューしていこう。
CPU、メモリ、ストレージの異なる2モデルをラインアップ
Duoには、Core i5-10210U、メモリ8GB、ストレージ512GBで直販価格14万9819円のUX481FL。Core i7-10510U、メモリ16GB、ストレージ1TB、
直販価格17万9819円のUX481Fの2モデルがある。筆者が今回購入したのは後者のモデルだ。
CPUはCore i5、ストレージは512GBでも構わなかったのだが、写真の現像や動画の編集時にはメモリを16GB搭載していたほうがいいと考え、上位モデルを購入した。
処理性能とディスプレイ品質を下げてバッテリー駆動時間を大幅向上
DuoとPro Duoのもう1つの大きな違いはディスプレイ。Pro Duoは15.6型UHD(3480×2160ドット)の有機EL+14型UHD(3840×1100ドット)のTFTカラー液晶であるのに対して、Duoは14型フルHD(1920×1080ドット)のTFTカラー液晶+12型フルHD(1920×1080ドット)のTFTカラー液晶という構成になっている。解像度はもちろんのこと、輝度、色域、コントラスト比はPro Duoのほうが上だ。
しかし、CPU、外部GPU、ディスプレイのグレードを落としたおかげで、バッテリー駆動時間はPro Duoの約5.3時間(Core i9)、5.5時間(Core i7)に対して、Duoは約13.9時間(Core i7)、約14.3時間(Core i5)と大幅に延長されている。また、重さもPro Duoの約2.5kgに対してDuoは約1.66kgと大幅に軽量化。つまり、DuoはPro Duoの廉価版というよりも、モバイル特化版というほうが正確な表現だと思う。
モバイルディスプレイの出番が激減する2画面ディスプレイ環境
Duoの2画面ディスプレイの使い勝手は個人的に非常に気に入った。筆者が記事を書くときには資料を見ながら作業することが多いが、セカンドディスプレイに表示しておけば参照しやすい。これまで外出先で長時間作業するときにはモバイルディスプレイを接続していたが、Duoならその出番をかなり減らせそうだ。
また「ながらブラウジング」が非常に快適。メインディスプレイにウェブ記事、セカンドディスプレイの左にミュージックビデオ、その右に気になるSNSのタイムラインなどを表示しておけば、どの情報・コンテンツにも素早くアクセスできる。
暗く見えるセカンドディスプレイ、USB PD非対応は残念
基本的にDuoをかなり気に入っているのだが、大きな不満が2つある。1つ目はセカンドディスプレイが暗く見えること。セカンドディスプレイは斜めから覗くので暗く見えるのは仕方がないが、それを踏まえてもっと輝度が高い液晶パネルを採用するべきだったと思う。
2つ目かつ最大の不満点がUSB Power Deliveryに対応していないこと。そのため長期間Duoを持ち出す際には専用ACアダプターを携帯しなければならない。ACアダプターやモバイルバッテリーはひとつに絞りたいので、次期モデルでは必ずUSB Power Deliveryに対応してほしい。
もう「変態」とは言えない実用性を備えた2画面ノートPC
MacBook Proにもキーボード面にTouch Barというタッチ対応ディスプレイが搭載されているが、Duoのセカンドディスプレイはそれとは比べものにならないほど大きい。コンセプトが異なるものを比較する意味はないが、あえて実用性、応用範囲で比べるとDuoのほうが上だろう。
タッチパッドをキーボードの右に配置している点が変則的だが、メインのモバイルノートPCとして使い始めて数日が経過したいま、まったく違和感なく利用できている。もう「変態」とは言えない実用性を備えたDuoは、モバイル用途に特化した2画面ノートPCとして現時点で唯一無二の存在だ。