Deliciousの言葉を見ると、多くの人が「Web 2.0」を思い出すことだろう。Yahooによって買収されて、結局放棄されるまで、「クラウド」サービスの典型として大いに人気を集めたものだった。それまではあくまでも個人のものであった「ブックマーク」を公開することにより、ブックマークをする人自身も、そしてブックマークされる側にもメリットが広がっていったのだった。
以来10年ほどの月日が流れ、現在「ソーシャルブックマーク」系サービスを立ち上げようと考える人は少なくなったかもしれない。しかし、情報にリンクして、そしてそれを共有するというのは「ウェブ」というものの基本的魅力のひとつだ。そしてソーシャル性を持ち込むだけでなく、ビジュアル面でも工夫したPinterestは大成功となり、ここから刺激を受けているスタートアップもある。
刺激を受けて、自分たち独自の魅力を訴えようとするスタートアップのひとつにMinilogsがある。パリ発のサービスで、まずは20万ユーロの資金を集めてサービスをリリースした。
キャッチコピーによれば「大好きなものを保存して、再構築して、みんなと共有するためのベストサービスです」とのこと。このサービスではビデオ、音楽、地図、およびスライドなどをブックマークすることもでき、それぞれを「minilogs」と呼ばれるまとまりにしてプレイリストとして扱うこともできる。自身でプレイリストを楽しむこともできるし、そしてもちろん共有することもできる。
ところで今は2013年であり、Minilogsに用意されたのはもちろん「共有」機能だけではない。たとえば投票したり、フォローしたりというTwitterのようなソーシャル機能も備わっている。ただウリの機能は、独自にインプリメントしているプレイヤー機能ということになるだろう。登録したコンテンツがそのままプレイリストとなる。他のサイトにエンベッドすることもできるのが面白い。フランスの新聞社であるLe Figaroも利用しているようだ。
「この十年、リッチコンテンツがウェブ上に溢れるようになってきました。しかしそうしたコンテンツを保存しておいたり、編集してリミックスして活用する手段というのはあまり出てきていないように思うのです」と、Minilogsの共同ファウンダーであるJean-Philippe Coutardが言っている。「Pinterest(およびそのクローン)は、ビジュアル系コンテンツを扱うサービスを提供していますが、写真を共有するのに使われているだけというのが現状です。ビデオや音声、地図やスライドなども同様に扱えるようにすべきではないでしょうか。Minilogsは現状と理想の橋渡しをするものです。すなわち、ブックマークしたページに含まれるあらゆるコンテンツタイプを扱えるようにしたのです」。
他に同様のサービスが「出てきていない」というのは言い過ぎではある。ビデオや音声をブックマークしておくサービスというのは山ほどある。しかしMinilogsは、ブックマークした内容をさまざまな場所で再利用できるというメリットがある。「ページの中にどのようなタイプのコンテンツがあるのかを意識することなく、ただリンクをシェアするという意識だけで簡単に情報共有ができるようになっているべきだと思うのです」というMnilogsの主張は正しいものだろう。今後の発展が期待できるサービスかもしれない。
ただ、思い出すのはDeliciousのこと。そもそもそうした方向性を持ったサービスであったのだった…。
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(翻訳:Maeda, H)