インドのユニコーン「Zomato」のIPOに世界が注目

フードデリバリーのスタートアップで来週公開市場で取引を開始するZomatoは、ジャーナリストや業界の専門家から、インドで史上最大のテック系株式上場であると言われている。上場によって同社の時価総額は最大86億ドル(約9400億円)に達する可能性があり、投資家は早くから強い関心を示している

同僚のAlex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)とAnna Heim(アナ・ハイム)がTechCrunchコラムに書いたように、ZomatoのIPO後の成り行きには、Paytm(ペイティーエム)とMobiKwik(モビクイック)という、同じく近日中の上場を目指しているインドのフィンテック・ユニコーンの2社を始めとする100社ほどのインド・ユニコーン、そしてもちろんリターンに焦点を合わせたベンチャーキャピタリストたちが注目している。Zomatoの成功は、追加の資金調達や今後のイグジットにつながり、法律や規制による緊張が続く中、成長投資の節目になるだろう。

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Zomotoには、公開市場で押しつぶされることがないようにというプレッシャーがかかっており、それは単なる根拠のない憶測ではない。TechCrunchの現地レポーター、Manish Singh(マニッシュ・シン)は、インドでこの上場に向けて起きているあらゆる兆候について、アーリーステージ・スタットアップで頻発している資金調達から、需要増加のおかげでエンジニアが突如力を得たと感じていることまで詳しく報告している。

Zomatoの成功によって、より多くの投資家がスタートアップ・シーンに注目する可能性があり、彼らは遅れを取り戻そうと躍起になるだろう。インドのスタートアップは2021年前半に新記録となる104億6000万ドル(約1兆1490億円)を資金調達した。2020年同時期の40億ドル(約4390億円)や2019年前半の54億ドル(約5930億円)から大幅に増加している、とデータ予測プラットフォームのTracxnがTechCrunchに伝えた。ちなみにインドのスタートアップは2020年通年で116億ドル(約1兆2740億円)を調達した。

重要なのは、人生においてもスタートアップ世界においても、「最初」の何かが単一の決断の結果で起きるのは稀だということだ。よく見てみると多くの場合、大きな節目はさまざまな勝利と成功や失敗さらにはそれまでの小さな節目の集大成である。これはインド最大のテック系スタートアップの上場(重要かつ稀!)、という偉業にケチをつけるものではなく、その波及効果は単なる資金調達イベントの副次効果ではなく、そもそもIPOを実行するにいたった推進力によるものであることを示唆している。

記事の後半では、新進ファンドマネージャー登用のトレンドについて、およびラウンド完了とは無関係な調達ラウンドに関するアドバイスについてお送りする。

新進ファンドマネージャーの台頭

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

多様な新進ファンドマネージャーたちによる一連のファンドストーリーは、これまで私が見たことのないものだった。先週、Female Founders Fund(フィーメール・ファンダーズ・ファンド)は5700万ドル(約63億円)の女性向けファンドFund IIIの募集を完了、Nasir Quadree(ナシーア・カドリー)氏は最大級のソロGPファンドを組成し、Peter Boyce II(ピーター・ボイス2世)氏はStellation Capitalでまもなく4000万ドルのファンドを完了 H Ventures(Hベンチャーズ)は1000万ドル(約11億円)の初ファンドを立ち上げた

ポイントはここだ:ますます多くの古参ベンチャーキャピタルが新進ファンドマネージャーにディールフローを依頼したり新規パートーとして勧誘している、と同僚のConnie Loizos(コニー・ロイゾス)は言っている。つい先週、 Initialized Partner(イニシャライズド・パートナー)はFounder Collective(ファウンダー・コレクティブ)からParul Singh(パルール・シン)氏を引き抜き、自社の新パートナーに任命した。このトレンドはすぐに止まりそうにはない。

調達ラウンドは珍しくないが、あなたのは違うかもしれない

画像クレジット:Mohd Hafiez Mohd Razali/EyeEm

資金を調達するほうが、資金調達を記事に取り上げてもらうよりも簡単だ。最近TechCrunchがForbes(フォーブス誌)のシニア・エディター、Alex Konrad(アレックス・コンラッド)氏を招いたEquityで話したように「調達ラウンド・ストーリー」へのハードルはかつてないほど高い。

