「複雑さの頂点」を乗り越えよう

Different colored wires coming together to create a ball in mid air on white background

【編集部注】Tom GoodwinHavas Mediaの戦略イノベーション担当のシニア副社長。

実質的にほぼすべての会社はデジタルへの転身方法を誤っている。まるでそれがチャンスではなく、厄介事であるかように、我々は距離を置いて、それを視界の端に置いている。もし会社を成功させるなら、これまでに目にした最も素晴らしいツールキットを使って、可能性の周りに再構築を行う必要がある。

ここで、テクノロジーが私たちの生活とビジネスに及ぼしてきた膨大な変化の話をしよう。私たちはこれまでに起きた大規模な変化を称賛している。アプリケーションからフライトを予約して、携帯電話からタクシーに支払い、そして店舗を提供するタブレットの中で買い物をすることができる。しかし私たちは実現されたこと、変化したことを賛美しているだけで、本当に可能だったこと、まだ起きていない変化を称賛しているわけではない。私は、私たち皆が自分たちの無為を反省すべきときだと思っている − より真剣に考えて、より大きいリスクをとり、そして新しい世界を受け入れるべき時だ。

テクノロジーは中心にも周縁にも適用することができる。そして歴代の経営者たちは、意識的にせよ無意識的にせよ、それを新しいユニットの中やイノベーション研究室や、様々な方法で周縁に小さくばら撒いてきた。新規なものは、実際のところ軽んじられてきたのである。まるでそれが彼らを脅かす考えであるかのように。新しい考えは上手くやりすごすための何かであり、その周りに考えを巡らせるためのコアではなかったのだ。彼らのビジネスを未来に向けて推し進めるために可能性を解き放つことではなく、まるで引退に向かう緩やかな下降が彼らの目的であるかのようだ。

私たちがAirbnb、Uber、Facebook、Amazon、Snapchat、Slack、TeslaもしくはBlue Apronといったものを称賛するとき、話題となるのは、彼らがビジネスのコアに如何に新しいテクノロジーと振る舞いを取り入れたかということだ ‐ 彼らは初めからテクノロジーを取り入れたのだ。

彼らのために新しいテクノロジーは、働くための新しいカンバスと、熱情とともに描くことできる新しい道具を提供したのだ。そうした企業は、世の中を善くするべく、テクノロジーの時代に育ち、CEOやマネジメントチームによって率いられている(彼らは知っているもの全てにチャレンジを挑ませる子供たちを持っていることが多い)。あなたが世間一般の通念が実際にどれぐらい間違っているか悟るのは、あなたが7歳の子供にタブレットの上で、なぜ実際は「TVを見て」いるのではないのかという理由を説明しているときだ。

より真剣に考えて、より大きいリスクをとり、そして新しい世界を受け入れるべき時だ。

マクルーハンの「我々は道具を形づくる、そして次に道具が我々を形づくる」という言葉は正しかった。しかし私たちの多くがこの言葉の後半に抵抗した。私たちは新しいコードを使って新しいチームが作った新しいアプリケーションを使って、私たちのフライトを予約することができる、それにもかかわらずデスクトップのウェブサイトは大惨事のように見える。会社内の組織間の軋轢を公にし、うまく動作しないシステムと顧客の要望を反映しないレガシーなシステムとパッチを表しているのだ。

私たちが空港に到着すると、ことはもっと悪くなる。私たちは担当者が青いDOSのようなスクリーンに向かって果てしなくタイピングする音を聞かされる。あなたのフライトを変更するのに、15分間のタイプと数本の電話が必要だ。これは、ひび割れを新しいビジュアルデザインで覆い隠し、過去に作られたプラットフォームに依存しつつ拡張が行われた、ハイブリッドであることを意味している。

あなた自身に問いかけるべき疑問はこれだ:「もし自分の会社を今作るなら ‐ 人々がどのようにテクノロジーを使い、デバイスが何を可能にするかを知っていて、人々が(単にミレニアル世代だけではなく)どのように振る舞い今日と明日の生活から何を期待しているかを知っている今なら ‐ それは現在あるものに似通っているだろうか?」

ホテルの受付は大きいデスクトップコンピュータを置くような大きい据え付けのユニットだろうか?レンタカー会社はその場所に位置するままだろうか?それは35種類の車を用意するだろうか?システムは今のように動くのだろうか?小売り店舗に、あるいは「クラスでのベスト」であるロジスティクスとウェブサイトのどちらに投資すべきだろうか?ミレニアル世代がソーシャルメディアの方を好むとき、コールセンターに大規模に投資するべきだろうか?患者の記録やその他のものを、紙の上に記録したいだろうか?注文を処理するためにFAXを必要とするだろうか?
あなたのデータは10の異なったサーバー上に保持されるだろうか?あなたのすべてのスタッフはデスクトップコンピュータを持っていて、キュービクルで働いて、そしてそれぞれが机の上に電話を置いているだろうか?

会社を受け継ぎ未来を作り出す新しい世代が、現在のCEO世代と交代するとき、巨大な変化が訪れる。考慮するべき組織的な原則の1つはこれだ:「私たちは古い考えとやり方を、最高の技術で粉飾しようとしているのだろうか?それとも現在可能なものの周りに新しいやりかたとシステムを打ち立てようとしているのだろうか?」

新しい技術と新しいシステムと考えが、あなたの会社をどのように変容させ、それを軸にどのように機能するかを考えよう。

自分たちの考えの中に閉じこもるのは容易だ。もしアカウントマネージャーにタブレットを与えて、それで仕事をやれと言っても、それは無理だろうと私たちは考えてしまう。彼らはパワーポイントを作り、週報をエクセルで用意する必要があるからだ。私たちはタスクレベルで運用することに慣れている、しかしワークフローを管理しアイデアを伝達していくことこそが彼らの仕事だと私たちが気付いたならば、リアルタイムオンラインダッシュボード、共有ワークスペース、そしてクラウドでホストされたプレゼンテーションが、ただその機能を果たすだけでなく、仕事を何倍も容易にすることに気がつくだろう。

私たちは「複雑さの頂点」 − 古いものと新しい世界システムのハイブリッド − に居る。Slackを使い、電子メールを送る。請求書を送るために、果てしなくJavaをダウンロードする。会議でWhatsAppを使い、オフィスで電子メールを使う。一体いくつのファイル共有システムが?一体いくつの会議電話ソフトウェアの形式が?さらにいくつのアドオンが?

もしあなたが、まだ2、3年以上働くつもりなら、そしてもしあなたの目標が違いを生み出し、ビジネスを未来へ推し進めることであって、安楽な引退に向かっているのではないのなら、私はあなたに1つの提案をしたい:「新しい技術と新しいシステムと考えが、あなたの会社をどのように変容させ、それを軸にどのように機能するかを考えよう」

もしたやすく手に入ること、反射的に手に入ることばかりに手出しするのなら、あなたはあなたの会社、あなたの株主、そしてあなたの従業員を混乱の被害を受けやすいままにしておくという意味で、実際に害を為しているのだ。未来を再構成するか、ただ待っているのか ‐ 私の答は明らかだ。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: PM IMAGES/GETTY IMAGES

投稿者:

TechCrunch Japan

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