この「代用スマホ」は、スワイプやスクロールをしたい衝動を巧みに満足させる

スマートフォンが中毒性のある機器であることに議論の余地はない。それはスマホが無尽蔵な情報を指先に送り続けるからだけではない。スマートフォンを手に持って触れること自体が喜びと結びつけられている —— 実際にスマホを使いたくないときでさえ、そうしていたいと思うほどだ。そこで登場するのが、Klemens Schillingerの “Substitute Phones”[代用スマホ]だ。

この端末(と呼んでよいのなら)は、重くて無表情な高品質プラスチックの塊で、埋め込まれた小さな石の玉の列に指を走らせると様々なジェスチャーが模倣できる。玉はその場で回転して(スワイプと)似たようなスムーズな感覚を与えると同時に(たぶん)ちょっとした指のマッサージにもなる。

スワイプ、スクロール、ズーム、いずれの強迫症状についても、それぞれにあったモデルが用意されている。

「この物体は、人口装具の一種と位置づける人もいるが、最終的には動きに帰着する」とSchillingerの説明書には書かれている。「この癒し効果はスマートフォン中毒患者が離脱症状に立ち向かう助けになる。物体による治療のアプローチだ。」

SchillingerはDezeenのインタビューで、これを思いついたきっかけについて、自分を含め誰もがスマート端末を見る頻度が高すぎる(しかもたいした理由もなく)からだけではなく、作家のウンベルト・エーコがパイプたばこをやめるために、ただの棒で代用したこともヒントになっている。

「同じものだがニコチンは入っていない。物理的な模倣だけだ。これを思い出したので、物理的に模倣するだけで通信機能のない携帯電話を作ろうと思った」と語った。

Substitute Phoneは、Schillingerが取り組んでいる人間とデバイスの関係に関わる製品の第2弾だ。第1弾は、オフラインランプで、スマートフォンサイズの物体を引き出しにしまってあるときだけ点灯する。どちらの作品も今年行われたウィーン・デザインウィークのために作られた。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。