ポイントはここだ:
注目を浴びるために、ファウンダーは競争や業界について率直に語り、記憶に残るような名言や話題を提供する必要がある。Equityでは具体的なアドバイスや、歴史的に見過ごされてきた人々がいかに麻酔効果の影響を受けたかを紹介している。

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

インドでUber Eatsを買収したフードデリバリー「Zomato」が1200億円規模のIPO申請

インドのフードデリバリースタートアップであるZomato(ゾマト)は、インド時間4月28日にIPOを申請した。数年にわたる有望な成長を経て、同社はこれにより世界第2位のインターネット市場において、テックユニコーン企業たちの新時代をリードすることになる。

インドのグルガオンに本社を置く創業12年目の同スタートアップは、Info EdgeやAnt Groupを最大の投資家に数えており、IPOで11億ドル(約1198億円/新株発行で約10億ドル、約1089億円)を調達する予定であると、現地の市場規制当局に提出した書類の中で述べている。24の市場で事業を展開している同社は、インドの証券取引所NSE(ナショナル証券取引所)とBSE(ボンベイ/ムンバイ証券取引所)に上場する予定だ。

これまでに22億ドル以上(約2396億円、調査会社Tracxn調べ)の資金を調達し、直近の資金調達ラウンドでは54億ドル(約5880億円)の評価を受けたZomatoは、上場に向けて2億ドル(約218億円)の追加調達を検討する可能性があると述べている。

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Zomatoが最終的にインドの証券取引所に上場するかどうかには、多くのことがかかっている。上場が成功すれば、十数ある他のインドのユニコーン企業が上場に向けた取り組みを加速させることになるだろう。

インドのスタートアップ企業は過去10年間で数百億ドルの資金を調達してきたが、これまで公開市場への参入にはほとんどが消極的だった。ここ数年、IndiaMartやモバイルゲーム企業のNazaraなど、一部の企業の上場が成功したことで、インドの投資家がハイテク株に強い関心を持っていることがわかった。

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  • Zomatoが今回の申請で共有したいくつかの重要なインサイトは以下のとおりだ。

  • Zomatoはインドのフードデリバリー市場において、市場リーダーとしての地位を確立している。
  • 同社は、Prosus Venturesが支援するSwiggy(スウィギー)、そしてDomino’s(ドミノ・ピザ)、McDonald’s(マクドナルド)、Pizza Hut(ピザハット)などのレストランや、Rebel Foodsなどのクラウドキッチン事業者も競合相手として挙げている(Swiggyはソフトバンク・ビジョン・ファンド2/SVF2からの資金調達を交渉中と報じられている)。ただし、2020年にインドのフードデリバリー市場に参入したAmazon(アマゾン)はこのリストに含まれていない。
  • 同社は2020年4月1日から12月31日までの間に、1億8360万ドル(約200億円)の収益を計上した。同期間の損失は9180万ドル(約100億円)だった。

  • 同社は過去に純損失を出したことがあり、今後も経費の増加が予想されるという。
  • Info Edgeは、1億ドル(約109億円)相当の株式を売却する予定であると、証券取引所に提出した書類の中で述べている。
  • Zomatoは、今後の事業に影響を及ぼす可能性のある数十以上のリスク要因の中で「インドにおける規制の変化」「外国資本の調達能力」「政治的変化」を挙げている。
  • 2020年12月31日現在、全世界で3469名の従業員を擁するZomatoは、IPOにより調達する資金の75%を、顧客が追加特典を利用できるZomato Pro会員制度や、同社のB2B用品事業であるHyperpureの成長に投資し、提携レストランとの関係を深めることを計画している。
  • Zomatoによれば、GOV(Gross Order Value、総受注額)という指標で見ると、同社は2020年の第3四半期までにコロナ禍の危機から回復したという。しかし、外食ビジネスを含むいくつかのビジネスラインは「お客様が予防的措置として外食を控える傾向が続いているため、まだ回復途上である」としている。
  • 2020年12月の時点で同社のプラットフォームでは、16万1637人の現役デリバリーパートナーが活動し、35万174店舗の加盟レストランを掲載しており、そのうち13万2769店舗のレストランは顧客に活発にデリバリーを行っている。
  • 過去数年にわたり、Zomatoの広告・販売促進費の総収入に占める割合は下図のようになっている。

