この分ではクリスマスまでにWindows PhoneのシェアはNokiaが独占する?

お断り:この記事のタイトルは誇張されている。しかしそれほど誇張されているわけではない。そこにMicrosoftにとっての問題がある。

AdDuplexグループが発表した今月のレポートによると、Windows Phoneの置かれている状況は7月とほぼ同様のようだ。Lumia 520は他のWindows Phoneを圧倒、HTCが後退した後、Nokiaは急速にWindows Phoneのデファクト標準になりつつある。

Nokiaのシェアは7月には85%だったが、8月には86.9%にアップしている。1ヶ月で約2%ポイント増加したわけだ。この分ではもともと小さいWindows Phoneのシェアのほとんど全部をNokiaが獲得するのも遠くないだろう。

またAdDuplexによれば、最新フラグシップモデルのLumia 1020はその直前にリリースされたLumia 928より売れているという。つまりNokiaのセールスは実際、増加していると推定してよい。Nokiaが今後数ヶ月このペースで売上を伸ばすのも不可能とはいえないだろう。エントリーモデルとしてはLumia 520が成長を続けているし、Lumia 1020はアメリカで100ドル値下げするなどマーケティング努力を強めている。

Nokia以外のWindows Phoneのメーカーは? HTCが辛うじて残っている。HTCのシェアは7月の11.5%から8月には9.8%に下落した。これはちょうどNokiaの増分と見合いになる。HTCのシェアが「無視出来るレベル」になるのはいつだろう? 5%を切ったときか? 今の傾向のままだとそれは3ヶ月先ということになる。つまりクリスマス前だ。.

Windows Phoneの出荷量は増えている。第4四半期にはおそらく1000万台が出荷されるだろう。しかしながら、なにかドラマティックな事態が起きないかぎり、この四半期のうちにWindows Phoneは事実上Nokia Lumiaファミリーに独占されることになりそうだ。

Windows Phoneにとって良いことか、悪いことか? 販売数が伸びるのはMicrosoftにとってネコにマタタビのように魅惑的だろう。しかしプラットフォームのサポートが縮小するというのは危険なことだ。Windows Phoneの運命は以前にもましてNokiaが握ることになった。Microsoftのモバイル事業はNokiaと運命共同体になっている。Windows Phoneというきわめて重要で、きわめて金のかかる事業がそういう状態になることはMicrosoftにとって居心地の悪い事態だ。

「MicrosoftはNokiaを買収すべきだ」という主張は、数多くのメーカーが争ってWindows Phoneを作ろうとしていた時期には意味をなさなかった 。しかしそんな時代はとうに過ぎ去った。今やNokiaが優れたプロダクトを作るのに失敗すればWindows Phone全体が崩壊しかねないという状況だ。いやはや。

画像:Vernon Chan

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。