いつでも家族の思い出を整理・共有できる、プライベートソーシャルアプリ「Honeycomb」

Honeycombの共同創業者Amelia Lin(アメリア・リン)氏とNicole Wee(ニコル・ウィー)氏(画像クレジット:Honeycomb)

Honeycomb(ハニカム)という女性主導のスタートアップが、Stellation Capital(ステレーション・キャピタル)のPeter Boyce(ピーター・ボイス)氏主導によるシード資金400万ドル(約4億5200万円)の支援を受け、家族向けのプライベートソーシャルアプリをローンチする。今回プライベートベータが終了した同アプリは、Facebook(フェイスブック)やグループメッセージといった、写真や動画を見失いやすい、よりパブリックなソーシャルメディアプラットフォームを利用する代わりに、スマートフォンを介してお気に入りの瞬間や思い出を収集し共有する手段を家族に提供する。

注目すべきは、ボイス氏がGeneral Catalyst(ジェネラル・キャタリスト)を去った後に2021年設立した新しい会社Stellation Capitalが支援する最初のスタートアップがHoneycombであることだ。今回のラウンドには、Kyle Lui(カイル・ルイ)氏のDCM、Ben Ling(ベン・リン)氏のBling Capital(ブリング・キャピタル)、Charles Hudson(チャールズ・ハドソン)氏のPrecursor Ventures(プレカーサー・ベンチャーズ)、そしてAncestry(アンセストリー)のCEOであるDeborah Liu(デボラ・リュー)氏、Giphy(ジフィー)の創業者であるAlex Chung(アレックス・チャン)氏、Twitter(ツイッター)のエンジニアリングVPで以前はReddit(レディット)で同職務を務めていたNick Caldwell氏(ニック・コールドウェル)などのエンジェル投資家も参加した。

Honeycomb自身は、Udacity(ユダシティ)とOptimizely(オプティマイズリー)の元CEOであるAmelia Lin(アメリア・リン)氏と、Instagram(インスタグラム)の元プロダクトマネージャーNicole Wee(ニコル・ウィー)氏によって共同設立された。共同創業者たちは、プライベートなソーシャルネットワークを通じて家族をつなぐアプリを作ることに着想を得ていたが、当初はSagaという別のプロダクトでアプローチしていた。この最初のアプリは、家族が自分たちの人生のストーリーを記録できるソーシャルオーディオ体験だった。例えば、祖父母が最初に出会ったときの話や、子どもの誕生日の願い事を後で聞くことができるオーディオ日記のようなものだ。

しかし、このアプリは初期多くメディアに取り上げられたものの、必ずしも家族が望んだものではなかった。その代わりにチームは、アーリーアダプターたちから、音声だけではなく写真やビデオも保存したいという要望を聞いていた。そこでチームはこの秋、アプリの方向性を転換し名称をHoneycombに変更した。

画像クレジット:Honeycomb

この新しい体験は、9月にプライベートベータテストがローンチされたところで、家族がお気に入りの写真やビデオを保存し、それをテキストと組み合わせ、一種のデジタルストーリーに仕立て上げる方法を提供する。現時点用意されている体験は必ずしも、例えばiMessage上のグループチャットと比べてはるかに堅牢だとは言い切れないが、テキストメッセージングを使用するときには難しいような、古いシェアに立ち戻るための簡単な方法を提示している。ユーザーはリマインダーを設定して、その日のお気に入りの思い出のキュレーションを忘れないようにすることもできる。この機能は、赤ちゃんが新しいマイルストーンに達するのを見守りながら、毎日何十枚もの新たな写真をスマートフォンに次々とアップしていくような新米の親たちには最適かもしれない。

画像クレジット:Honeycomb

「その日の最高の思い出を整理していく、とても簡単な日課となるように手助けしています」とリン氏は説明する。「お気に入りを選択すると、自動的にこのストーリーに編集され、家族と共有されるだけではなく、このコレクションに永久に保存されます」。ただし、この体験はGoogle(グーグル)フォトやApple(アップル)の写真アプリ、あるいはDropbox(ドロップボックス)のようなユーザーの既存の写真サービスを置き換えるものではない、と同氏は指摘する。

