エンターテイメント業界でモバイルゲームを中心に複数の事業を展開するアカツキは、8月22日(日本時間)に開催された「gamescom 2018」において、e-sportsプロリーグの「LPE」を設立すると発表した。本リーグの設立と運営は、アカツキが300万ユーロ(約3億8000万円)かけて子会社化したスペインのPELを通して行われる(株式総数の65%を取得)。
LPEは、サッカーなどの他のスポーツでクラブチームを所有する団体のみが参加できるリーグとなる予定。同社の発表によれば、現時点でLPEへの参加を表明しているのは、サッカーの名門クラブであるFCバルセロナ(スペイン)、アヤックス(オランダ)、ガラタサライ(トルコ)、サントスFC(ブラジル)、ビジャレアル(スペイン)など。日本からは同じくサッカークラブの東京ヴェルディが参加予定だ。
既存スポーツのプロチームしか参加できないというルールを採用した理由として、e-sports事業の責任者でシリアルアントレプレナーの熊谷祐二氏は、「LPEのバリューは多様性、透明性、プロフェッショナリズム。これはe-sportsがスポーツとして認知されるのに必要な要素だ。既存スポーツでプロチームをもつクラブは、それらの要素をすでに備えている」と話す。
加えて、LPEでは強い暴力表現を含むゲームタイトルは採用しないことで、ゲームをより健全で、よりポジティブなものとして捉えられるようなリーグ運営を目指す。パブリッシャーによる制限を設けず、複数のタイトルを公平に採用する方針だという。
また、既存スポーツのプロチームが持ち合わせている選手育成のノウハウもe-sportsの発展に欠かせないと熊谷氏は語る。それらのチームがもつ栄養学、運動生理学などに基づいた育成システムをe-sportsにも適応することで、子ども達があこがれる“e-sports界のリオネル・メッシ”を生むことこそ、e-sportsがスポーツとして市民権を得るために必要なのだと彼はいう。
「家族でe-sportsの試合を観に行き、子どもがスター選手に憧れ、練習をし、それを親が応援する。そんな世界をつくりたい」(熊谷氏)
LPEは2018年秋からプレシーズンマッチを開始し、2019年にはファーストシーズンの開幕を目指す。このシーズンではまず、総額約50万ドル(約5000万円)の賞金をかけた大会が開催される予定だ。