「原神」や「Call of Duty」など中国のモバイルゲームは米国でも人気

米国では2020年来、新型コロナウイルス感染流行によって、外出を控えた人々が自宅でアプリを利用する機会が増えている。特にモバイルゲームがブームとなっており、その中でも中国のスタジオによって制作されたゲームが人気を集めている。

市場調査会社Sensor Tower(センサータワー)の新しい報告によると、米国のApp StoreとGoogle Play Storeでリリースされたゲームの第4四半期の収益は合計58億ドル(約6150億円)で、前年同期比34.3%増となり、世界のモバイルゲームの収益の4分の1以上を占めているという。

先の第4四半期には、米国におけるモバイルゲームの収益の20%が中国製のタイトルによるものだった。これにより、中国は事実上、米国におけるモバイルゲームの最大の輸入国となった。同期間中に米国で最も売れたゲーム上位100本の中で、中国のパブリッシャーは21本を占め、世界最大のモバイルゲーム市場であるこの国において、合計で7億8000万ドル(約827億円)の収益を上げた。これは2年前の3倍以上にも増えたことになる。

ランキングの上位には、Tencent(テンセント)とActivision(アクティビジョン)のコラボレーションによる一人称視点シューティングゲーム「Call of Duty:Mobile(コール オブ デューティ モバイル)」や、テンセントの「PlayerUnknown’s Battlegrounds(プレイヤーアンノウンズ バトルグラウンズ)」など、お馴染みの中国製タイトルが並ぶ。しかし、中国の小規模なスタジオも米国市場に急速に浸透している。

中国以外ではあまり知られていないゲーム会社のmiHoYo(ミホヨ)は、アニメ風キャラクターが登場するロールプレイングアクションゲーム「Genshin Impact(原神)」のヒットによって、同国のゲーム業界で注目を集めている。第4四半期には米国で6番目に高い収益を上げたモバイルゲームとなり、1億ドル(約106億円)以上の収益を記録した。

最も注目すべきことは、miHoYoが2011年の設立以来、独立したスタジオであることだ。テンセントのような業界の大物からの資金を欲しがる多くの新興ゲーム企業とは異なり、miHoYoこれまで、初期の段階からわずかな金額しか調達していない。また、テンセントや携帯電話ベンダーのHuawei(ファーウェイ)、Xiaomi(シャオミ)といった大手代理店を避け、中国の若者に人気の動画サイト「Bilibili(ビリビリ)」やゲームダウンロードプラットフォーム「Taptap(タップタップ)」で「原神」をリリースしたことでも物議を醸した。

2020年末から米国で最もインストールされたモバイルゲームの1つ、パズルゲーム「Project Makeover(プロジェクト・メイクオーバー)」の開発元であるMagic Tavern(マジック・タバーン)もまた、あまり知られていないスタジオの1つだ。清華大学の卒業生たちが設立し、世界各地にオフィスを構えるMagic Tavernは中国にルーツを持つスタジオの中で、米国のカジュアルゲーム市場に進出した最初のスタジオの1つとして認められている。KKRが出資するゲーム会社のAppLovin(アップラビン)は、Magic Tavernの戦略的投資家だ。

米国で人気が高い他のゲームにも、中国企業が直接所有しているわけではないにせよ、中国とのつながりを持っているものがある。「Shortcut Run(ショートカットラン)」と「Roof Rails(ルーフレールズ)」はフランスのカジュアルゲーム会社であるVoodoo(ヴードゥー)の作品だが、2020年にTencentから少額出資を受けている。Tencentはまた、若いゲーマー向けゲームプラットフォームであるRoblox(ロブロックス)の戦略的投資家でもあり、近日中にIPOを予定している。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:スマホゲーム中国アメリカ

画像クレジット:Genshin Impact via Google Play Store

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(文:Rita Liao、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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