  • Zomatoは近年、フードデリバリー事業のユニットエコノミクスを改善してきたとしている。

  • Zomatoは2020年、Uber Eatsのインド事業を買収し、その一環として、米国の配車サービスであるUberにZomatoの株式9.9%を譲渡した(余談だが、Uberがこれまでに利益を上げたのは、一部の市場で事業を地元のライバル企業に売却したときだけのようだ)。1%以上の株式を保有している現在の株主リストは、以下のとおりだ。

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

インドのフードデリバリーZomatoが約263億円調達し企業価値約5672億円に、2021年前半にIPO予定

2カ月前に6億6000万ドル(約693億3000万円)のシリーズJラウンドを終えたばかりのZomato(ゾマト)が2億5000万ドル(約262億6000万円)を調達した。インドのフードデリバリースタートアップは、2021年中のIPOに備えて軍資金を蓄えている。

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Kora(1億1500万ドル、約120億8000万円出資)、Fidelity(5500万ドル、約57億8000万円出資)、Tiger Global(5000万ドル、約52億5000万円出資)、Bow Wave(2000万ドル、約21億円出資)、およびDragoneer(1000万ドル、約10億5000万円出資)が、創立12年のインド、グルーガオン拠点のスタートアップに資金を投入した。Zomatoの上場済み投資家であるInfo Edge(インフォ・エッジ)が地元証券取引所に提出した書類でわかった。この投資によってZomatoの投資後企業価値は2020年12月の39億ドル(約4096億1000万円)から54億ドル(約5671億5000万円)に増えた、とZomatoの18.4%を保有するInfo Edgeは述べている。

新たな出資は、2020年資金調達に苦労したZomatoに対する投資家の信頼を強化するだろう。Zomatoは2020年初めにUberのインド国内フードデリバリー事業を買収し、Prosus Venturesが支援するSwiggy(企業価値36億ドル、約3781億4000万円)とインド国内で競っている。2社合わせて44万以上のデリバリーパートナーを擁し、この数字は同国の郵政機関であるインディア・ポストが雇用している従業員よりも多い。

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三番手のAmazon(アマゾン)も2020年フードデリバリー市場に参入したが、営業地域はバンガロールの一部に限られている。

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Bernsteinのアナリストがクライアント向けに書いたレポートによると、インドのフードデリバリー市場は2022年には規模が120億ドル(約1兆2630億円)に急増すると言われている。約50%の市場シェアを持つZomatoは現在3社の中でリードを保っている、とBernsteinのアナリストは述べている。

「インドのフードテック業界はユニットエコノミクスの回復とともに持続可能に成長する好位置にいます。インドのテイクレート(受託販売手数料率)は20~25%という最高水準にあり、消費者人気も高まっています。この市場はZomatoとSwiggyが合計80%以上を占める複占状態です」とBank of Americaのアナリストが最近の記事に書いていた。

ZomatoとSwiggyはここ数年年財務状態が改善しており、フードデリバリー市場で利益を上げることが難しいと言われているインドでは、ことさら魅力的だ。配達商品価格の平均が33ドル(約3470円)の米国をはじめとする欧米諸国と異なり、インドでは同じような商品が3~4ドル(約320〜420円)で販売されている。

どちらの会社も2020年新型コロナウイルスパンデミックの影響を受け、何百もの人員を削減した。ZomatoのファウンダーでCEOのDeepinder Goyal(ディープンダー・ゴヤル)氏は2020年12月に、フードデリバリー市場は「新型コロナの影響から急速に這い上がろうとしています」と語った。

「2020年12月は当社史上最大GMV(流通取引総額)の月になります。現在私たちは前回のピークだった2020年2月より25%近く高いGMVを達成しています。これから起きること、お客様とデリバリーパートナー、レストラン・パートナーのために私たちが与える影響のことを思いワクワクしています」と彼はいう。

2020年9月に送った従業員宛メールでゴヤル氏は、「Zomatoは2021年『前半のどこか』でIPOを実施する予定であり、『将来のM&Aや我が社のさまざまな分野におけるライバルからの攻撃や価格戦争』に備える軍資金を蓄えるために資金調達を行っている」と語っていた。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

インドのフードデリバリーZomatoが682億円調達、業績は急回復

インドのフードデリバリースタートアップZomato(ゾマト)は2021年の上場に向け、昨年開始した投資ラウンドで6億6000万ドル(約682億円)を調達した。

シリーズJとなる本ラウンドにはTiger Global、Kor、Luxor、Fidelity (FMR)、D1 Capital、Baillie Gifford、Mirae、Steadviewが参加したとZomatoは述べた。ポストマネーでのバリュエーションは39億ドル(約4030億円)だ。同社は以前、シリーズJラウンドの一環でAnt Financial、Tiger Global、Baillie Gifford、Temasekからの2億1200万ドル(約220億円)の調達を明らかにしていた。

Zomatoの共同創業者でCEOのDeepinder Goyal(ディーピンダー・ゴヤル)氏は、創業12年になる同社が第2次取引の1億4000万ドル(約145億円)をクローズする過程にある、と述べた。「取引の一環として、当社はすでに3000万ドル(約31億円)相当の流動性資産を元従業員に提供しました」と同氏はツイートした。

Zomatoはもともと今年1月までに約6億ドル(約620億円)で本ラウンドをクローズするつもりだった。しかし現在も続くパンデミックを含め、いくつかの障害により資金調達が難しくなった。加えて、本ラウンドに1億5000万ドル(約155億円)の出資を約束していたAnt Financialが3分の1の額の拠出にとどまった、とZomatoの投資家であるInfo Edgeが今年始めに明らかにした。

今年初めにUberのフードデリバリーのインド事業を買収したグルガーオンに本社を置くZomatoは、Prosus Venturesが支援するSwiggy(スウィギー)とインドで競合している。サードプレイヤーとしてAmazon(アマゾン)もこの分野に参入した。ただし同社は現在、バンガロールの一部でのみフードデリバリーを提供している。

インドのフードデリバリーマーケットは2022年までに120億ドル(約1兆2000億円)規模に膨らむとBernsteinのアナリストは予想している。マーケットシェア約50%のZomatoが現在この分野のリーダーだとアナリストはレポートに書いた。

Zomatoは今年、財政状況の改善と新型コロナウイルスパンデミックを生き抜くために、何百人もの社員をレイオフした。パンデミックはインドのフードデリバリー産業に著しいダメージを与えた。ゴヤル氏は、フードデリバリーマーケットは「急速にCOVID-19の影から脱しつつあります。2020年12月の販売総額は当社の歴史の中で最高となりそうです。この前にピークだった2020年2月の販売総額を25%超上回っています」と付け加えた。「今後について、そして顧客やデリバリーパートナー、レストランパートナーへの影響について非常に興奮しています」

9月に、ゴヤル氏は従業員に対し、Zomatoが「2021年上半期のどこか」でのIPOに向けて準備を進め、「将来のM&Aへの備えと、競合他社からのちょっかいや価格戦争を撃退する」ための軍資金を調達していると伝えた。

フードデリバリーで儲けることはインドではかなり難しい。バンガロール拠点の調査会社RedSeerによると、配達される料理の1品あたりの価格が約33ドル(約3400円)である米国のような西欧マーケットと異なり、インドでは似たような料理の価格は4ドル(約410円)だ。

「問題は、毎日フードデリバリーを注文するだけの財政的余裕がある人はインドではかなり少ないということです」とIndia Quotient,のベンチャーキャピタリスト、 Anand Lunia(アナンド・ルニア)氏は今年初めのTechCrunchとのインタビューで述べた。

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(翻訳:Mizoguchi