ご注意―Googleフォト・アプリを削除してもAndroidデバイスからの写真バックアップは続く

2015-07-14-google-photos1

Googleが最近リニューアルしたフォト・アプリはユーザーがそれと知らないうちに写真をクラウドに同期しているかもしれない。Nashville Business Journalの編集者、David ArnottはGoogleフォトをAndroidスマートフォンにインストールしてテストした後、すぐにアプリを削除した。Googleが彼の写真にアクセスするのはそれで終わりだと思っていたのだが、やがてそうではないことに気づいたという。

気づいてみると、テストに使った2枚の写真だけでなく、何百枚もの写真が同期されていた。私は写真をアップロードするたびにデバイスからは削除しているので、ある時点で一度に同期されたものではない。Googleフォトを削除した後も私のスマートフォンはGoogleに写真をアップロードし続けていたに違いない。

つまりGoogleフォトをAndroidデバイスから削除するだけではGoogleに写真のクラウド・バックアップを停止させることにはならないのだ。

実は写真のクラウドへの同期を停止したい場合はデバイスの設定から明示的に操作する必要があるのだ。 Android Centralによれば、「GoogleフォトがGoogle+から独立した際、その設定はデバイスの設定に一本化された」のだという。Android Centralは「Arnott氏始め多くのユーザーがGoogleの写真バックアップ機能は特定のフロントエンドと一体と考えている。そのためフォト・アプリをアンインストールするだけで、設定から同期を停止させないままにしている」と書いている。

Googleと自分のデータ、というより一般にクラウド同期サービスと自分のデータの関係では、なにごとも決めてかからず、細かい点に注意を払う必要がある。こうしたサービスではサービス全体と特定のアプリは独立に機能するようにデザインされている場合が多い。複数のデバイスのバックグラウンドでサービス動作させるためにはこのように設計する必要がある。そのため一つのデバイスであるアプリを削除しても全体の機能には影響しないことがある。

問題はユーザー側からみてクラウド・サービスのこうした構造が見えにくいことだ。一般ユーザーが「アプリを削除すればそれに結びついたサービスも終了する」と思ったとしても責められないだろう。こうしたUXデザインの「非対称性」はサービスの運営者がユーザーになるべくそのサービスを使い続けさせたいところから来ている。ユーザーのコントロールの強化は、IoTの普及期を迎えてさらに重要になってくる。スクリーンがなくその存在そのものが目立たないIoTデバイスが集めるユーザー情報の扱いについてはさまざまな混乱が予想される。

われわれはGoogleに対して「ユーザーがアプリを削除するときに『バックアップ機能も停止しますか?』とプロンプトを表示するようにした方が親切ではないか?」と質問したが、Googleはコメントを控えた(Googleは以前にもユーザー・データの取り扱いが不透明だとして批判されている)。

Googleは5月に フォト・アプリをGoogle+ソーシャルネットワークから分離した。これは非常に人気があるとはいえないGoogle+から写真のクラウド・ストレージ機能を独立させることによってサービスの活性化を図ったもので、同時に保存容量を無制限とし、機械学習を利用したキーワードによる写真の検索も提供した。Googleの高度なアルゴリズムは、位置情報が付与sれていない写真を解析して撮影場所を推定するような能力さえある。

こうした機能はユーザーが膨大な写真から望みの1枚を見つけるのを簡単にしてくれるが、一方でGoogleがユーザーの画像アーカイブから得る情報量も飛躍的に増大させることになる。こうしたデータはユーザーのプロファイルを精密化し、最終的には広告ターゲティングを効率化するのに用いられるはずだ。

〔日本版〕写真の同期を停止させるには、設定->アカウント->Google->アカウントと進んで同期オプション画面を開き、「Googleフォトを同期」からチェックを外す。また必要に応じて「Google+フォトを同期」、「Picasa Webアルバムを同期」のチェックも外す。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。