毎年この時期になると繰り返し聞こえてくる話:「間違いない。Appleは新しいiPhoneを出すたびに古い機種を遅くして買い替えさせようとしている」。しかし、Futuremarkのユーザーによる過去数年間の性能テスト結果は、陰謀がほぼユーザーの心の中にあることを示している。
Futuremarkをご存じない方のために書いておくと、この会社はベンチマークソフトウェアの3DMarkを作っていて(他の製品も)、ゲーム用PCから携帯電話まであらゆるデバイスの性能テストで頼りにされている。
3DMarkは、ハードウェアに様々な負荷を与える3Dシーンをレンダリングさせて、計算の速さや秒間フレーム数などを測定する。こうした測定値を総合して単一のスコアを算出し、デバイス間の比較を容易にする。
iPhone版(3DMarkを試したい人は無料でダウンロードできる)の3DMarkは、パワーユーザーやレビュアーが、アップデートやアプリが自分のデバイスの性能にどう影響を与えるかを知るために使っている。Futuremarkはユーザーの測定したスコアを収集し、今日発表したような比較レポートを作る。
Futuremarkのアナリストらは、過去数年のiPhone 5s, 6, 6s, および7のスコアを集め、新しいバージョンのiOSや新しいiPhoneのリリース時期が、性能低下(あるいはそのきっかけ)と一致しているかどうかを調べた。
データを見ると、著しい性能低下がないことは明らかだ。OSのバージョンによっては性能が落ちているものもあるが、逆に上がっているものもある。今やかなりの古株となった5sでさえ、1年半前と2年前の2つのバージョンよりわずかに遅いだけだ。
そうは言っても、実際に速度低下を感じている人はいるし、ごくわずかな停滞や入力時の遅延が積み重なって起きるような、性能スコアに現れない速度低下感覚を、人工的なベンチマークは検知できない。
アプリそのものにも疑いはかかる。人は時間と共にインストールするアプリが増えるので、バックグラウンドプロセスやネットワーク接続の増加や空き領域の減少が起きる。アプリが新しいバージョンのiOSに最適化できていないことも考えられるし、iOSの新機種向けの改善点が旧機種には適用されないこともある ―― つまり、友達の6sが速くなったのに自分の6はそうならない、ということもある(何しろ、計画的陳腐化は何十年も前から言われている陰謀論の1つだ)。
というわけで、性能低下問題は全くの幻想ではないかもしれないが、Appleが買い替えさせるための妨害工作をしていないことは明白だろう。そして実際のところ、最新機種を持ちたいというAppleユーザーの欲求には、何の助けも必要ないだ。
これで、根拠のない議論に終止符が打たれることを望みたい…少なくとも来年までは。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )