ASUS JAPANの「ZenBook Flip S UX371EA」は、軽量薄型で高級感あふれるデザインを採用したプレミアムクラスの2in1ノートPCだ。CPUには最新のインテル第11世代Coreプロセッサーを採用し、従来にはない高いパフォーマンスを実現している。加えて堅牢性やモバイル性能に優れている点も魅力。いまもっとも注目されているモバイル2in1だ。
ラグジュアリー感と高い堅牢性を両立させた本体デザイン
ZenBook Flip S UX371EAを手にしてまず驚くのが、繊細かつ洗練されたデザインだ。本体のフットプリントは幅305×奥行き211mmで、A4サイズよりもわずかに大きいながらも13.3インチの2in1としては非常に小さい。厚さは13.9mmと薄く重量も1.22kgと軽量で、見た目も手にした印象も軽やかだ。さらに本体カラーのブラックとカッパーの組み合わせは高級感抜群。細部までこだわり抜いた仕上げにより、まるで高級文具のようなラグジュアリー感を漂わせている。
繊細な見た目とは裏腹に、高い堅牢性を誇る点も見逃せない。米国国防省制定のMIL-STD 810H準拠で、ミリタリーグレードの耐久性を実現。シャーシには剛性に優れるアルミ素材を採用しており、本体の両端に力を加えてもねじれや歪みは感じられなかった。持ち歩く機会やディスプレイの開閉が多いモバイル2in1では、極めて重要なポイントだ。
4K OLEDディスプレイは非常に高精細かつ鮮やか
ディスプレイは13.3インチで、解像度は3940×2160ピクセルの4Kまたは1920×1080ピクセルのフルHDだ。4Kパネルはコントラストの高いOLEDで映像は非常に明るく、しかも目を見張るほど鮮やか。DCI-P3 100%の広色域に対応しており、一般的なNTSC 72%/sRGB 100%のディスプレイよりも赤みが強くより自然な色合いに感じる。かつ4Kの映像はとても高精細で、細部のディティールまで潰れることなくハッキリと映し出されていた。普段使いはもちろんのこと、クリエイティブな用途にも十分活用できるクオリティーだ。
キーボードは十分なサイズとストロークだが、やや変則的
キーボードはテンキーなしの日本語配列。キーピッチは公称値で19.05mmとサイズ的には十分なように感じるが、これは横のキーピッチのサイズだ。縦のキーピッチは実測16.9mmほどで、実際にはかなり横長に作られている。そのため上下の指の動きがやや窮屈で、慣れないうちはタイプミスがあるかもしれない。また右端に特殊キーが縦に並んでいる点も、標準的な配列にはない仕様だ。
キーストロークは1.35mmとやや浅めながらも、薄型ノートPCとしてはしっかり確保されている。キートップは0.1mmへこんでおり、タイプ時に指にフィットしやすい作りだ。ただし入力時にスイッチに微妙な軸のブレを感じる。クリック感は軽めだが、手応えはハッキリと感じられた。タイプ感については総合的には標準的な仕上がりで、配列やキーの作りの部分で工夫は感じられるものの、プレミアム感に乏しい仕上がりだ。
インターフェースに最新のThunderbolt 4を2ポート用意
周辺機器接続用のインターフェース類は多くはない。ただ、持ち運びの多いモバイルノートPCであることを考えれば、妥当な構成だ。最近は多機能なType-Cドックが増えてきているので、自宅や職場で使うなら拡張性の高いドックを用意しておきたい。
特徴的なのは、Thunderbolt 3の上位互換規格であるThunderbolt 4を2ポート用意している点だ。4K×2画面または8K 1画面の映像出力に対応しているほか、従来規格に比べて機能面も拡張されている。今後Thunderbolt 4対応のドッキングステーションや対応機器が充実すれば、より便利に使えるようになるはずだ。
進化したIris Xe Graphicsでグラフィックス性能が大きく向上
ZenBook Flip S UX371EAではCPUとして、インテル第11世代のCore i5-1135G7またはCore i7-1165G7が使われている。前世代のCPUに比べてクロックが上がったことでパフォーマンスアップも期待できるが、最大の特徴は進化した内蔵グラフィックス(iGPU)であるIris Xe Graphicsが使われている点だ。ゲームやクリエイター向けソフトでの効果を期待したい。
熱を抑えながらもしっかり使えるパフォーマンスを発揮
CPU性能を計測するCINEBENCH R20から。マルチコア性能については前世代のCore i7-1065H7と変わらない結果だったが、これは本体の熱対策やパフォーマンス調整が影響しているのかもしれない。同じCPUを搭載したほかの機種ではスコアが「2000」を超えているので、ZenBook Flip S UX371EA固有の仕様だろう。とは言えこれだけ薄型コンパクトでありながら、しっかりと使えるパフォーマンスを確保している点は評価したい。
グラフィックス性能はRyzenや非ゲーム系dGPUを超える
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のIris Xe Graphicsが使われる。内蔵タイプのためパフォーマンスは高くないと思いきや、3Dグラフィックス性能を計測するベンチマークテストでは、旧世代のゲーム用専用グラフィックス(dGPU)であるGeForce GTX 1050に迫る結果となった。非ゲーム用dGPUであるGeForce MX250や、第3世代Ryzenモバイル内蔵のRadeon Graphicsを大きく上回っているのは正直なところ驚きだ。これだけのパフォーマンスを発揮できるのであれば、ちょっとしたゲームやクリエイティブな用途にも活用できるに違いない。
こだわりの仕上がりで満足感の高いプレミアムな2in1ノートPC
ZenBook Flip S UX371EAの価格はCore i5-1135G7搭載の下位モデルで税別12万2545円、Core i7-1165G7搭載の4K OLEDモデルで税別21万8000円(いずれも直販価格)。決して安くはなくどちらかといえば高価なモデルだが、スペックやパフォーマンス、そして品質面を見れば十分納得できるクオリティーだと言っていいだろう。価格の安さよりもツールとしての高級感や使い心地、所有することへのステータスなどを重視する人におすすめしたいプレミアムなモバイル2in1だ。
関連記事
・価格8万円のRyzen 3 4300Uノートの実力は?「ASUS VivoBook Flip 14 TM420IA」レビュー
・Ryzen 7 4800H+Radeon RX 5500M搭載、オールAMDのゲーミングノート「Bravo 15」レビュー
・AMD Ryzenモバイル搭載を期待したくなる?さらに完成度を高めたデルの13.4型モバイル「New XPS 13(9300)」
・もう「変態」とは言わせない、実用性を備えた2画面ノートに進化したASUS ZenBook Duo
・デュアル4KノートPCは未来のノートPCになりうるか?ASUS ZenBook Pro Duoで検証
・Nvidiaが驚異の360Hz駆動eスポーツ向けG-Syncディスプレイを発表