「私はそれを、家族と交流するような、キュレーションされた美しい場所だとは思いません」とリン氏。「そしてFacebookやInstagram(を持つユーザーもいるかもしれませんが)、それは自分の赤ちゃんの写真をまさに公にさらしているように感じられます」。一方、Honeycombはデフォルトでプライベートだ。

「家族だけがここにいる人を選ぶことができる、それはかなり異なる哲学的アプローチだと思います」とリン氏は語り、次のように言い添えた。「ユーザーの写真やデータをサードパーティに販売するようなことはしていません」。

画像クレジット:Honeycomb

Honeycombは、広告で収益化するのではなく、サブスクリプションベースのサービスになるという点でも、主流のソーシャルアプリとは異なる。ただし同スタートアップは今のところ、新しいアプリを軌道に乗せるという観点から無料提供を行っている。

同社は、家族の年配ユーザーをどのようにプラットフォームに取り込むかについて検討を進めている。コンテンツをエクスポートして他の場所で共有できるようにすることも考えられるだろう。一方でチームは、赤ちゃんや子どもの新しい写真という魅力的な要素が、祖父母たちに対して、テクノロジーに詳しくなくても、スマートフォンにアプリをインストールする方法を理解する必要性を促すだろうと考えている。

ユーザーはHoneycombをダウンロードすると、まず基本的な機能セットへのアクセスを得る。しかしそう遠くない時点で、家族や友人と思い出を共有するためのより魅力的なストーリー形式を含む新しいベータ版へのオプトインを促される。(このオプトインは即時には行われないが、すでに展開されていることを同社は明らかにしている。)

AIではなく人間のキュレーションに立ち返り、ユーザーが最高の写真やビデオを見つけられるようにするという発想は、最近では確かに違いのあるアイデアだ。しかし、人々が日々のスナップ写真を整理したいのかどうか、特に「赤ちゃんが生まれた」という話題が消えた後にそうするのかは、依然として未知数である。

画像クレジット:Honeycomb

さらに、AIが役に立つこともある(おそらくスマートAIなら、筆者がアプリで誕生日の写真アルバムを作成した後、カバー写真としておもちゃの写真ではなく人物の写真をフィーチャーすることを知っていただろう)。AIはまた、照明の弱い写真や露光量が低い写真を廃棄することで、ユーザーが写真を自動的に分類することにも貢献する。

一般的にユーザーが望まないことは、自分の「最高の」写真についての最終決定権をAIに持たせたり、自らの生活や自身が重要だと考えていることに関するコンテキストなしにAIがアルバムを作成したりすることだ。そして自動化された「記憶」を通じて、自分たちが忘れたいと思う時間をAIに思い出させたくはないのである。

だが最良の解決策は、AIと手動キュレーションとのバランスを取ることかもしれない。ただしプライベートな社会的環境で行われるものとなろう。

Honeycombは事実上新しいアプリであるため、同スタートアップはユーザー数を公開していない。ただリン氏によると、Sagaから方向転換して以来、エンゲージメントは3倍になったという。

「Honeycombは、私たちの最も基本的かつ長期的な人間の欲求の1つ、家族の思い出をアーカイブし共有したいという願いを実現するためにテクノロジーを利用する、真にミッション駆動型の企業です」と、Stellationのピーター・ボイス氏はこのスタートアップへの投資について語った。「Honeycombはファミリーアルバムを21世紀にもたらす可能性を秘めています。イノベーションの段階的な機能変更の機に熟している、これほど大きな問題空間を見出すことは希少です。家族は、個人に向けた、親密になることを意図したソーシャルアプリの次の進化への準備が整っています。そしてこのチームはそれを構築しているのです」と同氏は付け加えた。

Honeycombは現在7人で構成されているが、この新たな資金を、同社のサンマテオオフィスで直接働くエンジニアを含む雇用に充てる計画だ。約10人の増員を見込んでいる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

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TechCrunch Japan

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