「ほとんどのタスクは100%自動化可能」 ― チャットボットのPypestreamが1500万ドルを調達

pypestream

Pypestreamは現地時間28日、シリーズAで1500万ドルを調達したと発表した。

同社が創業した約1年前、創業者兼CEOのRichard Smullen氏はピッチの中でテキストメッセージが顧客と企業とのベストなコミュニケーション手段であると主張した ― もっと具体的に言えば、Pypestreamのアプリを使ったメッセージングだ。このアプリでは、企業は1つのアカウントに異なる「パイプ(pype)」をつくって、それぞれを用途に応じて使い分けることが可能だ。

その後、Pypestreamは企業がもつアプリにメッセージング機能を組み込むというサービスにもビジネスを拡大した。ここでやり取りされるのはテキストや画像だけではない ― ユーザーはそこで料金の支払いもできるし、スケジュール調整や直接ファイルをやり取りすることもできる。

もちろん、ここ最近、特にFacebookを中心としてチャットボットにかなりの注目が集まっていることは確かだ。しかし、Smullen氏はFacebookのようなチャットボットと人々がコミュニケーションをする時代が来るのはまだ先のことだと話す。

「『たとえ目的やニーズがはっきりしていなくても、人々は企業と何気ない会話をすることを望んでいる』。このように企業やエージェントは考えています」とSmullen氏はいう。「でも、消費者の視点から考えてみれば、何も用がないときにNikeと何気ない会話をする気にはなりませんが、自分のスニーカーが壊れてしまったときには、そのような会話が重要になるということが分かります」。

だからこそ、Pypestreamはこれまで企業がコールセンターなどで対応してきた数々のプロセスを人工知能と機械学習によって自動化することを目指してきたのだ。この界隈では、AIや機械学習という言葉を耳にタコができるほどよく耳にする ― Smullen氏は「それを実現するためには、WatsonやCortanaのようなレベルでディープラーニングを利用する必要はなかった」と話している。しかし、それでもPypestreamはほとんどのタスクを自動化するには十分な程スマートだと彼はいう。

「何度も繰り返し行なわれるタスクを出来る限り自動化することを目指しました」とSmullen氏は話す。「ほとんどのタスクは機械が完全に解決できるものです。機械が解決できない問題が出てきた場合には、その会話を人間に投げ、人間が機械に代わって解決します。私たちのシステムは、その時に人間がとった行動を記憶します。なので、次に同じタスクが与えられたときには、システムは人間の手を借りることなくそのタスクを完了することが可能です」。

Pypestreamはこれまでに、Insurance Thought Leadership、Lynx Services、Discovery Healthなどの企業を顧客として獲得している。Smullen氏は同社が連邦政府とも契約を交わしたことを明らかにしたものの、その件はまだ公式に発表されていない。

同社はこれまでにシードラウンドで200万ドルを調達している。今回のシリーズAをリードしたのは元Priceline CEOのRick Braddock氏だ(彼はCitibankの元COOでもある)。その他にも、The Chatterjee Groupや同社が言うところの「大規模で、誰もがよく知るヘッジファンド」も本ラウンドに参加している。同時に、Braddock氏がPypestreamの経営執行役会長に就任することも発表されている。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。