あなたのインスタストーリーが知らないロシア人に見られているワケ

Instagram(インスタグラム)を使っている人は、ここ数カ月、多くの知らない人が自分のストーリーを閲覧しているのが気になっているかもしれない。それも、自分をフォローしてもいないロシア人と思しき人が。だとしても、それはあなただけではない。

まただからといって、あなたがロシアの偽情報キャンペーンに巻き込まれているわけでもない。少なくとも、たぶんそうではない。しかしなんだか怪しい感じがするのは間違いない。

TechCrunchのイベントディレクターであるレスリー・ヒッチコック(Leslie Hitchcock)が、編集部にこの問題を提起してきた。ここ数カ月、彼女自身のインスタのストーリーが、何の関連もなさそうなロシア人のアカウントによって閲覧されているのが、なんとも「気味が悪い」というのだ。中には、数千人のフォロワーがいるアーティストなど、本物のアカウントもありそうだが、その他は「奇妙」なものにしか見えないという。

Redditのスレッドにも、「私をフォローしていないロシアのモデルが、私のインスタのストーリーをずっと観ているのはなぜ?」といった、現実的な問題を提起しているものがある。残念ながら、その答えは、あなたが期待してしまうような理由からではない。

Instagram自体も、この問題を認識しており対策に取り組んでいると語った。

また、この不当な活動は偽情報キャンペーンなどに関連したものではなく、新たなグロースハッキングの手法によるものだという。つまり、サードパーティにお金を払ってフェイクの「いいね」やコメントを付けてもらったり、フォロワーの数を増やしてもらうことで、自分のアカウントの価値を高めようという行為の一種なのだ。この場合には、本当は何の興味もない人のストーリーを閲覧することで、見せかけの活動を生み出し、それによって本物のアカウントと認められて、より多くのフォロワーを獲得しようというのだ。

不気味と言えば不気味だ。これらのグロースハッカーの中には、おそらく大量のスマホを用意して、実際にはだれも観ていないInstagramストーリーを「閲覧」したことにするのだろう。これは明らかに、ストーリーに広告を掲載するために料金を支払っている広告主にとっても嬉しいものではない。

Hydrogen(ハイドロジェン=水素)という名の英国のソーシャルメディア代理店も6月頃に、この問題に気付いた。そしてブログで「Instagramストーリーの大量の閲覧は、2019年版のフォロワー購入」だと述べている。つまり、Facebook傘下のInstagramが、ボットやフォロワーの売買を禁止した結果、このような新たな手法が登場したというのだ。

つまるところ、偽物をつぶすのは、永遠に続くもぐらたたきのようなものなのだ。これを、ザッカーバーグの苦行と呼ぶことにしよう。

「私たちの研究によって、いくつかの小さなソーシャルメディア代理店が、このテクニックを使って、一般の人々とやり取りしているように見せかけていることが分かりました」と、Hydrogenは書いている。さらに「これはコミュニティを構築するための正しい方法ではありません。Instagramは早急に、これを取り締まることになるでしょう」という賢明なアドバイスも載せている。

Instagramは、これについて対策を講じるよう試みているということを私たちに明かした。つまり、このようなフェイクなストリーの閲覧という新手の不正な活動を防ぐことができるよう、取り組んでいるという。

また今後数カ月の間に、特にストーリーについて、そのような活動を減らすための新たな措置を導入するという。しかしそれがどのようなものになるのか、正確なところは明かさなかった。

私たちは、なぜロシア人なのかということについても質問してみたが、Instagramはなぜ偽のストーリービューの大部分が、ロシアから(愛をこめずに)来ているように見えるのか、その理由についての秘密を明かしてはくれなかった。そう、その部分は謎のまま残っている。

自分のInstagramのストーリーが、無関係な人の注目を集めるための無節操な発信手段として悪用されることを防ぐために、今何かできることがあるだろうか?

今のところ、アカウントをプライベートに切り替えることだけが、グロースハッカーに対抗する唯一の手段だろう。

ただし、それでは、あなたがInstagramのプラットフォーム上で誰にコンタクトできるか、そして逆にだれがあなたにコンタクトできるかを制限することになる。

私たちがヒッチコックに、アカウントをプライベートに切り替えればと提案すると、彼女は肩をすくめて「私はブランドと関わっていたいの」と答えたのだった。

画像クレジット:Aleksander Rubtsov

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

投稿者:

TechCrunch Japan

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